62発目 逢瀬最強説、あながち間違ってない
「さて、来たのはいいけどどこに行く?」
沖川が店を出て開口一番、こういった。
「銃撃練習場関係は明日行く予定なんだから今日はそこ以外がいいよ。僕はここまで来て疲れたくないしね。」
沖川はこんなときでもマイペースだ。
「とりあえずのんびりと歩くか。店も多い。暇はしないだろ。」
大和の意見にみんな賛成した。
そこからは本当に大変だった。特に逢瀬が。
いろんな店でこれが安い、あれが安いと見て回っていた。買ってる量はそれほどじゃないからよかったけど、振り回されてる茅海はすでに目を回してぶっ倒れる寸前といった感じだ。
「普通、男が女の子の買い物のテンションについていけないってのはよく聞くけど、女の子同士でも同じ現象が起きるんだね。」
僕らはそれを遠目に見ていた。そもそも女物の店ばっかりは言っているので、男はいても意味なし状態で、僕が荷物持ちをしている以外は全く関係してない。
「それにしても、桧木ちゃんも女の子なんだね。」
桧木さんも茅海と一緒に逢瀬に振り回されていたり、試着をしたりさせられたり(茅海は完ぺきに着せ替え人形状態)しているのにそれほど疲れた様子もない。
「そういう沖川もこれくらいの買い物なら大丈夫なんじゃないの?」
「僕は自分の買い物をしてる時はいいけど、他人の買い物はね。僕ってマイペースだし。」
そう言われればそうか。沖川が他人の買い物についていくはずがないもんな。
それにしても茅海は大丈夫なんだろうか。本当にただの着せ替え人形になってきている。ためしに目がうつろになってきたあたりから試着した姿を携帯のカメラに収めていってみてるんだが全然反応がない。いつのまにか30枚近くになっている。
それにしても、逢瀬はどれだけ着させれば気が済むんだろう。最初はかわいい服を着せたり(これは身長的にみれば似合ってた)、クールな服を着せたり(顔には似合うけど、全体像では……)してたけど、どんどん服装がマニアックになっていって、ふりふりのいっぱい付いたピンク色や黒色の服(たぶんロリータファッションってやつだと思う)を着せたり、果てにはメイド服まで着させている。写真はどんどん増えていっているが、これを茅海が知ったら殺されるかも。でも、消すにはもったいないんだよね。
しかも、逢瀬はプレゼントといって茅海用にも何着か買っている。どう考えてもまともな茅海なら来てくれないようなのばっかりだったけど。
「それにしても、おまえは途中からちゃっかり巻き込まれてるよな。」
「え?」
「ショウくーん!次はこっちー!!」
「わかった。」
逢瀬たちのところに向かう。大和と沖川はそれを生温かい目で見送ってくれた。
えー、作者はファッションというものに超超超疎い若者です。ゆえに流行りなんてわかりません。
以上、作者からこのファッション変じゃない?ってのはどうしようもない宣言でした。