4発目 遺書を書かせてください!
「セ、セーフ。」
開始5分前には到着できた。
「まったく、急ぎすぎだ。」
後ろからのんびりと大和と沖川が来た。というか、なんであれで間に合うんだ?
「あ?今日は問題児軍団が遅刻してないなんて、これから槍の雨が降るな。」
「ジャンキー先生!僕たちは5分前に来てないだけで遅刻はしてません!」
次の瞬間額に拳銃を突きつけられた。
「ちゃんと名前で呼べ。」
「はい、美香子先生。」
「いいだろう。」
拳銃をおろしてくれた。きょう2回目の死亡寸前。しかも、今度は怒りいっぱいの表情で激しいさっきではなく、笑顔で冷たい殺気だった。
「誰なの、あれ?」
「中島{なかじま} 美香子{みかこ}先生。ジャッキーとは違う怖さを持った先生で天才なんだけど酒とたばこ好きが欠点。」
そんなジャンキー先生はいつも通り髪を後ろでまとめているが全く整えていないことがよくわかる。ちなみにこの先生もやばい先生の1人。
「さて、今日は3人1組で練習戦をやってもらう。じゃあ、後は任せた。」
この銃撃の授業は2種類のパターンがある。銃撃練習場で的を相手に射撃をする座撃。そして、今回のようなペイント弾を使って戦う実践だ。こっちは教師が監督をしとかなくてもある程度は大丈夫なのでめんどくさがりのジャンキーはこっちの授業しかしない。
「さて、大和!組もう!」
「ああ。」
これはいつも通りだ。そしてもう1人は沖川を……
「私と戦って。」
いきなり神宮寺さんが沖川に戦いを申し込んでいた。ものすごい真剣な表情だが対する沖川はかなりめんどくさそうだ。
これも沖川の特徴で才能はすごく、実力もあるのにめんどくさがりでいつもの実戦でも僕たちとチームになるだけなってサボっている。だからこんな勝負受けるわけがないだろう。
「うーん、そうだね。この時間内にあれらを倒したらいいよ。」
そういって僕たちのほうを指した。
「えっ?」
後ろを見てみるが誰もいない。
「そんな定番のボケはいらん。俺たちだ。」
あはは、やっぱりね。
「僕たち生きれるかな?」
「俺はともかくお前は死んだだろ。」
さて、遺書でも用意しておくか。
お相手はかなりお急ぎだったようで遺書を書く時間すらくれませんでした。
「?早くペイント弾を込めなさいよ。」
この授業ではもちろん実弾なんて使わない。ただのペイント弾だ。それでも防弾チョッキとかを着ても当たると痛いんだよな。
「さて、こっちは終わったわよ。」
「僕はこのままなんだ。」
「あんたは人に実弾ぶつけて殺すことが趣味?それでいいんだったらあんたの顔が誰か識別できなくなるぐらいに銃弾をぶち込んでやるわよ。」
まずい!このままだと非常にまずい!
「こんなへたれにそんな度胸あるわけないだろ。」
「それもそうね。」
「助けてくれたことはありがたいけどもっと言い方があったでしょ!!」
「さて、さっさと始めるわよ。」
そろそろ時間が惜しくなったのか準備を急がせた。
この戦いのシステムはまず1VS1であることとどこかでストップに入る審判員が1人必要となる。だから、常に3人以上のグループになるのが普通である。
「まずはお互いの拳銃を確認して。」
審判員の大和が言う。これは不正や違反改造をしてないかを確認するためだ。
「?この拳銃、軽いわね。」
「うん。それはエアガンだから。」
「エ、エアガン!?あんなの子供のおもちゃじゃない!!」
確かに否定しない。この拳銃の授業が始まるのは小学校から。それ以前の子供は実銃は持てないのでエアガンで練習をするものなのだ。
「私をなめてるの!?」
「別にそういうのじゃないよ!」
「こいつはかわいそうなほど貧乏だから拳銃なんて買う金がないんだ。」
「そこまで言うか!?」
「ま、まあそれならしょうがないわね。」
認めてくれたけど、毎回大和のフォローに悪意がちらほら見えるのは気のせいだろうか?
「私のはこれよ。」
この拳銃はシャウトBK3だ。5年前に出たシャウトシリーズで、シリーズ最高の安定感と反動の小ささがあるが、反面、威力は他よりも少し劣ってしまう拳銃だ。しかし、こういう威力関係なく当てればいい勝負の場合かなり有利な銃だ。
「大丈夫だよ。」
「なら始めるわよ。」
この戦いのルールは極めてシンプル。胸にペイント弾をぶつけたほうの勝ちだ。当たったかの判断は審判員の自由だが、こういうときの大和の審判はかなり信頼できる。
「では、両者5m離れて。」
ゆっくりと5mの距離をとる。
「……ファイト!!」