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魔王討伐に備えてレベルアップ

「エンチャント・フレイムブレイド」

敵との戦いに駆け出した俺の武器が突然燃え上がる。アリアの魔法だ。


「アリア、今回の戦いに補助魔法はいらないと言っただろう。解除してくれ」


「あら、そうだったかしら」

コイツ、まだ拗ねてんのか。

手元に数百度の炎が燃え上がっているのは、辛いので解除してほしいのだが。


「レジストファイア」

飛んできた魔法は火属性防御50%アップのレジストファイアだった。アリアのパーティスキル火属性防御20%アップと合わせても70%の防御しかないから、手元の炎に耐えるのはやや辛い。

くうう、やるしかないか。


「行くぞ、バディ。お前が敵をひきつけてくれ、そしたら俺が雑魚を倒す。ユーリは魔法でゴブリンリーダー殺ってくれ」


「おう」「はい」


バディが前衛のゴブリンを6匹を引きつける。俺は慎重に一匹ずつ殺害していく。

ユーリは取り巻きがいなくなったゴブリンリーダーに魔法を叩き込んでいた。


今回のダンジョン演習の目的はレベル1のユーリのレベルアップだから、理想的な戦いの流れだな。

剣に付与された魔法のお陰で、おれはあっさりと6匹のゴブリンを倒した。レベル1のユーリの魔法は弱いため、ゴブリンリーダはユーリの魔法1発ごとに左腕が飛ばされ、胸が焼かれ、右足がもげて、頭が半分潰れると悲惨な状態だった。


「止めです」

その悲惨な状況にも目を背けず、止めの魔法を放つユーリ。

うーん、コイツも育ちそうだな。



「10分休憩したら、次の狩りに行くぞ。ユーリはMP回復薬を飲んでおけ」

傷ついたバディに回復魔法をかけながら、皆にそう伝える。


「あーーー、疲れたわーーー」

そう言って座り込むアリア。いや、お前は補助魔法かけた後は後ろで観戦していただけだろ。疲れる要素がないと思うだがな。


・・・


小隊の正副勇者パーティは、王国が用意した勇者専用ダンジョンで経験を積む。完全踏破済みのため、野良ダンジョンに比べて安全というのが一番の理由だ。勇者とそのパーティメンバーの育成コストは非常に高いので、スポンサーの王国として死んでもらっては困るし、野良ダンジョンから勇者が逃げ帰るようなことがあれば、勇者パーティの信頼が傷づくからだ。

ただ、勇者の数が多いので演習時間は3時間と決められている。この時間で多くの経験値を稼ぐ必要が出てくるが、無理は禁物だ。

ユーリのレベルを3に上げたいところだが。

そう考えながら、3時間モンスター狩りを行った。


「え、このモンスター倒れません」

止めの魔法を放ったユーリが驚きの声を上げる。


「む、魔の祝福を受けたモンスターか。バディどいてくれ、勇者の一撃」

このダンジョンでは低レベルの階層でも、魔の祝福、魔王の祝福、上級魔族のオーラーなどの特殊スキルを持ったモンスターが現れることがある。

これらのスキルを持ったモンスターは、勇者が勇者足らしめている固有スキル【勇者の一撃】でないとHPを0にできない。つまり、俺の出番だった。


「ふーん、やるじゃない、さすが勇者といったところね」

アリアの称賛が素直に嬉しい。

物理攻撃で戦士に劣り、物理防御で騎士に劣り、攻撃魔法で魔術師に劣り、回復魔法で僧侶に劣り、呪文の数で賢者に劣り、特殊能力の数で盗賊に劣るなど、なんでもできながら専門職に劣る勇者の固有スキル【勇者の一撃】は、勇者が誇るアイデンティティだった。

勇者以外には絶対にできないことを勇者の俺はできる。本当に誇らしいぜ。


今回の演習の結果、俺とユーリのレベルが上がった。


グラーナー:勇者レベル4からレベル5にレベルアップ

アリア:火風特化魔術師レベル7のまま

バディ:戦士レベル5のまま

ユーリ:召喚系魔術師レベル1からレベル3にレベルアップ


アリアは勇者昇格戦で7人を戦闘不能にした経験点により、レベルが6から7に上がっていた。理不尽なことだ。

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