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１．カズは夢を見ていた－日本という国がまだ存在していた頃－

全４７話予定です

読んでくださって本当にありがとうございます！

今（４／１２）現在、今作含めて４作、ストックがあります

現在Ｒ－１８表現を除く作業をして、全作をなろうでの寄稿を考えています

なお、今作の話は過去話がメインになります

レイドライバー１，２を読んでいない方は、お手数ですがそちらをお読みになってから次作をお読みください（前回からの続きものになります）

作者ページからご覧になれます↓

https://mypage.syosetu.com/2478453/

今作は「ヒューマン 3 －時間遡行によってもたらされたものは－」（Ｒ－１８作品です）との並行世界線になっています

Ｒ－１８の為、なろうの検索に出てこないので以下にリンクを記載しておきます

こちらも、もし読んでくださると嬉しいです！

https://novel18.syosetu.com/n2786ia/

他のヒューマンシリーズ（全て完結済み）のリンクも載せておきます

ヒューマン 1 -繰り返される事件と繰り返す時間遡行-

https://ncode.syosetu.com/n2996hx/

ヒューマン 2 -再び繰り返される事件と再び繰り返す時間遡行-

https://ncode.syosetu.com/n8320hy/

ツイッターでも数日に一度、更新を呟いています

https://twitter.com/JohnD_72

日曜～木曜は１話（１８：００）ずつ、金曜と土曜は２話（１８：００と１９：００）をアップ予定です（例外あり）

　カズは夢を見ていた。

　……………………

　あれは何年前だろうか、今からずっと前の、レイドライバーや帝国、同盟連合や共和国という言葉さえない、日本という国がまだ存在していた頃。

　カズはその日本の、とある県にある薬科大学の薬学部に在籍していた。もちろん在籍はしていたのだが、その頃の彼は機械生体工学に興味を示していた。ほどほど薬学とは無縁の世界である。だが、もちろん単位を取るという、大学生にとって当たり前のことはしていた。

　カズが通っていた大学にはもう一つ、応用生命科学部というのがある。

　そこには一人の女性が在学していた。彼女の名前は、天野千歳（あまのちとせ）という、カズ、本名を上田和也（うえだかずや）という彼と同級生の娘である。カズとは、この県ではない別の地方からこの大学に一緒に進学して来た。相思相愛、つまり彼氏彼女の関係だ。

　在学して二年目までは二人とも別々に暮らしていたのだが、そこはもう二十歳を過ぎた二人だ、三年目からは同棲を始めた。

［同棲を始めたおかげ］というべきだろうか、カズは元々朝が大の苦手なのだが、布団の隣に毎日目を覚まさせてくれる人が出来たのだ。

「ほらっ、起きて。起きてってば！　お、き、ろー！」

「あとちょっとだけ、ちょっと……」

「それが遅刻の原因なんだってば！」

　千歳がカズの布団を引きはがす。とは言っても、その布団には今まで自分も入っていたのだが。

「あ～あぁ？　すぃません、スいません、もぅ遅刻はシぃませんか～ら、こっ、今回だけはっ見逃してくぅだ……あれ？」

　盛大に寝ぼけたカズがあたりを見回す。

　すると、

「何言ってんのよっ。これ以上寝てたら遅刻するぞ」

　千歳が大の字で、腰に両手を当てて立ってカズを見下ろしている。

　その彼女は、もともと小柄で［まだ子供です］と言ってもギリで中学生料金で映画館に入れそうな感じの娘である。ショートヘアのせいか、ぱっと見はボーイッシュに見えるが、一点、もみあげの髪の毛を首のあたりまで伸ばしている。それが彼女のトレードマークにもなっている。

　そして、今の姿はと言えば、ショートパンツにフリルの付いた上着という［もういつでも外出できます］という感じに整っている。

　それに比べてカズのなんとだらしない事か。半そでにパンツ姿で、これでは宅配便が来ても出る事は出来ないだろう。まぁ、千歳も先程まではカズと同じような格好だったのだが。彼女はカズと違って朝は別に苦手でも何でもない。普通に起きて、普通に着替えを済ませただけの事である。

　だが、

「ほらっ、寝起きで何だけど、ご飯食べよっ」

　食事はまだのようだ。一緒に食べるつもりで起こしたのだろう。見ればこたつテーブルの上にトーストと目玉焼きが並べられている。

「あ、あぁ。毎日ゴメンな、ありがとう千歳」

　カズが謝罪とも礼ともとれる返事をするが、

「そんな事はいいの。とりあえず着替えて」

　そう言って千歳は服を一式手渡してくる。

　その服にそでを通して、ズボンをはく。カズは元々ショートパンツの類が苦手なのだ。だから初夏、とも呼べるこの時期でも、これから来る夏でもいつもロングの綿パンなのだ。上着も実は同様な理由で長袖の綿シャツを着ている。

　その共通している理由、それは、外で長時間肌が外気に触れていると悪寒がしてくる、というものなのだ。自分でもいつからそうなったのか分からない。だが、確かに子供の頃は短パンに半そでで遊んでいた記憶がある。

　だが、歳を重ねるにつれていつの間にかそんな体質になっていたのだ。

　もちろん、屋外での水泳などもってのほかなのだ。