56発目 まさかの超展開
「……さっきのって。」
「あり得ない瞬発力だな。大和が見失った。」
「これで2勝2敗ね。」
これは僕の試合ですべての結果が決まるということだ。
「すまない。できれば決めておきたかった。」
いつの間にか大和が戻ってきていた。
「しょうがないよ。あれは誰だってああなるよ。」
「そうよ!最後で勝てばいいのよ!最後で……ごめんなさい。」
「なんで謝るの!?」
「訂正するわ。何で勝たなかったのよ!最後があれで勝てるわけないでしょ!」
「ひどい言われよう!!」
なんで茅海は僕の勝利だけは信じてくれないの!?
「大丈夫さ。君だって勝てる。」
「沖川……」
やっぱりもつものは友じ……
「相手がこけたり腹が痛くなるかもしれないだろ。」
「おまえも実力じゃ勝てないと言いたいのか!!」
ここまでこけにされるとやる気なくすぞ。
「がんばれ、ショウくん。」
ああ。逢瀬だけは僕のことを……
「負けるにしてもしっかり頑張って!」
「ちくしょう!!」
僕は涙をこらえながら走って戦場に向かった。
「さすがに逢瀬の言葉はきついな。意識してない分。」
「そうね。私たちみたいならまだしもあれはきついわね。意識してない分。」
「え?」
『さあ!泣いても笑っても最終戦!四十万高校は一昨日はミラクル、昨日は惨敗、そんな安定性のなさトップの都築 翔!対するはこれまではすべて棄権!すべてがなぞに包まれた男、高尚 正殿!これはどうなるのでしょうか?』
『正直、俺にもわからん。できればもっとわかりやすい奴やデータがほしかった。』
あ。ジャッキーってやっぱり実況席にいたんだ。
拳銃をチェックしてもらってるうちに相手をチェック。青色の髪に穏やかそうな表情。何となく好青年って感じだ。身長は170ちょい、ぐらいかな?特別筋力がある感じじゃないし、もしかしたら着やせしているだけかもしれないけどこれまで戦った中ではかなり個性のないほうだ。
そんな事を思ってると拳銃を返された。ジャンキーから応援の言葉はなし。いつも通りだな。
「それでは、四十万高校、都築 翔 対 乍瀬学園、高尚 正殿。ファイット!」
相手は目を細めたまま構える気配がない。かなり不気味で何を考えているかわからないがここで攻めなかったら勝てるものも勝てない。どうする……悩むなんて僕らしくないな。ここは感覚を信じる!
パンッ!
急所を狙った1発。これで相手がどう出るか。それによって差が出る。さあ、どう出る!?
ガッ!
「……え?」
「……え?」
「えっと、勝者。四十万高校、都築 翔。」
ありえないほどあっさり決まってしまった。
「えっと……」
「は!」
突然、細めた目を開いた。
「……試合ですか?」
「もう終わりました。あなたの負けです。」
「え?」
ゆっくりとこっちを見て、そして審判を見た。
「どうにか、再試合とか……」
「無理です。」
まさか……
「試合で寝るなんて……」
こいつ寝てたのかぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!
こうしてものすごいありえない形で最後の閉幕を迎えた。