エジプトのピラミッドは墓ではない説は正しいのか? ⑨
では、ピラミッドからは王の埋葬に関連したものが発見されていないという主張が偽りであるものを示していこう。
一見してわかりやすいものとしては第5王朝から第6王朝時代にピラミッド内部の壁面に施された葬送碑文がある。
これはこの時代のピラミッドを観光すれば今でも見ることができる。
さらに石棺。
これはほぼ完全なものを含めて比較的多くの墓で見つかっている。
それから葬送道具の破片。
前述とおり、盗掘に遭ってしまえば、それらしいものは皆奪われるし、運ぶことができないものは破壊される。
そして、呪いを避ける意味もあったのであろう。
王のミイラも破壊される。
そういう状況だから完品というのはさすがに難しいが、その破片というものは数多く発見されている。
ピラミッドから埋葬に関わる品は発見されていないと主張する者たちは、ツタンカーメン王墓から発見された遺物以外は認めないというスタンスなのかもしれないが、王家の谷にある王墓の遺物もほぼすべて破壊されたものばかりであることを発言前に考慮すべきであろう。
そして、王のミイラも一部ではあるが発見されている。
その写真があるのはアブシールにある第5王朝の王ネフェルエフラーの手。