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SHOT GUN!  作者: ヒッキー
日常が始まった
3/109

2発目 転校生はかわいい少女

 そんなことを考えてると先生が入ってきた。しかもこの声は……


 「ジャッキー!」


 「だーれがジャッキーだ。」


 この角刈り先生は松村まつむら先生。去年も担任だったのだが、異常なまでに格闘が強いのでついたニックネームはジャッキー。30半ばでやばい先生の一人だ。


 「お前ら席に着け。」


 そう言われてみんな大人しく席に戻っていく。


 「まあ、名簿を見て知ってるやつは多々いると思うが、転校生が来たので紹介する。」


 クラス中で『ウォー』とか『キャー』とかいう奇声、悲鳴が出る。ここはどこかの動物園か?


 「こういう時こその翔だろ。」


 前から大和がささやく。その通りだよね。


 「うぉー!!」


 …………


 「あれ!?なんでみんな黙っちゃうの!?なんで僕が言った時だけ痛い子を見る用な目で見るんだよ!?今までみんな叫んでたのに!?大和もフォローしてよ!?」


 「翔、それはないわ。」


 「自分で吹っかけといてそれはないわもないだろー!!」


 カカカ!


 「えー、そろそろ転校生の紹介をしたいと思う。」


 ねえ、さっき何かが通ったよね。後ろを見るとチョークが刺さって掃除道具を入れたロッカーがめちゃくちゃにへちゃげている。……チョークってそんなに硬くないよな?


 「ジャッキー!これって当たったら死ぬよね!?」


 「では入ってきて。」


 「スルーかよ!!」


 そんな中で少女が入ってきた。それは少女だ。なんでそんなに強調するのかって?そりゃあ、ふつうの女の子が入ってきたら驚きなんてしないさ。入ってきたのはむちゃくちゃかわいい、そしてちっちゃい女の子だった。


 ぴょこぴょこと動く金髪ツインテールに優しそうな表情。体のいたる所は発達してないが、それを補えるほど整った顔立ちで、ブルーの瞳はまるで水晶のように輝いている。その姿からは目を離すことができない。まるで誰かが創ったんじゃないかと思うくらいの美しさだ。


 「それじゃ、自己紹介をよろしく。」


 「神宮寺 茅海{ちみ}です。よろしくお願いします。」


 簡単な挨拶のみをした。下の名前は茅海か。


 「よし、こっちも挨拶だ。いけ、滝川。」


 「先生に指名されてここまでうれしくなかったことは初めてですよ。」


 そう言いつつも立ち上がった。


 「滝川 大和だ。別に学級委員長でもないし、特別な役職というわけではない。ただ、ジャッキーには少し気に入られてるんだ。だから俺のことを超まじめな優等生で教師から人望のあると思わないでくれ。以上。」


 特によろしくとも言わずに自分の言いたいことだけ言うあたりはマイペースという単語がぴったりだ。


 「次は……」


 ジャッキーが適当に当てていく。しかも完璧適当なので全員が身構える状況ができている。そんな中でも僕だけは当たらない自信があった。


 「最後に残りもの。」


 ほら来た。


 「何でいつも最後なんですか?」


 「わしのお気に入りだからだ。光栄に思え。」


 あまり思えません。そのせいでいろいろな迷惑事を押しつけられたのに思えるやつは相当のMだろ。


 「都築{つづき} 翔{しょう}です。」


 それだけ言って座った。


 「おいおい、お前ならもっと言うことがあるだろ。今まで起こした問題の数。停学回数。お前についてる愛称とその理由。わしがお前のことを本にまとめろと言われたらまとめられるぐらいしっとるぞ。」


 「僕はそこまでたいそう人間じゃないんで。」


 「つまらないな。よし、そんな淡白なお前のために神宮寺の席はお前の隣にする。」


 「は!?」


 このおっさんはいきなり何を言い出すんだ!?


 「準備はできてるな、滝川?」


 「完璧です。」


 一瞬でクラス中の人間を統率して僕の隣に空きの席を作った。こいつの指揮能力はなぜこういうところでしか発揮されない、いや、しないんだ。


 「よろしく。」


 いつの間にか横に座っている。この子も動きが早いな。






 さて、この学校は学校が始まってすぐに銃撃の授業がある。でも、それは昼から。今は昼食という至福の時を過ごすべきだ。


 「よし、大和!学食に行くぞ!」


 「ああ。」


 「あの、私も行っていいですか?」


 なんと!神宮寺さんも付いてくるらしい。


 「もちろんだ。」


 今回の食事は華がありそうだ。






 「……」


 「……」


 ええと、現在黙ってる理由ですか?それは僕の前に積まれた皿の数による結果です。


 「ここの食事はおいしいですね。」


 そういって20皿目が重ねられた。僕は間違って大食いの会場に紛れ込んでしまったのかと思ったが、ここは四十万高校の学食だし食べているのはあのちっちゃい神宮寺さんだ。


 「おいしかった。」


 22皿目にしてやっと満足したようだ。


 「大丈夫なの?午後からは銃撃の授業だよ。」


 「ちょうどいい腹ごなしになると思います。」


 笑顔は輝いてるけど、実戦練習を腹ごなしというのもすごいと思う。


 「そのことで聞きたかったんですけど、この学年で銃撃トップの成績を持ってる人は誰ですか?」


 「銃撃トップ?誰だっけ?」


 大和のほうを向きながら聞いた。


 「固定銃撃では逢瀬{おうせ} 奈々{なな}。実践では沖川{おきかわ} 望{のぞむ}だな。」


 「そうなんですか。」


 そう言いながら悩むようなそぶりをした。しかし、気になるのが神宮寺さんが話すたびに大和が笑いをこらえるようなそぶりを見せている。一体どうしたのだろう?


 「……滝川くんはなぜ私が話すたびに笑いをこらえるようなそぶりをするんですか?」


 やっぱり気付いた。


 「そろそろ腹の探り合いはやめようぜ、神宮寺のお嬢様よ。」


 近未来って感じはしませんね。作者もまったく考えてません。

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