27.きみがこの実験を主導してくれない、かな?-誰にも意味は分からない-
全47話予定です
日曜~木曜は1話(18:00)ずつ、金曜と土曜は2話(18:00と19:00)をアップ予定です(例外あり)
「ねぇ、カズ」
「何だい?」
「ロボットの名前だけど、レイドライバーっていうのは、どうかな」
鎮静剤が聞いているのだろう、先ほどからずっとトロンとした声でそう話す千歳に、
「どうしてその名前に?」
と聞く。
「レイドって、確か鏡のように、複数のストレージを束ねて、一体的に運用するっていうコンピューター用語の、意味があるでしょ? パイロット、コアユニット、サブプロセッサーのそれぞれが、並列で処理を行うのを束ねて動くロボット」
鎮静剤が効いているせいだろう、千歳はゆっくりとそこまで喋ったあと、
「でもほら、奴隷の反対語に、聞こえるじゃない? こんな今の私が言うのもなんだけど、パイロットの意思に、抗いもせずにすべて従う。それって[隷属]してるのと、変わらないでしょ? パッと聞いただけでは、誰にも意味は分からない、だけど日本人である、あたしたちならそれに気が付く、そんな名前」
「ああ、試作機が出来たらその名前で呼ぶよ。でも俺は決してきみの事を奴隷だなんて思っていないけど」
「いいよ、きみの言う事は、何でも聞くから」
カズの言葉にかぶせるようにそう繰り返した。
「分かった。最後に」
「なあに?」
千歳が答える。
「今までも、これからもきみの事は愛している。それは忘れないで欲しい。そして、いつかコアユニットから解放されたら」
「されたら?」
少しの間。カズは心に決めた言葉を、
「二人で何処か遠くに行こう。誰も縛る人のいない、何処か遠くへ」
そう伝えた。
その声が少し震えていたのは、頬を伝う涙のせいだろうか。
「そうね、それが、いいかも」
「いつまでも愛してるよ、千歳」
「あたしも、いつまでも愛してるよ、カズ」
たった十分だけの二人だけの時間。だが、それも終わりを迎えようとしていた。
「じゃあ、みんなを呼ぶよ?」
そう言ってカズは医療スタッフとクリスチャンを呼んだ。
「そういう訳で、千歳には被検体になってもらいます。彼女から推薦されましたので、ここの所長は私が引き継ぎます。そして、彼女の命は俺が責任をもって使います。その為、彼女が搭載されるロボット、それには私が搭乗します。ロボットの名称はレイドライバーとしたいと思います」
カズがそう言うと、
「あぁ、それがいいですね。所長の件は、あなたはその適正があると思います。チトセの推薦もありますから。私も賛成です。彼女の命を使うという辛い決断をした事も理解出来ます。あなたが使うといい。パイロットの件も支持します。レイドライバーですか、うん、それはいいですね。ロボット、では味気ないですし、そろそろ呼び名が必要でしょうから」
クリスチャンがそう言う。
「ではその方向で」
…………
カズが話をまとめるが、その彼を熱っぽく見ている視線に、カズは気が付かないでいた。
全47話予定です




