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5.カズと千歳の通っている大学-スマホにメッセージが-

全47話予定です


日曜~木曜は1話(18:00)ずつ、金曜と土曜は2話(18:00と19:00)をアップ予定です(例外あり)

 カズと千歳の通っている大学は同じ学校なのだが、カズは六年制、千歳のほうは四年制である。当然、先に千歳が卒業、という事になる。


 そんな千歳は卒業後は就職はせず、大学院に進学した。そこで応用生命の研究をする事になる。そして千歳は大学院の二年目でその研究を認められ[あるところ]からお声がかかった。それは[大学院と並行してウチで働いてみないか?]というものだった。


 もちろん千歳なりに考えもしたのだが、彼女はその誘いを受けて大学院とそこの二足の草鞋を履くことになる。


 そんな、カズが大学六年生で千歳が大学院の二年生というある日の出来事。久々に自分の大学の研究室で国家試験の勉強をしている中、


[ねぇカズ君、今日少し暇あるかな?]


 とスマホにメッセージが飛んでくる。相手は恵美である。



 ――――――――



 ここの学校では、一年生の時は名簿順に数名ずつ[アドバイザー]と呼ばれる教授に付き、日々の生活や学校のさまざまな生活に慣れる仕組みになっている。そして、学年が進んで五年生になると、必ずどこかの研究室に属する事になっている。


 そして、カズが所属しいるのは物理学教室である。


 この物理学教室というのは、薬学部の中では少し特殊な位置づけである。何故なら直接的には薬学には関係ないのだから。必然、こう言っては何だが人気もない。


 だが実のところ、研究室を選ぶ頃にはカズは機械生体工学、つまり人間と機械の融合と言ったら大げさかもしれないが、そのような事に興味を持つようになっていたのだ。


 だが、あいにくそんな研究室はこの学校にはない。


 そこで、物理学教室の教授を介して他校の機械生体工学部の研究室に[通い]をするようになっていた。そこで学んだ事を定期的にレポートとして物理学教室の教授に提出する事で、就学扱いにしてもらっているのだ。


 一方の恵美はというと、はじめはカズと一緒の研究室に入ろうとしたのだが、状況が状況なのでカズがそれを止めた。


「でも……」


[きみと一緒にいたい]多分、そんな言葉が後ろに隠れていそうな[でも……]に対して、


「襟坂さんは何か進みたい道はないの?」


 と聞くと、


「私は[これ]っていうのが無くて。それなら和也くんと一緒がいいかなって。あっ、迷惑だった?」


 気を遣ってそんな言葉を返してくる。


「いや、迷惑って事はないよ。一緒にいてくれようとしているのはとても嬉しいんだけど、俺はこのまま隣の大学の大学院に行こうと思ってるんだ。その為に、一年の頃からお世話になっている物理学教室の山野辺教授に、口利き、というか紹介、というか、その大学の研究室に通う事になっているんだよ」


 と返したあとに、


「そうだ、生理学なんてどうかな? 襟坂さんって確か一年の時は、アドバイザーって生理学の教授だよね? まぁ、かくいう俺もアドバイザーが山野辺教授だったんだけどさ。それに生理学なら、もし襟坂さんに大学院に進むつもりがあるなら、確かこの学校に生理学科ってあるよね?」


 と話を振ってみる。


 初めは[うーん]と唸っていた恵美だったが、


「そうね、和也くんの言うとおりにしようかな。お父さんとお母さんに相談だけど、大学院の話も考えてみるね」


「そうするといいよ。迷っているんだったらさ、これも何かの縁だと思うんだ。俺が物理学教室に行くのも」


「私が生理学教室に行くのも、ね」


 どうやら納得してくれたようだ。


 そして恵美は、カズの言う通り生理学教室に入る事になる。



 ――――――――


全47話予定です

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