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少女漫画な出会いかた  作者: ちさめす
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テーマは理想の出会いです。



※作者が思う『理想』の展開で物語が構成されています。過度な『現実離れ』にアレルギーのある方はご注意ください。(理想は現実の対義語)







「ひやあ~! 遅刻遅刻~!」



 私の名前は一年暦いちねんこよみ。ただいま全力疾走中です。



 愛用している目覚まし時計が鳴らなくて、起きた時にはもう出る時間。



 ――今週だけでもう四度目だけど、今日も今日とて遅刻は絶対しないから! 急げ私~!



 遠くに見える校舎を見つめたまま、私は食パンをくわえながらに通学路を急いだ。




 ◇




 交差点に差しかかる。



「このペースなら間に合いそうかな」と、思ったその時――。



 ドン。



「あいてっ!」



 私は誰かとぶつかった。



 ――いてててて……。



「おい、ちゃんと前を見とけよ」



「何……?」



 私はズレた眼鏡をかけ直して相手を見た。顔は見たことないけど、私が通っている高校の制服を着ていた。



 ――上級生かな?



「おい、聞いてんのかブス」



「なっ!? ブス!? ブスって何よ! それにこういうときって普通は手を貸さない!?」



 私は立ち上がって地面に落ちた食パンを拾った。



「おい」



「な、何よ?」



「そのパン……何もつけてないのか?」



「何? つけて?」



「お前は耳も悪いのか? 俺はお前にそのパンは何もつけてないのかと聞いてるんだ」



「耳なんて悪くないわよ。それにつけるって何よ。……もしかしてジャムのこと?」



「それ以外に何がある?」



「何もつけてないわよ」



「はん! お前は味のしないパンを食べるのか」



「ぬる時間がなかったんだからしょうがないじゃない!」



 ――何? こいつ、すごい図々しいんだけど……。



「幸運だな、女! 俺と出会えたことを誇りに思うがいい!」



 そういってジャケットをばさっとした彼は、内ポケットから何かを取り出して私に近寄った。



 ――ちょ、ちょっと……近い! 近い!



「な、何よ……」



「そのパンを俺によこせ」



「い、いいよもう。落ちたものだし私が捨てておくから」



「いいから俺によこせ」



 そういって彼は私から食パンを奪い取った。



「あっ! 私の食パン!」



「落ちたのはこっちの面か。よし……」



 彼は食パンをひっかいて汚れを削り落とす。



「もしかして食べる気なの? 落ちたパンだよ? ばっちいからやめときなよ」



「お前、三秒ルールを知らないのか?」



「落として三秒以上たってるけど」



「はん! これだから素人は困る。俺がこのパンを見た時から、パンの時間は止まってるんだよ」



 彼はポケットから出した物のキャップを外してパンに当てた。



「何をかけてるの?」



「メイプルシロップさ」



 ――何でそんなもの持ち歩いてるの……?



「さあこれで美味しいメイプルパンのでき上がりだ」



 そういって彼はメイプルパンを食べはじめた。



 ――そんなにお腹空いてたのかな? 



「じゃあな、ぽんこつ女」



「ちょ、ちょっと! 誰がぽんこつ女ですって!」



 声を荒げるが、彼は反応しないまま立ち去った。



 ――何なのあいつ……って、こんなことしてる場合じゃない! 私も急がないと遅刻しちゃう!



 私は学校へと急ぐ。



 これが、私と彼の出会いだった――。




 ◇




 チャイムが鳴るとすぐに先生が入ってきた。



「おはようさーん」



「おはようございます先生~」



「早速だけど転校生を紹介する。おーい! 入ってこーい」



 扉が開き転校生が中に入ると、クラスのみんなはざわついた。特に女子の悲鳴のような声が響く。「イケメンなんだけど~!」とか、「タイプなんだけど~!」という声が聞こえてくる。



 だけど私の印象は違った。



 ――あいつは……朝の図々しいやつ!



 先生に挨拶を促された彼は頷く。



清水春日しみずはるかです。親の都合でこっちに引っ越してきました。これからよろしくっす」



 悲鳴と拍手が起こった。その光景はまるでアイドルが転校してきたかの様だった。



 ――「聞いてんのかブス」とか「じゃあな、ぽんこつ女」とか、よくもまあ初対面であんな悪口いえたわね。



 みんなが祝福する一方で、私は清水との最悪の出会いを思い出していた。



 そんな時だった。



 清水は私に気づくと教壇を降りた。そして彼は窓から二列目の一番後ろに座る私の席までやってきた。周りはざわつき、先生は、「ちょっと?」と困惑している。



「な、何よ?」



「朝はどうも。プリンセス」



「……はい?」



「なになに知り合い?」とか、「どういう関係?」とか、「プリンセスだって? まーじぃ?」とかの声が上がった。



「一年、お前の知り合いか?……そうだな、だったらちょうど隣が空いてるし、清水の席は一年の隣だ」



「げっ!」



 ――こんな最低なやつが隣!?



 こうして私の学校生活は、突然やってきたこの転校生のせいでがらりと変わっていくのであった――。




 ◇







書き終わってますのでまとめて投稿します。




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