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SHOT GUN!  作者: ヒッキー
4校大会編
48/109

47発目 いろいろな能力あります

今回はいつもより長めです。

 画面に一ノ瀬の戦闘シーンが出てきた。


 「あいつの能力は全体的に平均して高い。戦い方はオールラウンダーで何でもできる。それも俺と違って小手先が得意とかじゃなくて本当に何でもできるんだ。だからこそ一番つかみどころのなく戦いにくい。ちなみに、あそこにいたときはこいつが総合1位常連だった。」


 そういいつつ大和が遠くを見た気がした。思えば大和はいっつも一ノ瀬と戦ってて、何でもできる一ノ瀬と何でもうまくこなす大和は同級生でもかなり有名だったなあ。


 「一応聞いとくけどこいつに弱点は?」


 「決定的な弱点があってほしいところだがそういうのはない。あえてあげるとするならばあのメンバー内ではそこまで秀でたものがないってとこだな。」


 それだけ聞くと茅海はこれまでの戦闘シーンを流している画面を凝視した。


 「ついでに言っておくとこいつとの戦闘は神宮寺、お前に任せるからな。」


 「えっ!?私!?」


 「そうだ。俺ら3人の手の内はあっちも理解してるはずだから極力直接ぶつかりたくない。しかし相手は何でもできる。苦手な戦法のある逢瀬は向いていないだろう。ということでお前だ。」


 「……わかったわ。」


 茅海はうなずくと目に焼き付けるように一ノ瀬の戦闘を見始めた。


 「……これくらいでいいか?」


 「ええ。」


 茅海の反応を聞いて大和が画面を変えた。


 「続いては敵さんの2番手、佐鳥 真綾だ。」


 こっちのカメラに気づいているのかこっちをちらちら見たり手を振ったりなんかしている。……間違いなく気づいてるよね。


 「あいつの戦闘スタイルはとてつもなく単純だ。ただただよける。撃つ。ほんとうにこれだけだ。」


 「あれ?それなのにあんなに強かったの?」


 逢瀬はあいつのすごさがなんとなくしかわかってないらしい。


 「あいつの飛びぬけてるところは反射神経だ。おかげで相手の攻撃があたることもないし相手の動きにいち早く対応できる。ある意味、実戦で一番必要な能力を持っていたといっても過言ではないといえるやつだった。」


 「ついでに僕と実戦で1位争いをしていたのもこいつだよ。」


 かなりの驚き発言だったと思うが茅海はまったく驚かなかった。おそらく戦闘を見ておそらくこいつだろうというのは目星をつけていたのだろう。


 「真綾の相手は沖川に任せるぞ。」


 「僕でいいのかな?」


 「あのレベルまでいくとお前意外だと確実に負ける。可能性は低いが勝ってもらうぞ。」


 「了解。」


 笑って答えて見せた。


 「続いては3番手、小織 聖華。」

 画面には無表情のままの小織が写っていた。こっちを少し見たが気にしていないように無表情のままだった。


 「さっきも話したが銃撃はS。しかも間違いなく逢瀬と比べても同格以上だ。あいつは逢瀬よりも感覚が鋭い。簡単に言うと逢瀬が計算と経験で相手の弾の弾道をよんでいるのに対して、小織はそれに感覚もプラスされている。ゆえに判断が早い。」


 確かにあの銃撃に勝てる気はしなかった。


 「小織は逢瀬に担当してもらうぞ。」


 「えっ?でも私じゃ勝てないとか言ってなかった?」


 「そうよ!まさか捨て試合にする気!?」


 「……俺の言葉をよく思い出せ。以上だ。」


 それだけ言うとすぐに次の説明に入った。


 「この後の2人なんだが、正直こっちにもデータがない。」


 「え?何でよ?そういえば5人中3人って言ってたけどどういうこと?」


 「文字通りの意味だ。」


 そう。正直僕らが中学のころあの2人はいなかった。そもそも乍瀬のシステムは少し変わっている。小学校時代の人数が160人なのだが中学に上がるときに成績下位80人がいったん中学にエスカレータ式で上がる権利を剥奪される。そして、外部受験者と争って合格できたら無事上に上がれるというシステムだった。中学から高校も同じである。


 「なるほど。」


 「わかりやすかったよ。」


 「ショウにしてはわかりやすかったな。」


 ……読心術で説明を聞かないでほしい。


 「つまりこいつがあまりに成績が悪かったから上がる権利を剥奪されてそれをあまりに哀れんだ2人がついてきたってことね。友人を巻き込むほど腐ってたのね、あんたは。」


 「なんでそうなる!?」


 「それ以外何があるのよ!?」


 「それは……」


 自分でも思い浮かばなかった。


 「残念ながらこいつのせいで俺らがあそこをやめたわけじゃない。」


 「え?」


 「こいつはあそこの教員から気に入られててな。上には虚偽の報告を行ったり成績改ざんをされていたからあがれないってことはなかったはずだ。」


 「じゃあ何でよ?」


 「簡単だよ。あそこの学校がみんないやになったからさ。」


 沖川の言葉に茅海は不思議そうな顔しかしない。


 「あそこはすべてが競争。すべてが自己責任。すべてが……まともじゃなかったんだ。」


 「?普通じゃないの?」


 「それが徹底されすぎていた。1年間で学校内での私闘は200件近く、しかもそれを教師も容認していた。その結果、あそこでは非公式だが毎年何人も一年目で学校を辞める。」


 「そんなに……」


 大和は下を向いてたから表情は読み取れなかった。茅海と逢瀬はあまりいい表情をしてなかった。


 「とにかく落ち着け。今は作戦だ。あの2人はおそらく高校から編入した口だろう。しかも1年間で去年の代表を抜けるはずもないしおそらくは2年あたりから編入してきたと考えるのが正しい。もうちょっと時間があれば調べるのも可能かもしれないが……さすがに時間がなさ過ぎる。」


 「で、どっちがどっちを担当するのよ?」


 「これが明日のメンバーだ。」


 先鋒 神宮寺 茅海


 次鋒 沖川 望


 中堅 逢瀬 奈々


 副将 滝川 大和


 大将 都築 翔


 「あれ?また僕が大将?」


 「ぶっちゃけ副将、大将については不確定要素がありすぎる。ならばこっちは戦闘パターンが完全には確立してない俺と、こっちの不確定要素をぶつけてやることにした。」


 「なるほど。……ん?不確定要素?」


 「心配しなくてもあんたよ。」


 「なんで!?」


 「とにかく。3人には戦闘シーンのビデオを渡しておくから見たければ見てくれ。ただし、昼からの試合には万全の体調で臨むこと。以上だ。」


 大和の声で教室が明るくなった。そこで見えたメンバーの顔を見る。


 明日は負ける気がしなかった。


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