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芳山教授の日々道楽「運動屋」

作者: ヨッシー@

短編小説 芳山教授の日々道楽「運動屋」


金、金、金、金ーーーー!

凄いぞ、ニッポン!

燃えるー、

燃えるぞー、

久しぶりに興奮している。

素晴らしいぞ、ニッポン人!

こんなに興奮するとは思わなかった。

オリンピック視聴が止まらない〜

ゴクゴクゴク、

ぷふぁー、

ビールも美味いぞ、

焼き鳥だー

フライドポテトだー

ピザだー

牛丼だー

……

……

何だ?

お腹に邪魔な物が、

浮き輪?

腹巻き?

春巻き?

太ったか…

お腹を出してみる。

つまめる、

引っ張る、

伸びる。

見事なビール腹だ。

しまった、

調子に乗り、食べ過ぎ飲み過ぎた。(汗)

どうする?

ジョギングでもするか?

面倒くさい、

ダイエットか?

それも辛い、

うーん、困った。

そういえば最近、駅前に「フィットネスクラブ運動屋」と言う看板が、

行ってみるか、


外から覗いてみる。

素透しだ。ガラス張りで丸見え。

何人かが、踊りをしている。

エアロビか?

激しい踊りだ。

足を上げたり下げたり、

インストラクターの先生が見える。

よく動く、大したものだ。

手を振っている。

私にか?

キョロキョロする。

辺りには私しかいない。

あなた、あなた、と指を指す先生。

私?

やっぱり、私にか?

そうそうと頷く先生。

しかし、よく動くな、感心する。

あの先生は疲れ知らずか?

生徒たちは、皆バテバテだ。

へたばっている人もいる。


終わったみたいだ。

先生がこっちにやって来た。

あっち、あっちと指を指す。

ああ、あっちが入口か、

中に入る。

「ありがとう!こっちこっち、」

先生に手を引かれ、連れて行かれる。

「まだ、入るときまったわけじゃ…」

受付で紙を渡される。

「体験入会ね!」

「はい、名前と住所」

「ああ、」

思わず、署名してしまった。

「これに着替えてね!」

着替え?

「サイズは〜XLかな?」

ジャージを渡される。

着替える。

鏡で見る。

…似合わない。(汗)

かなりダサい。まるでお笑い芸人だ。

先生がニコニコして入って来た。

「カッコイイよ!似合ってるよー」

「そうかな、」(照れる)

おだてられているのは解っているが、先生に褒められると何か嬉しい。

まあ、いい。

やってみるか、

「はーい、次はボクシングエクササイズ!」

「ワンツー、」

「ワンツー、ワンツー、」

「腕を前に出してー、そう、パンチするようにー」

「ワンツー、ワンツー、」

「ジャンプ、ジャンプ、」

はぁ、はぁ、

結構つらい、

「ワンツー、ワンツー、」

はぁ、はぁ、

つらい、

「はい、あと5セット!」

ええ、5セット?

倒れそうだ、

「ワンツー、ワンツー、」

意識が〜、

「ワンツー、ワンツー、」

「ワンツー、ワンツー、」

夢の中へ〜

夢の中へ〜行ってみたいと思いませんか〜(井上陽水)

……

はぁーはぁーぜーぜー

動けん、まったく動けん、

全身の、全てのエネルギーを使い切ってしまった。

1ミリも動けない。

はぁーはぁーぜーぜー

「どうしました、芳山さん!」

「……」

声も出ない。

「初めてですからね〜じゃあ、今度はランニングマシン!うふふ〜」

無理やり、ランニングマシンに乗せられる。

「はい、1キロから〜」

ええ、1キロ?

ウィーン、

動き出すランニングマシン。

タッ、タッ、タッ、

あわわわわわ、

タッタッタッタッ、

タタタタタタタタタタタタ…

速いんじゃないか?

ちょっと速いんじゃないか!

あわわわわわ、

タタタタタタタタタタタタ…

あわわわわわ、

タタタタタタタタタタタタ…

パピューン、

弾き飛ばされるーーー

ドカ、

壁に激突。

「ごめんね〜、スピード間違えちゃった〜」

おいおい、こっちは初心者だぞ、間違えちゃったじゃない!死ぬかと思ったぞ、(心の声)

さっきから気になっていたが、ここの運動はハードじゃないか?

かなりキツイ、

ガラスのキャッチコピーを見直す。

フィットネスクラブ運動屋(スーパーハードドライ!)

スーパーハードドライ?

ビールか?

「スーパー超短期間で痩せられます!体の一番絞り!」と書いてある。

だから、ハードなのか、

なぬ!?

まずい!これは、(汗)

「はい、次はシックスパットandアブドミナル!」

ガガガガガ、

電撃攻撃〜〜〜腹が〜別の生き物のように〜動きき〜続けるるるる〜

うがががが〜

「はい、アブドミナル!10キロ〜20キロ〜30キロ〜」

グカッ!

無理だろ、

お米一袋30キロだぞ!

30キロは無理だろ、

お〜重〜い〜

「はい、シックスパット!」

電撃〜〜〜

うがががが〜

「はい、アブドミナル!10キロ〜20キロ〜30キロ〜」

「はい、もう一度、ランニングマシン!10キロ」

「ええっ〜!?」


あわわわわわ、

タタタタタタタタタタタタ…

あわわわわわ、

タタタタタタタタタタタタ…

パピューン


ガガガガガ、電撃〜〜〜

アブド、グカッ!


あわわわわわ、

タタタタタタタタタタタタ…

あわわわわわ、

タタタタタタタタタタタタ…

パピューン


ガガガガガ、電撃〜〜〜

アブド、グカッ!


「ししし死んででででしまうううう…」


夢の中へ〜

夢の中へ〜行ってみたいと思いませんか〜うふふ〜、うふふ〜、(井上陽水)


親愛なる井上陽水様、

私は何度、夢の世界に行ったのだろう、

うふふ〜♫

先生の顔が夢の世界に見える…


クタクタ、

ボロボロ、

ジャージがゆるゆるだ。

お腹を見てみる。

消えた!

お腹のビール腹は、いつの間にか消えていた。

1日で取れるのか?

まあ、いい…


「正規会員になりますか?」(インストラクターの先生)

「いや、あと10歳若ければ…」

「やっぱり、」

「えっ?」


「また、お腹に邪魔な物が付いたら来てね〜」手を振る先生。

うーん、お金は高かったが、いい汗をかいた。

いや、いい汗というより、いい滝をかいた。

スポーツクラブの金メダルをあげよう。


身体が軽い。

ニ回り痩せた日曜日の午後だった。

しかし、オリンピックは見る!

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