14発目 お前のことは忘れない
タイトルに意味はありません。
「な、な……」
「いったろ。終わりだな、って。」
これが逢瀬の悪いところである。決して運動神経がないわけではない。ただ、やけにドジっ子なのだ。これまでの試験でも相手を正確に狙い、すばらしい技術を見せてきた。でも、これのせいでいつも負け。本人は悔しがってないからいいのかもしれないが、もったいないともいえるんだよね。
「ごめん、負けちゃった。」
「何やってるのよ!!もっと踏ん張りなさい!!」
「えへ。滑っちゃった。」
「えへ、じゃないわよ!!」
「よし、次は僕が……」
「あんたはもっとしっかりすれば勝てるのよ!!」
「無理だよー。私、チーちゃんみたいに足速くないし。」
「だから、チーちゃんって呼ぶなー!!」
あれ?僕に声援はなしですか?
「さっさと来い、都築。そして、さっさと負けろ。」
「全員アウェーですか!?」
そんなことを言いつつ相手を見る。超育ちのよさそうな坊ちゃん。これなら勝てるはず。
「ファイト。」
パンパンパンパンパパンパンパン!!
「ちょっと待ってー!!!」
いきなり拳銃2丁を取り出したかと思うと乱射してきた。そして、弾が切れるとまたすぐに次の拳銃。
「これひどくない!?いじめだよね!?」
「問題ない。」
ジャンキー。なんでこんな時は仕事するんだ。
「……さすがに試験には介入できないからな。」
よかった!今が試験中でほんっっっっとによかった!!
パンパンパンパンパンパンパン!!
「くそっ!」
このままでは負けてしまうので反撃だ。
カチッ。
「……あれっ?」
反応なし。一応もう一回やってみるが反応なしだった。
「まさかばねが外れた!?」
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!!
「ちょっとまってぇぇぇぇぇぇぇえええ!!!拳銃直させてぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!」
「無理だ。外から拳銃を借りるのはありだがな。」
「誰か拳銃貸して!!」
「ショウ!これ!」
茅海が銃を投げ渡してくれた。
「こ、これは……」
「ガスガンよ!」
「結局実銃じゃないのかよ!!くそっ!」
カチッ!
「……あれ?」
「ガス銃はガスをためる時間がいるわよ。」
「結構めんどくさいんだね!!」
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!!
「わ!!」
また銃弾の雨。しかし、間一髪でこれをよけた。
「今度こそ!!」
バンッ!
爆音とともに銃弾が発射され、それは見事に相手の胸をとらえた。
「あー、ちょっと待った。」
「え?」
なぜか試験が止められた。
「これって僕の勝ちですよね?」
「すまんが、確かガスガンって駄目な気がしたんだよな。お前のエアガンも特例のはずだし。」
「そんな!せっかく勝ったのに!!」
「うーん、神宮寺、お前はどう思う?」
「駄目だと思います。」
「何で渡した本人がだめとか言っちゃってるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!」
こうして、僕の結果は反則負けとなった。