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SHOT GUN!  作者: ヒッキー
4校大会編
50/109

49発目 チートなオールラウンダー

 「よろしくね。」


 「よろしくじゃん。」


 拳銃を渡しながら2人は挨拶を交わした。


 「私は強い人間と戦うのが好きなの。あなたは、強いの?」


 「それを本人に聞くのは反則じゃん。」


 「それもそうね。」


 「拳銃は問題なし。」


 主審から拳銃が渡された。


 「では、四十万高校、神宮寺 茅海 対 乍瀬学園、一ノ瀬 潤也。ファイット!!」


 パンッ!


 茅海が挨拶代わりに1発撃ち込んだ。しかし一ノ瀬はすぐに横へ避けた。


 「ははは、さすがじゃん!さっきのはぎりぎりだったじゃん。」


 「うそつきなさい!」


 たしかにわかりきっていたようによけた。


 「そういえば大和、前の試合でも相手の撃つのをわかっていたような動きが何回かあったけどあれってどういう理由?よく一緒に練習してたから知ってるんじゃないの?」


 「……ああ。そういえば言うのを忘れていたが、あいつはオールラウンダーで何でもできるからだいたいの戦法の基本的な動きがわかっているんだ。」


 「それってかなり重要じゃない!?」


 「まあ、さっきのは神宮寺の性格からだと思うぞ。あいつの経験量は異常と言っていいほど多いからな。なんとなくで一部は予想できてるんだろ。」


 でも冷静に考えてみるとそんなのを知ってても混乱するだけか。


 パンッ!


 ちょっと膠着こうちゃく状態に入った戦闘が動いた。どうやら一ノ瀬が茅海の動きを止めるために足元に打ったらしい。しかし銃弾はゴム弾。しかも会長との戦闘で何度もやられたやりかただ。そんなもので止まるわけがないだろう。


 「なるほどね。そういうことか。ならやり方を変えさせてもらうよ。」


 一定の狭いエリアで射撃をしていた一ノ瀬が動いた。一気に駆け出し、茅海との距離をどんどん縮めていく。


 「同じ戦法で茅海が負けるはずが……」


 「それはどうかな?」


 「え?」


 大和がボソッと何かを言ったが聞こえなかった。


 パンッ!パンッ!


 「くっ!」


 やっぱり茅海のほうが近づいてくる一ノ瀬をうまく迎撃している。完全に当たった弾は1発もないがそれでも絶対に押している。


 「なるほどね。」


 しかし、そんな状況にもかかわらずに一ノ瀬はうれしそうに笑っていた。まるでゲームのように。ただただ楽しんでいるようだ。


 「何笑って……」


 パンッ!


 一ノ瀬の銃弾が茅海の頬をかすめた。


 「くっ!」


 いつのまにか茅海のほうが押されていた。絶対に茅海のほうが慣れた戦法のはずなのに。だからこそさっきは勝てていたはずなのに。


 「ど、どういうこと?」


 「言ったよな。あいつはオールA。そして茅海の実践の成績は……」


 キンッ!


 「B+だ。」


 僕はただ口をあけるしかなかった。あの茅海ですらB+?大和の評価が厳しすぎる気がしたが、乍瀬中時代の一ノ瀬を考えたらうなずける。大和もなかなか本気を出さないが、一ノ瀬の場合は本気を出す必要がなかった。それほど強いのだ。


 「それにあいつは神宮寺の最大の弱点をつく気だ。」


 「えっ?」


 ガッ!パンッ!


 「くっ!!」


 近づいていった一ノ瀬は銃を撃たれたがそれをけりで直接はじいて軌道を変えさせた。


 「えっ!?」


 「神宮寺の最大の武器であり、最大の弱点はあの体格だ。遠距離戦ならば小柄な体格は的を小さくしてくれるし、身軽な動きもできる。しかしいざ近距離戦になったらその体格はパワー不足以外の何物でもなくなる。しかも一ノ瀬は神宮寺とほぼ同じスピードだろう。下がって距離を開けるのも不可能だ。」


 「そんな……」


 実際、茅海と一ノ瀬の距離はかなり近くなっており、茅海が銃を撃とうとしたら打撃で体制を崩されそのまま一ノ瀬に反撃されてしまっている。茅海はすばやく体勢を立て直して回避しているが、あれじゃあどう見たって時間の問題だ。


 そんなことを思ってると突然一ノ瀬が距離をとった。


 「……つまらないじゃん。」


 「え?」


 いきなり一ノ瀬が何かをしゃべり始めた。しかし、こちら側じゃあまり聞こえない。


 「それはどういう意味よ。」


 「だから俺は翔や望、大和と戦いたかったんじゃん。」


 「どういう意味よ!?」


 「そのまんまの意味じゃん。お前は弱い。しかもお前の思っている以上に。」


 「ふん。まさか翔よりも下に見られるとは思わなかったわ。」


 「翔をバカにするな!!」


 何か聞こえた!なんかバカにするなとか。茅海と一ノ瀬はいったい何を話してるんだ?


 「お前は翔の本当の強さをわかってないじゃん。」


 「わかってるわよ。それがどうしたのよ?」


 「……お前に乍瀬中時代の昔話をしてやるじゃん。」


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