33.もっといじってみたい-俺は一体、どうしてしまったんだろうか-
全47話予定です
日曜~木曜は1話(18:00)ずつ、金曜と土曜は2話(18:00と19:00)をアップ予定です(例外あり)
ちょうどそんな頃だ。
千歳の事を[チトセ]と考えるとき、感情のコントロールが効かなくなると自傷行為に走るようになった。
それは研究が進むにつれて頻度は多くなっていた。その度に自分の腕や足等に、ある日はナイフを、ある日は食事中に持っていたフォークを突き刺してしまうのだ。
もちろん、自傷行為をすれば血も出るし痛みもある。
だがそれでも止められない[チトセ]への想い。
もっといじってみたい。もっといじくりまわして、遊んでみたい。もっと身も心もおもちゃにしてみたい。もっと、もっと……。
――俺は一体、どうしてしまったんだろうか。
そんな事を常に自問自答するようになっていた。
だが、今更引けないのも事実だ。
カズはそんな気持ちを心の奥底にしまい込んで研究は続けた。
「どうされました?」
しばらくカズが黙っていたのを職員が声をかける。
「い、いえ、何でもないですよ。で、あの例の子は?」
話を続ける。
すると、
「レイリア・ルーデンバッハの事ですよね? ええ、彼女の適正値はかなり高いですよ。恐らくこの施設で一番、かと」
そう言って職員はデータが書かれたシートを持って来た。
それにざっと目を通したカズは、
「うん、これはいい。で、例の部屋を使いたいんだけどいいかな?」
と言い出る。
「了解しました」
そう言ってカズは別の部屋に通された。
この、例の部屋、それはぱっと見は鏡が張ってあるだけに見える、その裏側の部屋の事だ。部屋自体は暗室になっていて、大きな音を出したり壁などを叩かない限り向こうからは存在は気取られることはない。ここでカズは[身体検査]や日々の教育、子供たちの日常を観察しているのだ。
「これからの予定は?」
「はい、[身体検査]のあとはこの部屋で自由時間にしてあります」
「それじゃあ、しばらくいさせてもらいます」
そのあと、カズはここで暮らす彼女たちが恥辱的な[身体検査]を受けているのをただ見ていた。
カズの心の中には、先ほどの[チトセ]への想いにも似たものが漂っているのを彼は無意識に感じていた。
――この子たちも、手足の自由が利かないようにして……。
そんな事を漫然と考えていたところで、はっと我に返る。
――俺は本当にどうしてしまったんだろうか? チトセの件といい、やはりこの研究がそんな風にさせているのか。これを断じて性癖とは考えたくない。本当ならこんな研究、関わらないのが一番なのは分かっている。だが今更辞める訳にはいかない。どの道後戻りが出来ないのは日本にいた時から承知の上だ。承知の上なんだが……。
そこまで考えたが、改めて我に返り[事務的]に[身体検査]を見直した。
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