35発目 こんなことになるなんて
ぎりぎりセーフ!!だよね。
『まだ春のにおいが残る四十万高校の実戦場。ここで4校大会の火ぶたが切って落とされようとしています。最初の試合は四十万高校VS仁徳学園の試合です!ホームである四十万高校は11年間4校大会では最下位。今年は乍瀬学園の提案でホームとなりました!その声援を背中に頑張ってもらいたいです!』
「僕に言わせれば言い訳の出来ないように僕たち有利の場所にしてくれたとも聞こえるね。」
『対する仁徳学園!前回大会では乍瀬学園には敗れたものの堂々の2位!今年は去年2年生だったメンバー4人に新たに2年生を一人加えて打倒乍瀬と言ってくれました。』
「俺らはあくまで通過点か。」
『下馬評では圧倒的に仁徳学園勝利という意見が多かったですが、今年の四十万高校は2年生5人という全く情報のない状況!この下馬評を覆して四十万高校は勝利を奪い取れるのか!?なお、今回の実況は四十万学園放送部3年、浅野 南。解説は四十万高校教師、松村先生にお願いしてます。』
『よろしく頼む。』
へぇー、ジャッキーが解説なんだ。
「お前ら、拳銃出せ。」
いつも通り、めんどくさそうにジャンキーが拳銃の提出を求めてきた。
「今から試合するのに?」
「だからだ。拳銃に不正改造が施されていないかと実弾が詰められてないかの確認のためだしな。」
「?実弾?」
拳銃を渡しながらそう言えばルール全然知らないや、とか考えていた。
『知らない人はいないと思いますがここでルール説明です。システムはポイント・ヒッティングです。きめられた急所にゴム弾が当たったら勝ちというルールで、決められた場所以外ならば続行できます。マッチバトルせいで先に3勝したほうの勝ちです。松村先生、このルールについてはどう思いますか。』
『このルールは急所に当たらなければ続行していいルールになっているがさすがに当たったところにしびれ程度は残ることになるだろう。故に当たったら不利。これは本格的な実戦に近いルールと考えていいだろう。』
「つまり急所以外でも当たったら不利になるってことね。」
急所だったら不利どころか負けだけどね。
「先鋒、前へ!」
あれ?ジャンキーが主審じゃない?
「この大会では試合をする高校の教師が2人副審、第三者の高校教師が主審を務めることになってる。そして、銃の検査については相手の高校の副審と主審がやることになっている。」
なるほど。それでジャンキーじゃなくて知らない女の先生が審判してるってわけか。
「あれっ?なんでそんなことをいきなり説明しだしたの、大和?」
「主審を見ながら不思議そうな顔をしていたのが2人ほど見えたんでな。」
「えっ?」
思わず茅海の方を見たら、ちょうど茅海と目があってしまった。
「な、何よ?」
「な、なんでもない。」
あの反応。もう1人は茅海で間違いなさそうだ。
「それでは両者、距離をとって。」
逢瀬と相手が距離をとると地面からガラスの壁がせり出してきた。
「あれ?これって……」
「屋外公式戦闘用のフィールド限定ガラスだ。普通だったら屋内施設のほうが使われるからめったに使われないが今日は同時に2か所で行われるから特別だ。」
「あれ?明日は行われないの?」
「1日1試合以上は高校生にはきついってことでな。原則各校1日1試合。だから本当なら明日にでも終わらせることは可能だがあさってまでかかるってわけだ。」
そういうものなのかな。
「それでは、四十万高校、逢瀬 奈々 対 仁徳学園、杉田 陽。ファイト!!」