17発目 やっぱりとなりに死の危険
さて、最後は大和の試合だ。その大和は拳銃の調整に余念がない。
「やけに拳銃を気にしてるわね。」
「大和は、人事を尽くして天命を待つ、とかいうのが座右の銘でいつもあれくらいの用意をしてるよ。」
「へえ。あんたとは大違いね。」
はいはい。どうせ僕はちゃんと調整をしてなかったから負けちゃった適当なやつですよ。
「そろそろ始めるぞ。」
ジャンキーがそう言い、大和が前に出た。
「……ファイト。」
ガッ!
大和は相手に距離を取られる前に地面にあった石をけり上げた。
パンッ!パンッ!パンッ!
それに向かって3発撃った。大和の装填している弾はペイント弾。ということで……
パチャッ!パチャッ!パチャッ!
小石にあたった弾ははじけ飛び相手の視界を奪った。
「くっ!」
パンッ!
その隙に1発。それは見事に相手の胸にあたり大和の勝ちとなった。
「な、なんなのあれー!!!」
「茅海、マジで死ぬ……」
また殺されかけたが今度は早めに離してくれた。
「で、どういうことなの?」
「いったい何がさ?」
「大和の戦い方よ!!あいつはあんなせこい戦い方ばっかりやってるの!?」
「ええとね、ほら、誰にでも一番得意なスタイルがあって戦い方があるでしょ。逢瀬なら決まった場所での銃撃、沖川なら早打ちみたいにね。」
「ええ。」
「大和はそういうのを見せないんだ。」
「へ?」
「つまり、ほかの人ならよくする戦い方をたいていするよね。でも、大和はそれを見せない。つまり、毎回違う戦い方をするんだ。確か、前は特攻をしてたよ。」
それについてあまり茅海は納得できていないみたいだ。
「よお。勝ってきたぞ。」
「ちょっと!なんであんな戦い方をするのよ!?」
「あんなって言うなよ。あれはあれで結構大変なんだぞ。」
「さすが四天王様だな。」
後ろからいきなりジャンキーが現れた。
「そう言えば沖川も四天王がどうとかいわれてたけど、それって何なの?」
「そうだな。まあ、そういうのがいてもおかしくないだろ。」
いや、実際いたらおかしいと思うけど。
「こいつらが強すぎるから四天王って呼ばれてんだ。」
そういいながらこっちを指した。
「?そんなの言われそうなのは3人しかいないですよ。」
「そっちにいる4人がそうだ。」
「……いや、翔はないでしょ。」
「ないとか言うな!!」
「まあ、そういうことだ。」
そんな感じで試験は終わった。
「で、どうなのよ?」
朝、久しぶりに遅刻しないで来れたと思ったら大和に言い寄っている茅海がいました。
「四天王について教えて!」
「それなら周りのやつに聞いたらよくわかっただろ。」
「ええ。よーく、わかったわ。四天王はあなたたち4人で、それぞれに称号が付いている。沖川には天才、奈々は狙撃主、あんたは詐欺師、あのバカは奇人。でも、いつできたかも誰が言い出したのかもわからなかった。一体四天王って何なの!?」
僕はひどくバカ呼ばわりされてる。それよりも、茅海は逢瀬のことを奈々と呼びだしたようだ。2人の距離が縮まってよかった、よかった。
「よくないわよ!!あんたもなんか知ってるなら言う!!」
いつの間に気づいていた?それよりも、いつから僕の心を読んでたわけ?
「いいからさっさと答えなさい!!」
首は、首はダメー!!
「落ち着け。そいつも誰もそのことについては知らんよ。」
「お、ジャッキー先生。」
「せ、先生!!」
ぱっ!
「はぁはぁ……」
し、死ぬところだった。
「それについては俺が教えてやる。呼ばれだしたのは1年の7月ごろからだ。いつも絡んでいて、ある意味恐ろしい4人を遊びに四天王って呼びだしたのが始まり。」
へえー。実はそれだけだったんだ。
「何で先生がそれを知ってるんですか?」
「俺が言い出した張本人だからだ。」
「「あんたからかよ!!」」
見事に茅海とツッコミが重なってしまった。
「おうおう、なかなかの息の合い方だな。」
「何でこいつなんかと!!」
だから首は―――――!!!
「……ていうかジャッキー。そろそろ朝の連絡しないと1限目が始まるぞ。」
「もうそんな時間か。よし、連絡なし!さっさと1限目の準備しろ!!」
「そうね。」
はぁ、はぁ。生きてるよね、僕。
「ありがとう、大和。」
「気にするな。死なれたら死体を隠して揉み消すのが大変なんだ。」
「やっぱりそうだよね。」
こうしていつもの一日が始まる。そう思った。
このタイミングでまさかの暴露。
翔にはリアルにモデルがいます!!
もちろん女の子の信頼を得るために無茶はしません(でも鈍い)し、いつも死と隣り合わせではない(でも巻き込まれてそう)です。
まあ、一緒にいたら暇しません。