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フラッグミッションっ!! 後編

後編ですっ!

ニック・ポッキー・カールは暗闇の中、先行させたライトトーチの光の球のを頼りに足に丹氣を付与して、滑り易い巨大な石筍の上をすっかり慣れた物、といった調子でヒョイヒョイと跳び渡り続けていた。

石筍の陰に人の子供程の大きさの、1つ目の猿の様なモンスター、『スモールトロール』がいることがあったが、時折石を投げてくる個体がいるくらいであまりニックに関心は無さそうだった。


「よっ、ほっ、危ないなぁ。スモールトロールは過度に接近しない限り害は無い、って講義で習ったんだけど? 結構、石、投げてくるじゃん??」


と、2つ続けて、それも1つは進行方向を読んで投げ付けてこられ、石筍の上で体を大きく仰け反らせて躱すニック。


「腰がっ・・俺じゃなかったらここまで2回はリタイアしてるよっ?!」


前方に次のフロアへの入り口が見えてきた。


「ここらかな? ・・あらよっとっ!」


十分ではないが灯りのあるフロアだったので、持続時間3秒程度で光量を上げた光の球を引き寄せて後方に残し、牽制してからフロアに跳び込んだ。

石筍からやや距離のあるフロアに跳び移る際を投石で狙われたくなかった為だった。

フロアに跳び移ったらすぐに低い姿勢で少し駆け込んで入り口の脇の安全圏に入り、小さな鏡で後方を少し確認する。

デタラメな狙いの投石が数発続いたが、それもすぐに止んだ。スモールトロール達がフロアまで乗り込んでくる気配は無い。

このフロアに他のモンスターはいないはずだが、多種多様なモンスターがいるダンジョンでは特に、通常動線の範囲を越えてテリトリーを侵すことはタブーであった。

溜め息を吐いて、その場に腰を下ろし、棒状携帯糧食1本と水筒、マップとコンパスと座標石を取り出すニック。


「探索走破系ミッションのはずが、ソロだと潜入脱出系ミッションみたいになっちゃうよね・・」


モソモソと糧食を食べつつ、水筒のハーブ水を飲むニック。ポーションもエーテルも既に使い切っていた。普通に飲み食いして休む以外に回復方法は無かった。


「ここからは・・だよな。もう後半じゃん。ヒロシさんとタイミング合わないなぁ」


マップを確認するニック。後半になってくると進行ルートが絞られてくるので、ハグれていても他の受講者と遭遇し易くはなる。

ニックもソロになってから何組かのグループと出会していたが、あまり友好的でなかったり、進行ルートが違ったり、即席でもチームが固まっている様子だった為、ここまでソロを通していた。

単にヒロシと合流するというプランに従っているつもりのニックだったが、 実はジェイン達にハブられたことが地味に堪えていて、ヒロシでもマチカでも、誰かしら友好的な同期生と合流してからじゃないとこの課題を終えたくない、という思いがあった。

末っ子気質、である。


「近くの治癒の泉は・・2ヶ所。そのままラストのフラッグフロアに直行できないでもない」


運営が設定した回復ポイントである治癒の泉は1つは近いが、もう1つはやや遠くフラッグフロアの側で、そこが最後の回復ポイントだった。


「まだゴールしてないとして、ヒロシさんの性格ならフラッグフロアにアタックする前に回復させたり、他の受講者達と合流してミーティングしたりするよな?」


『ヒロシ的な行動』を推測するニック。

フラッグフロアの手前のフロアには『撃破後、7分で復元』と明記された土の大型魔道人形『ソイルゴーレム』1体の配置がマップに記載されている。


「ソイルゴーレムはまぁ撃破必須だろうし、ソロでは行かない。他のグループのおこぼれ通過は偶然かバンビの人達じゃないとカッコ悪い。やっぱ・・ここだ!」


ニックはフラッグフロア近くの治癒の泉を目的地に定めた。

出した物を片付け、靴紐を結び直し、2本のダガーの刃こぼれ具合、残弾4発のリボルバーを目詰まりの有無等を確認し、ニックは立ち上がり、小走りに駆け出していった。



マチカ・ソチカ・ドチカは鈴蘭種のワープラント族のチュンコと共に、ニックとは逆で延々とつらら石が続く天井を進んでいた。灯りはマチカが造って先行させてるライトトーチ。

飛行しているワケではない。まずマチカが小柄なチュンコを背負い、次にロープで2人の身体をしっかり固定する。

そしてチュンコが種族特性の『蔓操作』の能力で、つらら石に身体から発生させた蔓を巻き付けて2人を持ち上げる。後は蔓を使ってつらら石からつらら石へと渡ってゆく、という移動の仕方だった。

チュンコは2人分の重量と振り子の様に移動する反動を支える為、蔓を腕だけでなく、肩や背にまで回して張り巡らせ、負荷を分散させていた。

つらら石の天井の下は地下水が溜まった広大な湖であった。深さはあまり無く、馬低度の大きさの淡水に適応した海牛型モンスター『オオカワウシ』達が半身を水面から出して徘徊としていた。

基本的には水底の藻や微生物等を食べているが、人や亜人も食べる。

順路から大きく外れている上に危険過ぎる為、飛行系の能力が使えない受講者はまず利用しないルートだった。

ぶら提げたマチカを運搬する形になっているチュンコはかなりの速度で移動していたが、号泣もしていた。


「ふぇええっ! 蔓と腕が痛過ぎますぅっっ。肘と肩と背中ももげそうっ。ロープもキツいし、足も痛いですぅっ!!」


「蔓、神経通ってるんだ」


ロープがキツいくらいは何ともなく、運ばれているだけのマチカは干物か何かになった気分で、至って呑気にしていた。


「通ってますよマチカさん?! 私の身体から生えてますよねっ?! 苦手なんですよ蔓の操作っ!」


「大丈夫だよ」


「根拠はっ?! 今、軽く言いましたよね??」


 ちょっと笑ってしまいそうになるのを堪えるマチカ。


「大丈夫大丈夫。頑張ろうよ? 下、落ちたらさすがに私もキツい。本気になったオオカワウシは結構速く動くって言うし」


泣きながら移動しつつ、地下の湖で蠢くオオカワウシを改めてチラリと見るチュンコ。1体と目が合った。ドロンっとした、『餌かもしれない物』を見ているだけの視線だった。


「ちゃーっ?! 無理ぃーっ!!! だからショートカットするの嫌だったんですよぉ??!」


「いや、順路だと結構色んなモンスターとカチ合うから、装備品あんまり残ってない私達は厳しいよ?」


「ふぇええっ!!」


ボロボロ泣くチュンコ。マチカは困惑した。


「ああ~、わかった。チュンコ。私、丹氣術の上級クラスで回復できる『軟丹氣』を習ったから、私の丹氣をちょっと分けてあげるよ」


「ホントですか?!」


「他対象を回復するのはあんまり得意じゃないけど、やってみる・・」


集中するマチカ。体内で丹氣を練り、それで『癒す』ことをイメージして背中越しに小柄なチュンコに譲渡した。

焼け付く様なマチカの丹氣がチュンコの体内に流れ込む。


「ちゃーっ?! アチチっ! 熱いですマチカさんっ。加減して下さいっっ」


次のつらら石に跳び移れず、やや低い位置でぶら提がったままの状態にしてしまうチュンコ。

オオカワウシ達が反応し、急激の速度を出してマチカとチュンコ達の真下に集まってくる。


「ヤバっ。チュンコ落ち着いてっ! 加減するからっ。おかしいな、そんな熱いかなぁ?? こうっ?」


やんわり丹氣を流してみるマチカ。


「っ?! ふぁ~~っ・・」


うっとりするチュンコ。


「まるで春の日差しの様です。脚、お腹、背中、胸、肩、腕、首、頭、じんわりとします。凝り、だるさ、炎症、痺れ、眠気、肌荒れ、解消されてゆきます。ありがとうございます。春と言えば、デカラ山の祖母の家の近くにはピクニックにちょうどいい・・」


「語りだした?!」


意外な反応に改めて困惑するマチカだった。

2人はそれから6分余り掛けて、しかし速度が有った為、かなりのショートカットに成功して、地下の湖のエリアを突破した。



ヒロシ・ドーガ・ヤクトは4人の同伴者と共に灯りの点いたスィッチ4つ並んだ部屋に来ていた。


「・・このダンジョン、こういう仕掛けもあるんだ」


額に小さな角を生やしたハーフゴブリンの女の受講者がしげしげとスィッチを見比べながら言った。柄が半ばで折れたミドルスピア-1を持っている。


「・・部屋には何の情報も無さそうだな」


周囲を見回すヒロシ。既にダンジョンの後半まで来ていたが、未だに穂先のあるミドルスピアをキープしていた。物持ちの良いヒロシ。


「順路でここに来るまでに何かヒントが有ったんだろうよ。俺達は途中の壁登ってショートカットしちまったから、わかんねぇな」


南方乾燥地帯系の黒い肌の人間族の男の受講者が言った。槍の穂先は無くしているが本人はさほど消耗してないらしく、欠伸混じりだった。


「俺達はまだ盗賊の職能は学んでいないし、機械や魔道装置の類いの扱いに詳しいワケじゃない。判断材料が無いなら多少遠回りになってもここはスルーしよう」


今は人間に近い姿をしているが、耳が鰭状で首元等に鱗が見える人魚族の男の受講者が言った。ヒロシ同様、ミドルスピアを完全な形でキープしていた。


「せっかくショートカットしたのにまた遠回りすんの? あんた慎重だねぇ」


ハーフゴブリンの女は面倒そうに言って振り返ったが、振り返った拍子に持っていた折れた槍の柄の先が、スィッチの1つをカチっと押した。

ブゥウウン、と起動音が鳴りだす。


「あっ」


「マズいっ!」


「あ~あ」


「最悪だっ」


次の瞬間、立体的な魔方陣にヒロシ達は包まれ別の場所にテレポートさせられた。


「っ?!」


ヒロシはただ1人、まばらな灯りの有るダンジョンの通路に居た。


「・・まぁ峰打ちの試験で助かったな」


テレポートトラップは即死もありえる。小さく溜め息を吐きながら、瞬間を確認し、手近な石に座り、マップとコンパスと座標席を取り出すヒロシ。


「・・・お、良かった。前半に戻されたワケじゃない。軽いペナルティってとこか?」


ヒロシはダンジョン後半エリアのやや外れたポイントに飛ばされていた。

多少距離はあるが概ね最終目的地のフラッグフロアまで直通するルートを取れる位置にいた。脇道に入れば最後の回復ポイントの治癒の泉にも寄れる。


「どのくらいのサイズの個体かわからないが、ソイルゴーレムはソロじゃキツい。他のパーティーのおこぼれを狙うのもアレだし、治癒の泉で他の連中と合流するか。皆、同じこと考えるだろう」


経緯は特殊だったが、ヒロシはニックの読み通りの考えに至り、出した物を片付け立ち上がった。

武器はラバー弾の残数が12発なった以外はそのまま残っていた。序盤に拾った穂先もまだ持っている。ポーションとエーテルは臭気玉も1つずつあった。

細かな分岐ルートを慎重に選べば問題無い様に思えた。


「よしっ。何かそろそろニックかマチカに会いそうな気がしてきたな」


ちょっと笑ってしまいつつ、ヒロシは通路を駆けだした。

暫く進むと道は二手に分かれた。どちらに進んですぐに道は合流するが、経由するフロアが違った。

左のルートのフロアには骨のアンデッド、『スケルトン』が配置。右のルートのフロアには浮遊する海月型モンスター、『キラーエチゼン』が配置。

どちらも個体数は不明。臭気玉は利かない。明らかに配置モンスターである為、生態からコンディション等を推察することは不可能。

ヒロシは迷わず右のルートを選んだ。スケルトンは武装の度合いが不明で、どちらにせよ硬いので貧弱な槍の破損リスクが高かった。

右のキラーエチゼンは麻痺攻撃をしてくるが身体は柔らかい。持ち物を組み合わせれば対処できそうでもあった。

・・ヒロシは右のルートのフロアの入り口まで来た。入り口の陰から様子を伺うと、フロア一杯の中空にキラーエチゼン達が漂っている。

フロアの端に魔方陣があった。おそらくここから一定周期で、定められた個体数がキープされる様に召喚される仕組みになっていると思われた。

床に破損した武器や、ラバー弾、スローイングナイフ等が落ちているので既に先行した受講者もいくらかいる様ではあった。

キラーエチゼンの死体が見当たらないのは、このモンスターに共喰いの習性があるからに違いなかった。


「多いなっ。松明だけじゃ捌き切れないか・・」


キラーエチゼンは炎に弱いので、ヒロシは細鎖で繋いだ火の点いた松の木切れを振り回して牽制すれば良いと思っていたが、想定より遥かに数が多い。

火が消えない程度の回転で振り回しながら走っても処理が追い付きそうになかった。


「・・色々やってみよう」


ヒロシは気を取り直し、細鎖、槍の穂先、松の木切れ、油紙包装、マッチ、ただの布切れ、折り畳みポケットナイフを取り出した。

小さく口笛を吹きながら、穂先と細鎖をしっかり繋ぎ、ベタ付く木切れの端にナイフで裂いた布切れを結び付け、反対側に油紙を巻き付ける。


「いいねっ! よ~しっ」


マッチを擦り、結んだ布越しに持った木切れの油紙に火を点けるヒロシ。木切れに勢いよく火が点き、即席の松明になった。


「悪いが、炙り焼きにするぜっ?」


目指すフロアの出口までの直線の動線を確認しつつ、漂うキラーエチゼン達がちょうど良い位置に来るのを待って、ヒロシは大きく振りかぶって松明を出口に向けて投げ付けた。


「っ?!」


「っ!」


突然飛んできた松明に炙られ、慌てて道を開けるキラーエチゼン達。ヒロシは即座に左手に槍、右手には穂先と繋げた鎖を持ってフロアに駆け込んだ。


「押し通るぞっ?!」


鎖越しに丹氣を薄く穂先まで通し、強化して素早く振り回し、威嚇し、寄れば切り裂いて突進するヒロシ。

ほぼ水平に構えた槍の柄が邪魔で鎖の旋回を低い位置に持ってゆけないが、キラーエチゼン達にそれを看破する知性は無かった。


「ヤバいっ」


入り口付近は松明の効果で道が開けていたが、出口付近にはキラーエチゼン達が固まっていた。


「オオッ!!」


ヒロシは鎖に強目に丹氣を通し、気合いと共に強引に振り払った。穂先で纏めて切断されるキラーエチゼン達。

だがパキィンッと、穂先は砕け散ってしまった。


「っ!」


ヒロシは細鎖を投げ捨て、丹氣を通したミドルスピア-1を両手で持ち直し、出口の 前に躍り込んで来た2体を斬り伏せ、転げる様に出口を越えた。

すぐに後方を確認したが、キラーエチゼン達はフロアの外まで追って来れないどころか、認識することもできないらしく、ヒロシのことは忘れ、仲間の死骸を喰らうことに夢中になりだした。


「はぁはぁ・・そんな感じか。中々厳しい世界で生きてんだな」


ヒロシは苦笑し、その場に座り込んで水筒のハーブ水を飲んだ。出口まで投げた松明は、通路の先に落ちて木切れ全体が燃えており、もう持ち歩けそうになかった。

1分程で呼吸を整えたヒロシはマップを確認してから立ち上がった。

見れば槍の穂先が少し欠けていたが、最後の治癒の泉までもう特にモンスターに遭遇する機会は無さそうであった。



・・ニックは最後の治癒の泉近くまで来ていたが知らぬ間に下り坂に入ってしまい、マップの高低の表記が曖昧な為に微妙であったが、このままゆくと違うルートに潜り込んでしまう可能性があった。


「ええ? 下に下がってる?? 表記の高低がわかり難いんだよぉ・・」


マップ片手に引き返すべきか先まで行って確認すべきか思案するニック。と、


「おおい」


「っ?!」


急に上から声を掛けられてビクっとなってしまうニック。ふり仰ぐと崖の上にも通路があり、その端にヒロシが笑ってしゃがんでいた。


「ヒロシさーんっ!!」


ちょっと泣きそうになったが、さすがにそれは我慢するニック。


「よう、ニック。まだゴールしてなかったのか? 俺もだけどなっ、ははっ」


「いや、俺、治癒の泉に行こうと思ったら変なとこ入っちゃって」


「そっちは違うんじゃないか? こっちも順路じゃないみたいだけど、治癒の泉に直行だぜ? 待ってろ、今、ロープ垂らしてやるよ」


「あ、大丈夫。俺、ここに来てから『壁走り』覚えたからっ!」


「え?」


ニックは足裏に効率良く丹氣の付与し、一気に壁を駆け上がりだした。


「おおっ?? ニックっ?!」


驚愕するヒロシをよそに、ニックはあっという間に壁を登り切り、ヒロシのいた通路に到着した。


「へへっ、学校帰ったらコツ教えるよ?」


得意気なニック。


「凄いなお前っ」


「というか、ヒロシさんまだ槍持ってるじゃん?! どんだけ物持ちいいの??」


「ああ、まぁな。最後のゴーレム戦で使いそうだし」


「俺なんか、ラバー弾も臭気玉も回復薬ももう無いし、ダガー2本だけだよ?」


「そうか。ラバー弾は12発ある。ポーションは1本しかないが、お前の方がリスキーだろ? 弾6発とポーション、やるよ」


弾6発とポーション1本を当たり前の様に差し出すヒロシ。今度はニックが驚愕させられた。


「マジで?! 聖人? 聖人なのヒロシさんっ?!」


「大袈裟だって。ところでマチカは見なかったか?」


「いや、わかんない。ううっ」


半泣きになってヒロシを戸惑わせるニックだったが、ともかく2人は合流できた。



一方マチカは、引き続きチュンコを背負ってロープで固定したまま最後の治癒の泉からやや離れてはいるが、直通はできるヒロシ達とは別のルートを走っていた。

背後から足と目が幾つか付いた大型のキノコの様なモンスター、『ヘルマッシュ』の群れが追って来ていた。


「ああああ・・もはや、私はマチカさんの背に貼り付いた何らかの付属品の様です」


元気良く走るマチカに揺さぶられ続け、身体がほぐれ過ぎて何だか全身ダルくなってきたチュンコ。


「チュンコ! 魔法か何かで足止めしてっ。この先、下り坂だからっ。転がってこられたら追い付かれるっ!」


「わ、わかりました。あああ・・魔力はあんまり残ってないけど、威嚇弾は装填、してあります・・んんんん」


ガクガク揺さぶられながら、チュンコは留め具を外し、ホルスターから2連装のグレネードガンを右手で抜き、ロープがキツいが何とか振り返って銃を構えた。

体勢が悪く、銃の向きが上下逆さまになっていたが、何とかヘルマッシュの群れの先頭に照準を合わせる。


「・・あばよ、です」


チュンコは引き金を引いた。放たれた炸裂威嚇弾は先頭個体の足元に着弾し、激しく破裂した。


「っノコーっ?!」


「ノココっ!!」


口は見当たらないが、謎の言語で混乱し、先頭の個体数体が転倒すると、それに後続が躓き、連鎖的に転倒してゆくヘルマッシュ達。マチカは一気に距離を稼いだ。


「やったっ。やりましたよマチカさんっ! ・・マチカさん?」


「舌噛むよ? 黙ってっ」


下り坂に差し掛かると足に丹氣を乗せ、マチカは加速した。


「ちゃーーーーっ???!!!」


「・・この通路、たぶんずっとアイツら動線だよ。抜けて違うエリアに行くしかないっ」


「速っ、速、危な、危っ、あぶ・・っ! あわわわわわっ?!!」


チュンコがせっかちな料理人が作る手捏ねハンバーグのタネの様にされながら、マチカは素晴らしい速さで通路を走破し、結果的に最後の治癒の泉に近付いていた。



そしてヒロシとニックは・・順路ではないので正面出入口からではないが、最後の治癒の泉にたどり着いていた。

そこは泉のあるフロアの周囲を円形に、そう高くはない崖がそそり立って囲む構造になっていた。下のフロアには灯りが多かった。

泉を挟んで開け放たれた正面出入口とは逆の位置に、崖の上の高台フロアへと上がる階段が造られていた。

高台フロアはいくつかの通路に繋がっており、ヒロシ達もその1つからここへ来ていた。

後は下のフロアに降りて泉で回復し、他の受講者達と合流し、ソイルゴーレム攻略のミーティングをするだけなのだが・・


「フゴォオオオーーーッ!!!!」


「ヒィイイイーーーッ!! 助けてくれえぇーっ!!!」


「死ぬっ! 死ぬぅーーっ!!!」


下のフロアで、小屋程度なら一撃で吹っ飛ばせるくらい大型の、多数の牙を持つ単眼の猪型モンスター、『ファングチャリオット』に受講者2人が追い回されていた。

高台フロアを含むフロア全体に臭気がうっすら漂っているところをからすると既に臭気玉は使っているらしい。


「ファングチャリオットはこんなとこ来れたっけ?」


唖然とするヒロシ。ファングチャリオットの出現エリア、及びその動線はダンジョンの外と繋がったフロア近くに限定されるはずだった。

そこは攻略順路から完全に外れており、この最後の治癒の泉からも相当離れていた。


「・・あっ! 繋がってるよヒロシさん。このライン、相当無理矢理だけど」


取り出したマップに、冒険者ギルドの羊のシンボルマークの入った金属製のボールペンで線を引いて示すニック。確かに通そうと思えば通せなくもないルートがあった。

途中、何種か他のモンスターのテリトリーもあったが、全てファングチャリオットからすれば『補食対象』である。

加えて一番安全な順路で最後の治癒の泉へ向かうと、幾つか扉を開かねばならず、その扉を開くとファングチャリオットの通り道ができる構造でもあった。


「他のモンスターのテリトリーを突破して、受講者に塞がってる扉を開けさせて来れる配置・・酷いっ」


「運営の悪意を感じるよっ」


ヒロシとニックがゾッとしていると、


「ヒロシっ! ニックっ! こっちだっ」


「早くっ!」


高台フロアにはヒロシ達の他に4つのグループが来ていて、その内一番近くにいた豚型亜人のオーク族と大柄なゴブリン族のホブゴブリン族のコンビが呼んできた。2人共、なぜか水浸しだった。

ヒロシとニックは顔を見合せてから2人の元へ駆け寄った。


「ガノーン、マサル。お前ら遅れてたはずなのにもうここまで来てたのか?」


「何で濡れてんの?」


「デカブツ組の中でも遅れ過ぎたから、水路でショートカットしたっ」


「酷い目に遭った・・ま、それは今、どうでもいいんだよっ。下のヤツらヤベェぞっ?!」


「う~ん」


「ファングチャリオット、腐肉も喰うから臭気玉あんま効かないんだよね」


改めて下のフロアを見ると、追い回されている2人が階段を昇ろうとしたり、治癒の泉で回復しようとすると、素早く周り込まれていた。


「学習されてんな・・」


「確か、猿と同じぐらいの知恵があったと思う」


「猿か」


「賢いよね」


感心するヒロシとニック。


「いや感心してる場合かよっ!」


「この場に居合わせた以上、スルーは減点だぜっ?」


他人を助けようとする時、『減点されるから』と理由付けできるのは場合によっては悪くないシステムだな、と思ったりするヒロシ。


「さっきから考えちゃいるよ、2人の装備は?」


「槍は2人共とっくに無い。マグナムの残弾は俺は3発」


「俺は2発。奇襲するならまぁ1回だろな。ポケットナイフも残しちゃいるが・・」


「1回かぁ」


「他の連中にも確認するよ」


ニックが他の3つのグループに懐中電灯で発光信号を送った。


『やれそう?』


大雑把な信号に一瞬当惑の表情を浮かべる他のグループ達だったが、すぐに懐中電灯を使った発光信号を返してきた。


『問題無い』


『下には降りないが協力する』


『さっさとやれ』


温度差はあったが、協力はしてくれそうだった。


「だってさ」


「他は魔法得意そうだが、物理はそうでも無さそうだし、槍をまだ持ってるのは俺だけか」


「雑に降りてもありゃキツいぞ?」


「段取り組もうぜヒロシ。ニックもなっ」


「いや手伝うってっ」


ヒロシ達は頭を突き合わせ、下で追われている2人がヘロヘロになってきているので手短に打ち合わせを済ませ、発光信号で他のグループにも手筈を伝えた。

約4分後、下で逃げ回る2人が青い顔になりだしたタイミングで、ヒロシ達は行動を開始した。


「光よっ!」


「雷よっ!」


「炎よっ!」


他の3つのグループの魔法の使い手が、立て続けに光のナイフを多数放つ『ライトダーツ』、雷で撃ち据える『サンダースタンプ』、火球を放つ『ファイアボール』を放った。


「フゴォオオオーーーっ?!」


弾速の遅いファイアボールと命中精度の低いサンダースタンプは躱され、ライトダーツのみファングチャリオットの背に命中したが、毛皮に刺さっただけで大したダメージにはなってはいない。

それでも注意は引けていた。


「2人は治癒の泉にッ!!!」


「ヤケクソだっ!」


「初期装備の設定がおかしいんだよっ!」


ミドルスピア-1を持ったヒロシ、マグナムを持ったオークのガノーンとホブゴブリンのマサルは崖を三手に別れて駆け降りた。ニックは高台に残り、集中している。

追われていた2人はフラフラになりつつ、治癒の泉に向かった。ファングチャリオットは逃れゆく2人と、向かってくる3人、高台の上から攻撃した3組の『餌達』を見比べ、対応が後手に回った。

ヒロシよりも遅いが、ガノーンとマサルが挟み込む様に走り寄りながら両手で持ったマグナムで大型ラバー弾を連射して、ファングチャリオットの牙を3割程度叩き割り、さらに行動を遅らせた。


「っ!!」


ヒロシが左手に槍を持ち、右手を腰の後ろに回してファングチャリオットの正面に走り込む。


「フゴォオオオーーーッ!!!」


残った牙と『突進』のパワーでミンチにすべく、ファングチャリオットはヒロシに躍り掛かろうした。

ヒロシはニヤリと笑って、腰の後ろに回していた手でウェストバッグから引き抜いた、淡く輝く水の入った口の結ばれた樹脂袋をファングチャリオットの眼前に投げ付けた。

中の水はニックが先に『クリエイトウォーター』の魔法で造っておいたただの水、しかし、ニックの支配化にある触媒だった。


「水よっ!!」


高台で集中していたニックは、ヒロシが投げ付けた触媒を介して、回転する水の錐を放つ『ウォーターバレット』遠隔発動させた。

樹脂袋を破り、放たれた水の弾丸は正確にファングチャリオットの単眼に撃ち込まれた。


「フゴォオオオーーーッ?!」


絶叫して仰け反るファングチャリオット。


「オオオォーーーッ!!!」


ヒロシは丹氣を込めたミドルスピア-1の穂先をガードがガラ空きになったファングチャリオットの喉元に突き刺した。

そのまま、ファングチャリオットの巨体を軽く持ち上げ、バタつかせる両前肢を浮かせるヒロシ。傷口から溢れた血液が丹氣に弾かれて飛び散った。

この状態でもファングチャリオットは前肢でヒロシを蹴り殺そうとしたが、


「ふんっ!」


「そいやっ!」


大柄なガノーンとマサルが素手で右前肢と左前肢にそれぞれ組み付いて防いだ。


「炎よっ!!」


高台の上のグループの1人が再び火球を、今度は身動きの取れないファングチャリオットの顔面に撃ち込んだ。

火球が爆発し、拍子に槍の柄が折れ、ヒロシとガノーンとマサルは慌ててファングチャリオットから離れた。


「危なっ?!」


「焼豚になっちまうっ」


「うははっ、ウマいこと言うなっ」


ドウッ、と倒れた頭部を炎に包まれ、喉に柄の折れた槍が刺さったファングチャリオットは暫く踠いていたが、やがて事切れた。

ヒロシが丹氣を解くと、持っていた石突きの方の柄はバラバラに砕け散ってしまった。


「やったなっ!」


「ウォオオーーーッ!! 見たかオークの戦士の力っ!」


「まだ採用されてないけどなっ」


他愛なく喜ぶヒロシとガノーンとマサル。

見れば、先に逃げ回っていた2人も治癒の泉の側でへたり込んではいたが、顔色は戻っていた。


「ヒロシさーんっ、2人も、やったじゃんっ! 俺の超高等テクニックっ、遠隔水魔法もバッチリ決まったしねっ!」


ニックも下に降りてきた。


「上の皆もありがとなっ、早く降りて来いよっ? ソイルゴーレム戦の・・」


「後ろだっ!」


ヒロシが高台フロアのグループ達に呼び掛けていると、グループの1人が鋭く叫んだ。


「っ?!」


振り返ると正面出入口からファングチャリオットがもう1体走り込んできた。


「嘘だろ?」


「フゴォオオオーーーッ!!」


「光よっ!」


「雷よっ!」


高台グループのまだ余力のあった2人がライトダーツとサンダースタンプを放った。

サンダースタンプは当てられないと判断して進行妨害目的に猛烈な勢いで突進するファングチャリオットの前方に落とし、ライトダーツは手堅く背に命中させた。

だが、ファングチャリオットは目の前に落ちた雷にも、背に刺さった光のナイフにも全く怯まず突進速度を緩めなかった。

ヒロシはポーチからニックとガノーン達から預かっていた分と合わせて、既に伸ばした状態でポーチに入れていた折り畳み式ポケットナイフ4本を取り出し、丹氣を込めて真っ直ぐ自分に向かってくる2体目のファングチャリオットの顔面に投げ付けた。


「フゴッ!!」


急所の目へのヒットはさすがに嫌って首を振るって牙でポケットナイフを打ち払うファングチャリオット。突進速度が少し緩んだ。

その隙に散開するヒロシ達。取り囲まれる形になったファングチャリオットは直線的な突進は止めざるを得なかったが、動きは止めない。

ジロリ、と頭部を焼かれた同族の死体を横目で見て鼻息を吐く。


「俺達も加勢するっ」


「6人掛かりならいけるっ」


治癒の泉の側でヘバっていた2人もダガー2本を構えて参戦してきた。ガノーンとマサルもククリナイフの二刀流で構える。ヒロシとニックもダガー2本だった。

高台グループの魔法の使い手3人は疲弊している様子だった。


「フゴォオオオーーーッ!!!」


大暴れする2体目のファングチャリオット。リーチの短い武器しか持っておらず、ニックも魔力が尽きているらしく、一同思う様に手出しできない膠着状態になった。


「だぁっ!! ただ囲んでるだけだっ。ジリ貧だぜっ?!」


「上の連中もだけど、交代で治癒の泉で回復するしかないねっ」


「それしかないか・・」


ヒロシがニックの提案に乗ろうとすると、


「どいてヒロシっ!」


「ちゃーっ!」


まだマチカに背負われたままのチュンコが治癒の泉のフロアの天井のつらら石に蔓を巻き付けて、下のフロアに飛び込んできた。

ヒロシのいた場所に割って入る様に着地すると、すぐにマチカがファングチャリオットに走り出したのでチュンコは慌てて蔓を解いた。


「ハァアアーーッ!!」


「降ろしてから戦って下さいぃ~っ!」


丹氣を練りつつ、ファングチャリオットに突進しだすマチカ。『特にプランは無い』のは明白だった。少なくともマチカを知るヒロシとニックにはわかった。

他のメンバーが判断がつかないでいる中、ヒロシとニックはアイコンタクトを取り、すぐに実行した。


「光よっ!」


なけなしの魔力で持続時間0のライトトーチを2体目のファングチャリオットの眼前で弾けさせるニック。僅かだが隙はできた。

ヒロシはダガー1本に瞬間的に練れるありったけの丹氣を込めてファングチャリオットの前肢の付け根の辺りに投げ付けた

丹氣の乗ったダガーはファングチャリオットの左前肢の付け根に浅く突き刺さった。


「っ!」


ガクッと体勢を崩すファングチャリオット。その左横腹へチュンコを背負ったマチカが駆け込んできた。


「ディヤァアアーーーッ!!!」


「ちゃぁああーーーーっ?!!」


丹氣を最大に込めた駆け込み横蹴り技『鉄串』を2体目のファングチャリオットの横腹に打ち込むマチカ。

丹氣の練りが荒かったのか、皮のブーツと靴下と膝から下の麻のアーミーパンツが弾け飛んだ。

綺麗に爪を切り揃えた右足で、マチカはファングチャリオットの巨体を4メートルは吹っ飛して仰向けにダウンさせた。

軽く吐血して仰向けのまま踠くファングチャリオット。


「フゴッ、フゴッ・・ッ!!」


高台グループの3人の魔法の使い手達も気合いで手習いの腕輪を構えた。


「ひ、光よっ!!」


「雷よぉっ!!」


「燃えなさいよぉっ!!」


ライトダーツとサンダースタンプとファイアボールが、仰向けになった2体目のファングチャリオットの頭部を襲い、魔法同士が反応して爆発が起こった。


「うおっ?」


「マチカちゃんっ!」


「お腹触んなっ」


「そこはマチカさんの腰ではなく私のお尻です・・」


「わっ? ごめんっっ」


咄嗟にマチカを庇ったニックはマチカとチュンコにジト目で睨まれるハメになった。

爆発が収まると、2体目のファングチャリオットの頭部は完全に消し飛んでいた。


「オーバーキル気味だが、今度こそ、片付いたよな?」


ヒロシがそう呟いて正面出入口を見ると、マチカとチュンコ以外のメンバーはギョッとしてそれに習った。通路の向こうに・・魔物の影は無かった。


「あ~、腹減った。糧食もう残ってねぇしっ」


「もう今のが最後で十分だろ? クドいぜっ」


大柄なガノーンとマサルが、どすっ、とその場に座り込み、一同はようやく安堵したのだった。



・・居合わせた総勢18名は出入口の扉を一応閉めてから、治癒の泉で回復した。

泉の水の回復効果は充填式らしい泉の構造物依存で、持ち出してもすぐにただの綺麗な水になってしまうが、水筒のハーブ水は全員消耗していた為補充はしていた。

マチカは左足のブーツと「片方だけだと気持ち悪いと」と靴下も捨て、アーミーパンツの左足の膝から下も千切ってしまった。

皮靴や靴下の代え等無い為、自分とチュンコや居合わせた他の受講者から分けてもらい、二重に巻いたただの布切れの間に油紙を挟む形で、即席の布靴にしていた。

その後、さらに受講者3名と合流し、21人掛かりで最後の関門であるソイルゴーレム戦に挑んだが、強敵ではあったものの、身も蓋も無い袋叩きで3分も掛からず撃破した・・・。



21人の大グループになったヒロシ達は最後のフラッグフロアに到達した。そこはダンジョンの天井が崩落したフロアらしく、信じ難いがまだ午前中の、冬の冷たい日差しが降り注いでいた。

取るべきフラッグは大きな平岩の上に置かれた十数個の鉄籠に無造作に入れられていた。

ここまで直接は姿を現さずダンジョンの物陰の主に安全ルートから様子を見るばかりだったギルドサポーターの者達が数名、大っぴらに控えていた。

 ヒロシは治癒の泉での2度目のファングチャリオットの来襲はサポーターか指導官の介入じゃないかと勘繰っていたので、少し身構えるところもあった。


「フラッグを取ればクリアです。もうトラップもありません。皆さんの前には10名しかゴールしておりません。上位と言ってよいでしょう。おめでとうございます。さぁどうぞっ!」


急にレクレーション感を出されて祝福され、そこそこ死にかけた者も多かった為、ちょっと微妙な雰囲気になる一同だったがそれぞれ平石に歩み寄り、フラッグを取った。

ヒロシ、ニック、マチカ、そして既にマチカから降りていたチュンコは青地に羊のシンボルの絵柄のフラッグを手に、顔を見合わせた。先に土のゴーレムと戦ったこともあり、全員土まみれだった。


「風呂に入るのが楽しみ過ぎるなっ」


「風呂よりビールだよっ、ヒロシさんっ?! でもこっからバス移動長いんだよなぁ・・」


「肉食べたいっ!」


「マチカさん、足怪我してないかちゃんと診てもらった方がいいですよ?」


一同はワイワイ言いながら、安全な離脱ルートで特別講義課題用ダンジョンから撤収していった。



翌日、個別面談が行われ、10名がギルドサポーターへ転向することが決まり、また7名が他科へと移ることになった。

今期の冒険者ギルド学校戦士科は56名となった。

さらに翌日、残存受講者に戦士としてのレベルの仮認定が行われた。

ヒロシとマチカはレベル4、ニックはレベル3、チュンコはレベル2だった。レベル2は『スポーツ経験者』程度。

仮認定とはいえ、ギルドによるレベル認定は一定の身分証明になる。しかし、それは法的な責務も伴い、加えて不正な冒険者は他の冒険者の『狩り』の対象にもなった。

レベル認定はその者の危険度を公に記録する、1つの制約でもあった。

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