エジプトのピラミッドは墓ではない説は正しいのか? ⑤
さて、最後は「墓であるということはそれにふさわしいものがピラミッド内部から見つかるはずだがピラミッドからはそれらしいものは一切発見されていない。墓を示すものがないのだからピラミッドは墓ではない」という話である。
そして、その話をすることがこの話を完結させるものとなる。
実はこの話がそれを主張する者が真っ先に口にする理由であり、実際にその主張に沿った事実がある。
だが、それは事実に見えるだけで事実ではない。
ピラミッドから王のミイラや財宝が見つかっていないではないか。
この言葉に対して、こう反論されたときに答えることができるだろうか?
その場所にミイラがない墓はその王の墓と認められないのだろうか?
さらに、伝承ではなく、その場所に王が埋葬されているという証拠がなければその地が王の墓所と認められないのか?
言いたくはないが、後者の話が肯定されてしまった場合、我が国の天皇陵、特に古墳時代のものは軒並みその信頼性が失われる。
日本が認められ、古代エジプトにおいては否定されるダブルスタンダード的事象が発生する。
つまり、法廷での争いでは多くの場合、「それを肯定する証拠」を示すことが主軸となり、某政治家が自身の都合が悪くなるたびに持ち出した「悪魔の証明」のようではあるが、ここでは「それを否定する証拠」を示す必要があるのである。
ただし、考えようによっては「自分たちの主張を肯定する」証拠を示すのだから同じともいえるだが。
まあ、その彼らが持ちだした主張が前述したものなのだから、仕方がない。
それを検証するしかないだろう。
ということで、その主張であるピラミッドから王の埋葬の痕跡がないのかを確認しよう。