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Sample No’3

作者: てらばいと

自室のベッドに座りスマホを眺めているのは僕だ。日曜日の午後5時過ぎは、いつも嫌な気分にさせる。それはもちろん今日も例外ではない。もし週にもう1日休みを入れることができるのならば、真っ先に月曜日へ入れるだろう。

外の雨音は、部屋の中まで入ってきている。ふと窓に目をやった。灰色の雲に覆われた空に、空を飛ぶなにかが目についた。よく見てみるとそれは、巨大な一頭のシャチだった。

思わず見入ってしまう程に異様な光景だ。僕はリュックの横ポケットに刺さった折り畳み傘を手に取り、家から飛び出した。

シャチは、思ったよりも速かったらしく、ほんの十数秒目を離した隙にどこかへ行ってしまったようだ。シャチが向かっていった先は、幼い頃にいつも遊びに行っていた、近くに山がある公園の方角だった。見間違いではなく、確かにいた。そんなことを思いながら部屋へと戻った。


次の日。


「昨日さぁ、空にめっちゃでかいシャチいたんだけどさぁ。」

「んなわけねぇだろ、見間違え見間違え。」

友達は信じてくれるわけもなく、ただ変な奴になっただけだった。放課後の賑やかな廊下を進み、友達とさよならをした。

しかし、あの出来事のせいで空をよく見てしまう。1人で歩く帰り道は、いつもよりも心地よく感じる。今日の天気は、曇ひとつないとてもいい天気だ。地面には昨日降った雨がまだ残っている。下校中ということもあり、少しテンションが上がっていた。そこで僕はある事を考えた。公園に行こう。そう思うと足はすでに動いていた。ここから公園まではそう遠くない。簡単な仕事さ。交通量が少ないのも歩きやすくて楽だ。

あっと言う前に公園についた。昔と何も変わらない小さな公園だ。誰もいないこの公園は、僕を歓迎してるように思えた。

思い付きで来たはいいものの、特にやる事はない。しょうがなく帰ろうとしていると、公園の隅に道があることに気がついた。草だらけで整備もされず、草が昨日の雨で濡れていた。その道は山奥に続いており、好奇心で通ってみることにした。

しばらく歩いてみたところ、日の当たる開けた場所に出た。奥には見たことのないトンネルがあった。悩みもせず入ってみることにした。

トンネルの中は外とは違い、寒く暗く静かであった。しかし、怖さは感じない。夜じゃないからということもあるかもしれないが、好奇心が暴れているのが何よりもの理由だろう。

トンネルはそう長くなく、トンネルを抜けた先には、また道が続いてた。空は少し暗くなり始めており、急ぐように先へと進んだ。その道を抜けた先には、公園があった。間違えなく昔よく行ってたあの公園だ。おかしい、そう思うながら、来た道を戻ろうとして振り返ったところ、道がなくなっていることに気がついた。混乱を招くと同時に恐怖を感じた。暗くなった空は、より恐怖を増す。逃げるように公園から離れた。公園だけではなく、街全体が変わりがなく、トンネルを抜けた場所とは思えなかった。交通量が少ないのも変わらない。歩いて自分の家まで行ってみた。何も変わりない。持っていた鍵を使って家の中へ入ってみても何の変わりもない。きっと疲れて変な妄想でもしたんだと思うようにした。リュックをリビングのソファーに投げ捨て、冷蔵庫からアイスを取り出し、テレビの電源をつけた。ニュース番組が流れた。


速報です。世界各国の観測機関によると本日の午後4時半頃より、地球全体における大気中の酸素濃度が約1~3%ほど低下していることが確認されました。専門家によると、「かつてない規模の現象」とされ、今後の地球生物に深刻な影響を及ぼす可能性があるとしています。

政府は先ほど、緊急対策本部を設置し、不要不急な外出は控えるよう国民に呼びかけました。

また、高齢者などのーーー


「何だこれ?」

思わず声が出た。外はまだ少し明るさが残っている。ポケットに入っていたスマホから電話がなった。友達からだ。

「なぁ、ニュース見た?やばいって、明日学校休みだってよ。」

「休んだって、何もできないけどね。」

「そうだけどさ、とりあえず気をつけろよ。」

そう言って友達は電話を切った。

母親からもLINEが来ていた。

「今日帰れなそう。家にあるもの食べて。」

それだけだった。これは大変なことになった。ここはトンネルを抜けた先の世界。しかし何の変わりもないずっと住んでる街だ。午後4時半過ぎは、公園に行ったくらいの時間か?どういうことだ?

ふと窓から空を見た。遠くの空には、昨日見たあの巨大なシャチがいた。急いでスマホのカメラを開くと動画を撮り始めた。カメラ越しにみるシャチは昨日と明らかに違うことがあった。群れをなしている。その群れはある一定の方向へと進んでいる。それはもちろん公園の方だ。

「何だこれ、、、」

思考が追いつかない。そのとき、急に頭痛が始まった。息が苦しい、酸素が足りない?視界が黒く染まる、、意識が遠のいていく、、、


(シュミレーション終了)


あー。こりゃバッドエンドだな、修正だな。時間設定変えよう、なんかバグで街2つできてたし、ていうか最後のシャチ何?あれだけいたらソフト落ちると思うんだけどなぁ。まぁいいや、一旦休憩。アイスでも食べよう。


(Sample No’3 を上書き保存しました)


読んでいただきありがとうございます

僕はアイスが好きじゃないです

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