43発目 こんなに食べて大丈夫?
「カレーとラーメンとAセットBセットCセット!」
「普通なら大食い選手権の選手でも食べないと思うよ。」
これが軽いんだから茅海はおかしいと思う。そして、これでこんなに軽いんだからおかしいと思う。
カチャッ!
「なんかむかついた。」
「何で!?別に変なこと思ってないのに!?」
読心術が完璧じゃないとわかったがうれしくない。
「お前らはおかしいな。」
「え?」
後ろには昨日の僕の相手。
「確か、山田。」
「違う。」
「違うわよ、佐藤でしょ。」
「よけい離れたぞ。」
「それを言うなら塩じゃないかな?」
「すでに人の名前ではないな。僕の名前は小田だ。」
そうそう。ものすごい普通の名前って覚えてたけど小田だ。
「どうしたのさ、こんなところで?」
「せっかくだからここの学校の学食を食べてみたくてね。僕の学校ほど量は多くないけどおいしいって感想だったよ。」
「それならなんで私たちに話しかけてくるのよ?」
「午後からの乍瀬学園の情報を知っていたら誰か教えてほしいなと思ってね。」
「そういうことなら大和に聞きなさいよ。」
「それもそうだな。じゃあ、失礼する。」
あれだけのことをやっておきながら普通に近づいてくるのはまだばれてないと思っているからなのか、それとも、そこまでしないと乍瀬学園は倒せないと感じているからなのか。どっちにしてもそんな情報はほとんど意味を持たないと思う。どうせ、あいつらがまともな情報を流しているとは思えないからだ。
「お前ら遅いぞ。」
「こっちよー!!」
見たら大和と沖川、会長が席をとってくれていた。
「遅かった?」
「俺らが席をとってなかったら立ち見確定だぞ。」
「げ!それは勘弁。」
さすがに焼きそばを持ちながら立ち見なんて面倒なことはしたくない。しかも、茅海なんて屋台の端から端まで1つずつ買っていったし。もう半分ぐらいは消費してるけど、それで茅海は間違いなく厳しいだろう。
「とにかく始まるから早く座りなよ。」
沖川に促されて僕らも席に座った。
「対戦メンバーはどうなってるのよ?」
茅海はいつの間にか残りの半分も消費していた。あれだけのものをいつの間に食べたんだろう?
「仁徳学園は前と同じだ。乍瀬学園は全員2年生。俺らと同じにしている。」
「あれ?でも乍瀬学園って去年は2年生2人、1年生3人だから今年は3年生2人、2年生3人じゃないのかな?」
逢瀬が不思議そうに聞いた。
「多分メンバーを変えてきたんだろ。乍瀬が3年生を出さないようにしているという話は聞かないしな。」
「仁徳学園、杉田 陽 対 乍瀬学園、一ノ瀬 潤也。ファイト。」
このやる気のない感じ、主審はジャンキーか。こんな時ぐらいはもうちょっとやる気を見せておけばいいのに。
「あ!あいつは変な口調野郎!!」
乍瀬学園側の生徒を見ると金髪のツンツンにグラサン。昨日試合が終わった後にお疲れじゃんと言ってきた男子だ。
「……あんなのが一ノ瀬とか潤也とかかっこいい名前なのがむかつく。」
「まあ落ち着け。それならショウって名前も許せないじゃないのか?」
「……考えてみればその通りね。」
「なんで!?」
パンッ!
そんなことを言ってるうちに試合が動き出した。仁徳学園側が距離をとったと思うと銃撃。あの人は多分逢瀬と戦った人だろうけど、逢瀬との試合は全然戦ってないから強いかも弱いかもわからない。でも、こんなところに来ているだけあってだいぶ強いんだと思う。
「当たってないじゃん。当たってないじゃん。」
それを当たり前のように潤也はかわしていった。だいぶ余裕のある感じだ。
「だいぶ余裕そうね。」
「2年生とは言え去年も1位だった学校代表だ。あれくらい軽くいなせる奴じゃないとなれないだろ。」
大和の言った通りでどれだけ打ち込まれてもすべてわかりきっているようにかわしている。しかもそれは僕の反射とは違う。完全にわかりきっているような動きだ。
「なかなかやるじゃない。ものすごいやる気が出てきたわよ!」
「なかなか、ね。」
大和は遠くを見るように試合を見ていた。まるで自分には届かない場所と言うように。
パンッ!パンッ!
「そこまで。勝者、乍瀬学園、一ノ瀬 潤也。」
Q『できましたか?ガンダm(待て』
作者「ついに質問まで著作権問題!!」