19発目 決裂ってカツレツと似てない?
アホなタイトルでごめんなさい
「敵はなしか。やけに手薄な気もするな。」
「それでも行くしかないよ。茅海を助けないと!!」
倉庫まで約500m地点。本当にさらったのならそろそろ罠の1つでもないとおかしいと思うんだけど。
「ねえ、やっぱり戦うの?」
泣きそうな顔で逢瀬がきいてきた。
「説得で終わればそれのほうがいいが、沖川も意思はしっかりとしたやつだ。おそらく説得では終わらせれないだろ。それと、翔、お前にはこれを渡しとく。」
そう言って拳銃の弾倉を渡していた。
「これは?」
「俺が開発したスタン弾という弾だ。これは当たった瞬間に電気を流して気絶させる遠距離スタンガンみたいなものだ。これを使えば威力の低いお前のエアガンでも1発さえ当たれば勝ちだ。」
「……ありがたくもらっとくよ。」
こういうものは使いたくないが相手はあの沖川だ。武器は多いに越したことはない。
「さて、そろそろいくぞ。」
3人で飛びだした。しかし、いきなり変な黒ローブに仮面をかぶったやつらに囲まれた。ざっと見ただけで30人は絶対にいる。
「敵!?」
「俺と逢瀬がこいつらを抑えとく。お前は茅海のところに向かえ!!」
「で、でも……」
「いいからいけー!!俺らは後で追い付く!!」
「くっ!わかった!」
敵を回避しながら茅海と沖川がいるという倉庫に走って向かった。できるだけ後ろを見ないようにしながら。
あのへんな仮面集団以外の罠や妨害は特になく、僕は難なく倉庫に到着することができた。ここから、僕は茅海を助け出すんだ!!
ギッ!ギギギッ!
あけるときに音はなってしまったがそんなことは気にしない。僕は思いっきり突撃した。
「沖川!!どこだ!?」
あたりを見渡すと倉庫の端に茅海が両手両足を縛られた状態でいた。
「茅海!!」
パンッ!
近づこうとした僕の足元に銃弾が飛んできた。
「な……」
「あれ?何で翔がここにいるのかな?」
2階にいたそれは……
「ここには依頼人以外は近づけないように指示していたはずなんだけどな。」
……沖川だ。
「……どうして茅海をこんなところで縛ってるんだ?」
「どうせほとんどわかってるんだろ。お前らの思ってるとおりさ。俺は依頼人に頼まれたから茅海を誘拐した。そして、ここで引き渡すことになっている。」
「何でそんなことを!?」
「言えるわけないだろ。依頼人とどんな取引があったかなんて。」
沖川は興味なさそうに話した。確かにこれは僕の知ってる沖川だ。しかし、何かが違う。僕の知っている沖川は興味のないふりをしながらもなんだかんだで手伝ったり、一緒にバカやったりするようなやつだ。一体、何が沖川をここまで変えたんだ。
「茅海を返してはくれないのか?」
「できるわけないよ。僕はこれでも仕事はちゃんとするからね。」
もうこれ以上の交渉は無駄だと悟った。沖川はこっちを見て話してない。何かはわからないが、僕とは全然違う方向を見て話している。それは、はっきりと無駄なことだと言っているのと同じだ。
「もう1度言う。茅海を返してはくれないのか?」
「くどいよ。そんなことする意味がない。」
パンッ!