27発目 新しい月、変わらない日々
ここから第2章!!
「……すばらしい季節だよね。」
そこまで暑くなく安定した気温。こんな季節は授業なんてものは放棄して昼寝に限るよね。
「死にたいみたいだな。」
「いえいえ、そんなことは。」
「遠慮するな。痛みは一瞬だ。」
「謹んでご遠慮させていただきます。」
「なら寝るな。」
「はい。」
……あっぶねぇぇぇぇぇぇえええ!!!今日が命日になるところだった。やっぱりジャッキーの授業で居眠りなんて自殺志願者がやることだよね。
そう思って横を見ると真面目にノートをとっている茅海。相変わらず水晶のようなブルーの瞳はきれいだと思う。
「……何?撃たれたいの?」
……この性格さえなければなあ。
そして廊下側の一番前。銀色の長髪を後ろになびかせ、メガネを光らせる大和がいた。あれをかっこいいとは思うが、僕は茶髪だしイケメンじゃないとあれは似合わない。
お次は窓際。そこの真ん中に完全に寝ている沖川がいた。今やジャッキーの授業で寝る命知らずはあいつだけになった。オレンジの髪が太陽に反射して眩しい。
最後は逢瀬。クラスのちょうど真ん中の席でまじめにノートをとっている。するとこっちに気づき軽く手を振ってきたので僕も軽く返した。
あれだけ派手に暴れたことなどみんな忘れたようにいつも通りの時間が過ぎて行き、いつの間にか5月に入った。僕もその間はどうにか生存できた。
キーン コーン カーン コーン
「もうこんな時間か。ではこのまま終礼連絡に移る。」
はあ。やっと終われる。
「最後に都築、滝川、神宮寺、沖川、逢瀬。お前らには伝えることがあるから後で職員室に来い。」
「え(ヒュッ)……喜んで行かせてもらいます!!」
相変わらず、ジャッキーのチョークは法律違反にすべきだと思うな。
「いったい何かしらね?」
「ヤマくんやショウくんは先生のお気に入りだからときどきあるけど私やチーちゃんは珍しいよね。」
「それを言ったら沖川も説教でちょくちょく呼ばれているな。」
「僕だって翔ほどではないさ。なんせ彼は説教で呼ばれることもあればお気に入りだから呼ばれることもあるわけだしね。」
「僕を問題児に仕立て上げないでほしいな。」
ほんの数分後にわかることを話しながらのんびり言っているうちに職員室についた。
「失礼します。」
大和を先頭に5人で職員室に入った。
「おお、来たか。」
ジャッキーの机に近づくと1人の女子がそばに立っていた。青色のロングヘアーに凛とした顔立ち。制服のリボンを見ると3年なのはわかるんだけど、どっかで見た気がするんだよなぁ。
「松村先生。なんでここに麻上会長がいるんですか?」
そうだ!思い出した!この人はここ、四十万高校の生徒会長、麻上 光先輩だ!
「その様子だと私は都築くんには忘れられていたようね。」
「えっ!何で……」
まさか!この人も読心術が使えるのか!?
「お前は顔に出やすいんだ。それにしても、本当に会長のことを忘れていたのか?」
「いや、思いつかなかっただけだよ。」
「それを忘れてるって言うのよ。」
失礼な。パッと出てこなかっただけだ。
「特別に今回は許してあげる。でも、忘れないでよね。」
「はい。」
なんか不思議なペースの人だ。
「さてさて、なんで君たちは呼ばれたでしょう。」
そういえばすっかり忘れてた。
「もしかして、私たちに生徒会役員になってほしいとか?だったら私は精いっぱいやらせてもらいます!」
「ごめんなさい、逢瀬さん。役員は私の独断で決めれないの。」
「うーん、先生に呼ばれることならばいろいろと心当たりがあるけど、もしかして会長さんは僕に惚れちゃった?」
「寝言は寝て行ったほうがいいですよ、沖川くん。」
「これは手厳しいね。」
どうやら違うらしい。
「大和は何だと思う?」
「……これは先生が、じゃなくて麻上先輩が呼びだしたんですか?」
「呼んでもらったのは私だけど、先生たちも無関係じゃないよ。」
なんだか謎がどんどん深まっていく。
「ねえ、茅海は……」
「やっぱり会長ということは強いのかしら……。せっかくだし練習を……」
……今は話しかけないほうが賢明かな。
「生徒会だけなら行事、教師ならば授業、公演、学校運営。この学校は大雑把に言うとこんな具合に分かれていますね。ここから導き出されるのは、今度の特別4校大会について。これじゃないですか?」
1日休んで第2章も毎日、更新していきたいと思います。……忘れなければ。