17.恵美に連絡を-まぁ、何と言うタイミング-
全47話予定です
日曜~木曜は1話(18:00)ずつ、金曜と土曜は2話(18:00と19:00)をアップ予定です(例外あり)
次の日、カズは昼休みに恵美に連絡しようとスマホを取り出した、ところまでは普通だったのだが、
――いや、今からでも別の道を進めるべきか。でも、そもそも襟坂さんをこのルートに引き入れたのは自分だしなぁ。
などと、今更のように考えていた。
そんなところに、
[ピロリン]
手に持っていたスマホが鳴る。メッセージを受信した音だ。
「ん? 誰だろう」
そう言いながら画面を見て、
――まぁ、何と言うタイミングの良さだろうか。これはどこかでこちらの行動を見られているのでは?
相手は恵美である。文面には[今日少し時間あるかな? ちょっと相談したい事があって]となっていた。
直ぐに、
[ちょうど、俺もきみに話したい事があるんだ]
そう返すと、
[じゃあ、今から会えないかな。私からそっちに行ってもいいんだけど、入れてもらえそうかな?]
とラグなしで返ってくる。
[多分、事前に言えば入れてもらえると思うけど、もしだったら俺がそっちに行くよ。どこか落ち着いて話が出来るところがあればいいんだけど]
[それなら、私のところの研究室の予備の部屋っていうか、倉庫になっているところでもいいかな? そこならまず人は来ないし]
その文面からは[内密に話をしたい]という心情がにじみ出ている。だが、内密に話したいのはこちらも同じだ。
[じゃあ、一度四階のいつもの場所で待ち合せよう。それからその部屋に移るって感じでどう?]
[そうだね。それがいいかも。じゃあ四階で待ってるよ]
そうしてメッセージのやり取りを終えたカズは、自分の母校へと向かう。
――大学に行くのも久しぶりだな。そのうちに山野辺先生にも挨拶しないと。
少しそんな事を考えながら目的の四階に向かう。
そこは通い慣れた、大学時代に仲間と昼食を摂っていた喫煙スペースだ。カズが着くと恵美がすでに待っていた。
「ゴメンね、待った?」
カズがそう聞くと、
「ううん、私も今来たところ」
という定型文が返って来るが、流石に待たせただろう事はよく分かる。
「取り敢えず行きますか。あっ、そうだこれ」
カズはそう言うと背負っていたバックから紅茶のペットボトルとサンドイッチを取り出して恵美に渡す。
「えっ、もらっていいの?」
「来るときに寄って来たんだ。もしだったら一緒にどう? お昼まだでしょ? 確か紅茶派だったよね?」
「ありがとう。本当なら私が買って来ないといけないのに……こっちこそゴメンね」
そう言って恵美はペットボトルとサンドイッチを受け取るとカバンにしまった。
二人はそのまま今いる校舎を一階まで降り、二つ隣りの校舎へと向かう。そこには生理学教室が入っている場所だ。恵美はその校舎の二階にあるとある一室にカズを誘導した。
「入って。ここなら誰も来ないから」
そう言われて中に入ると、恐らく普段は使われていないのであろう事は一目でわかる。
「ゴ、ゴメンね、ホコリっぽくて」
掃除はされてはいるものの人の出入りがない感じ、と言えば伝わるだろうか。確かに人気はなさそうだ。
「椅子あるから、座って」
促されて椅子に座る。
「先に食べよっか?」
「そうだね、襟坂さんもお腹すいてるでしょ?」
「えへっ、実は」
などと日常の会話を挟みながらサンドイッチを食べる。途中、各々飲み物を飲みながら食べ進める。どちらともなく、そのタイミングを計っていた。
「実はね」
「実は」
同時に二人が声を出す。
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