66発目 落ち着け、お前ら
「さて、どこに行く!?」
「……落ち着きなよ、茅海。」
現在時刻は朝の8時半。学校もまだ始まってないそんな時間に僕たちは大阪の街のど真ん中(本当に真ん中じゃない)にいた。理由は茅海だ。
「さっさと行くわよ!」
その茅海の一言で予定よりも1時間早く出発することになった。
「いや茅海、さすがにこんな時間に開いてる店はないよ。」
そういうわけで、僕たちは大阪の街をはいかいする羽目になったわけだ。
「……さすがにこの事態は想定してなかったわ。」
「想定しててよ。ねえ大和、どこかこの時間にあいてる銃撃演習場知らない?」
銃撃演習場とはその名のとおり、銃撃が練習できる場所である。広さによって固定銃撃のみか、実践もできるかの2パターンがあるが茅海は後者を希望しているみたいだ。
「さすがにないだろ。普通でも11時ぐらいだぞ。」
こんなわけで大阪の街を歩いている。
「あ、あの……」
こんな無意味な状態を破ったのは桧木さんだった。
「先におじさんの場所に行ってもいいですか?」
細かい話を聞くと、桧木さんのおじさんは大阪に昔から住んでいて、ここに修学旅行で来ると言ったらぜひよってくれといわれたらしい。小さいころから世話になったおじさんだし寄りたいと大和に相談したら、3日目あたりに予定を入れてくれたらしい。
「それを今日に早めるのはいいけど、さすがにこんな早い時間だったら迷惑じゃない?」
「大丈夫です。おじさんはいつもこの時間には活動してますから。あ、こっちです。」
大阪のメインストリートからだんだん離れていっている。歩いて10分ぐらいだが、まだ到着しないらしい。
「ま、まだ?」
「ここです。」
そこは小さな民家みたいな場所。かなり古そうな場所だし、外から見てお世辞にもきれいな場所とはいえない。しかし、ただの民家にしては広すぎる気がする。
「おじさーん!」
「おう!」
「「「「「……」」」」」
みんなで絶句してしまった。桧木さんとは似ても似つかないような強面。さらに190以上を超える身長でかなりのがたい。顔には大きな切り傷がある。どんな職業をやっているのかはわからないが、危ない仕事をやっているのは間違いないだろう。
「こいつらは?」
僕らが指された。
「修学旅行を一緒に回っているクラスメイトなの。」
いや、そんなに笑顔で言われてもリアクションできません。
「滝川 大和です。よろしくお願いします。」
「えっ!?ちょっ……」
「ジャッキーみたいなもんだろ。」
……そういわれると不思議と怖くなくなった。
「都築 翔です。」
そんな感じにみんなが挨拶をしていった。
「よろしく。」
「それにしてもここは……」
何であんなに広いのかよくわかった。中には最新式のまとに特殊ゴーグル。そして、人が1人入れるくらいの、壁で仕切られた空間。ここは銃撃練習場だったのか!
「あ、あの……」
なんか茅海の目がきらきらしている。それもそうか。これだけ最新設備そろえてるのなんて、かなり大きな銃撃練習場でもなかなかないと思う。
「ん?撃ってみたいのかい?」
茅海の視線におじさんが気付いた。
「はい!!」
「だったらやっていいよ。」
茅海はその言葉を確認するとすぐに飛び込んでいった。
「……いいんですか?ここってそういう場所でしょ。」
「大丈夫。今日は誰も来ない予定さ。」
ん?なんか大和が話してたような?
「ねえ、抄華。戦ってみない?」
「え!?」
「でも実践場がないよ。」
「それなら地下にあるぞ。」
「おじさん!」
なんかあまり戦いたくなさそうな顔をしてる。いやならやめさせたほうがいいかも。
「……いいですよ。」
「でも……」
「大丈夫です。」
でも……
「落ち着け。本人がいいっていってるんだからほっといてやれ。」
「じゃあ、下に先に下りとくわよ!……で、階段はどこ!?」
「あそこです。」
「先にいっとくわ!」
……なんか茅海は先走りすぎでしょ。