表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

弐の巻「紫鬼」

 どうやらふもとの村では、おれのことは荒神だと伝わっているらしい。

 この娘は、自分は生贄いけにえとしてやって来たという。

 やれやれ、人間の考える因習にはあきれて物が言えない。


「この禍禍まがまがしい紫色の角を見れば分かるだろう? ここは廃寺はいじで、俺は住職でもなんでもない」

「でも、村に厄を持ち込むから、家には帰れないんです……」

「……弱ったな」


 ええい、学のない俺が座して黙考しても休むに似たりだ。

 俺は僧房にある作務衣と草履ぞうりを取ってくると、呆然ぼうぜんと立ち尽くしている村娘に投げ渡した。


「ひとまず泊めてやるから、そこの講堂で着替えて来い」

「いいんですか。ありがとうございます」


 今泣いた子が、もう笑う。

 とりあえず飯を炊いてやるかと食堂じきどうに向かおうとした時、聞き慣れたいやな声が耳に入った――


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ