30発目 キレる現代の若者
「あなたたちに拒否権はないわ。」
今日も放課後に呼び出されたが、今度は放送で、しかも生徒会室に呼び出された。
「あれ?他には誰もいないんだね?」
「毎日、いつもいるわけじゃないない。」
「でも、僕の読んだ小説では常に雑談を……」
「ここの学校がそうじゃないだけだろ。」
「……僕は帰ってもいいかな?」
「話を聞きなさい!!」
いきなり会長がキレました。これが現代のキレる若者というわけですか。
「もう1回言うわ。このことを知った時点であなたたちには拒否権はない!これから毎日、大会のある1ヶ月後まで練習してもらうわよ!」
「生徒会室って思ったより狭いんだね。」
「わざわざむちゃくちゃ広くしても物置になるだけだからだろ。」
「奈々、資料をふんづけてるわよ。」
「あれ?本当だ。」
「……帰ってもいいみたいだね。」
「こっちの言葉に反応を示しなさい!!」
またキレている。これが現代の(以下略)
「私はもともと乗り気よ。」
「チーちゃんがいるみたいだし私も。」
「そもそも拒否権がないのになぜぐちぐち文句を言う必要はないでしょ。」
「じゃあ、お疲れ様でした。」
「逃がさないよ、沖川。」
「……あなたたちがなんで松村先生や中島先生に気に入られてるか、何となくだけどわかった気がするわ。さすが2年生5人衆。」
「いやあ、それほどでも。」
「褒めてないわよ。」
「さっさと要件を言わないと沖川が逃げるぞ。」
沖川は茅海が見張ってくれてるからいいが隙あらばすぐに逃げ出そうという体勢だ。
「今日は禁止されてたけど特別に撮影が許可された去年の試合を……」
「それなら昨日大和が見せてくれましたよ。」
「あら。そんな画像をどこから。」
「インターネットで何でも手に入る時代なんですよ。」
「そう。なら、あれも見たのね。」
あれ、といわれてみんな何も言わなかった。あれ、がどれだったとしても口にはあまり出したくないものだったからだ。
「それなら話は早いわ。あれに勝つために明日から放課後2時間、特訓をしてもらうわ。」
「めんどうです。」
「沖川くん。かてたら特別につき合ってあげるわ。」
「……じゃあ、頑張っちゃいましょうか。」
「そこまでするんですか、会長!?」
「そこまでするの。」
その言葉を放った会長の目の奥には外では見えない光が見えた。恐怖、復讐、恨み、そんな物を含んだ黒っぽい光だ。
「それなら今日から練習……」
「あ!チーちゃん!」
「え?あ!!」
沖川が逃げ出した。同意したことで茅海が油断した隙にそっこうで逃げた。
「まあ、明日にはあれもつれてくるから今日は解散にしませんか?」
「そうね。同じことを2回言うのは嫌いだし、明日からにしましょう。」
これにて今日は解散になった。