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SHOT GUN!  作者: ヒッキー
特訓!!
109/109

108発目 束の間の波乱

 中は相変わらずの盛況。学生服の人間もいくらかいる。


「お、大きいですね……」


 桧木さんはその規模に圧倒されている。


「本当に何でもあるわよね。そして、相変わらず無駄に広いわね」


 茅海は内部図を睨むように見ている。どうも、茅海はこういう広い建物は苦手らしい。僕も得意ではないが、ここはたまに来るのである程度分かっている。


「僕は適当に音楽をチェックするよ。茅海たちはどうする?」


「私も適当に歩き回るわ」


「じゃあ、私もそうします」


「それじゃあ、1時間後にここに」


 僕たちは別れた。


「……けど、どうしようかな?」


 せっかくだから視聴とかで時間をつぶそうと思うが、好きなアーティストの新曲とかって出てないんだよね。出てたとしても、お金がないから買わないだろうけど。


「しょうがないし、適当にぶらつこうか」


 もしかしたら、知らなかった発見とかできるかもしれないし。


 そう思って歩いていたら出てきたのはアニソンのコーナー。そして、その中にいたのは桧木さん。


「桧木さん」


 僕は桧木さんに声をかけた。


「あ、都築くん」


 ちょうど音楽を視聴し終わったところだった。


「ここにいたんだ」


 アニソンのコーナーは、僕もたまにきたりする。アニメもときどき見るし、結構いい音楽があったりするから視聴をしたりもする。


「はい。よくわからないんで歩いてたらここに出て。それにしても、このごろのアニメソングっていい歌が多いんですね」


 桧木さんも同じことを思ってくれたようだ。


「そうだね。聞いてみると意外といい曲が多いんだよね」


「でも、たまに歌詞の意味がよくわからない曲があったんですけど。なんか、支離滅裂みたいな?」


 ……多分、それは電波ソングというやつだろう。僕も詳しくは知らないけど。


「都築くんはどうしてここに?」


「いや、ちょっと暇になっちゃって」


 自分で提案しておきながらなんとも恥ずかしい話だが。


「じゃあ、一緒に回りませんか? 私もここについてよくわかってませんし」


「じゃあ、茅海も誘おうか」


 そう言って携帯で電話をかけてみた。しかし、全然反応がない。


「……? どうしたのかな?」


「音楽を聴いてるか、周りの音がうるさくて電話に気付かないんじゃないでしょうか?」


 僕もそうだとは思うが、茅海は仲間はずれにすると後から怒るんだよなあ。


「ちょっと探してみようか」


「わかりました」


 桧木さんにはわるいが、ちょっと探してみることにした。とは言っても、J-POPのコーナーだけ見て、いなかったら桧木さんと一緒に回って、いたら声をかけるようにしよう。


「あ!」


 桧木さんが小さく声を上げた。視線の先には茅海がヘッドホンをして音楽を聴いていた。


「いたいた」


 僕は近づいてヘッドホンをはずした。


「え?」


「茅海。一緒に回ろう」


「バカ……」


 ? ヘッドホンをはずした茅海の様子がおかしい。なぜか頭を押さえてる。


 そのまま茅海は寄りかかるように僕に倒れてきた。


「……え?」


 一瞬、状況把握が出来なかった。頭を押さえていた茅海がいきなり……


「茅海さん!? どうしたんですか!? 都築くん、何があったんですか!?」


 僕がヘッドホンをはずして、それでいきなり……どうして……


「……ごめんなさい」


 パンッ!


 頬に痛みが走った。何かと思ったら、桧木さんが思いっきり手を伸ばして僕の頬をたたいていた。


「落ち着きましたか?」


「……そうだ! 茅海は!?」


 僕は茅海を見た。相変わらず頭を押さえている。


「と、とりあえず大和に電話!」


 大和ならどうにかしてくれるだろうと信じて電話をかけた。


『もしもし、どうした?』


 大和はすぐに電話に出てくれた。


「大和! あの、茅海がヘッドホンを取ったら頭を押さえて倒れて、それで顔色もよくなくて、とにかくおかしくて……」


『落ち着け。今どこにいる?』


「えっと、タワーレコード!」


『なるほどな……とりあえず外に出ろ。そうだな……極力静かな場所に連れて行ってくれ。場所はどこでもいい。俺はGPSでお前らの位置情報を頼りに追いかける』


 そこで大和からの電話が切れた。


「どうでした?」


「とりあえず、静かなところに行けって」


 僕は茅海をおぶりながら言った。さっきよりは僕もだいぶ落ち着けてて、すぐに外に出た。


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