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貧乏テイマーだけど成り上がりたい ~魔法学園の貧乏学生は世紀の大発見をするようです~  作者: 液体猫
第一章 愚か者のスライムと自信過剰のマンドラゴラ
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マナスライム活用法?

 結論から言おう。マナスライムのおかげで食事などで与えていた俺の魔力を与える必要がなくなった。以上だ。

 ……かなりショボいと思うかもしれないが、今のところこれ以外の使い道が見つかっていないので仕方ない。それに、これはこれでかなり凄いことだと思う。


 詳しい説明をする前にまず、魔力と魔物の説明をしよう。従魔術学科ではテイマーが従えることができる生物を魔物と呼んでいるが、これは厳密には『生きる為に魔力を必要とする生物』のことを指すらしい。


 例えばスライムは物質を消化・吸収して食べているように見えるけれど、実際には物質を消化して『魔力に変換して』吸収している。スライムが生きていくために本当に必要なものは魔力だということだ。

 そして、他の魔物もスライムと同じだ。草食の魔物は草を食べて魔力に変換して吸収しているし、肉食の魔物は肉を食べてそれを魔力に変換している。だから、テイマーが従魔に大量の魔力を与えることができれば、他の餌を与える必要もない。


 だけど、テイマー一人の魔力の量には限界がある。一匹の魔物に大量の魔力を与えてしまったら二匹目、三匹目の魔物に魔力を与えるときに困ってしまう。

 だからそれぞれの魔物に与える魔力を必要最小限にして、足りない分は他の餌を与えることで補う。そうやってテイマーの魔力量以上の魔物を従えるのだ。

 もちろん餌に含まれる魔力というものも関係し、魔力が豊富な餌を与えれば量が少なくても満足するし、魔力がほとんど含まれていないような餌だと大量に与えなければいけない。


 俺たち一年生が世話をしている平民用の魔物厩舎の魔物は低位の魔物が多く、一日に必要な魔力の量も少ないらしいけど、貴族たちが連れているような高位の魔物――竜やユニコーンなどは、何もしなくても毎日かなりの魔力を必要とするらしい。だからテイマー本人の魔力量が豊富であり、餌にも魔力をたっぷり含んだ魔物の肉や果物などを与えられるような財力がないと高位の魔物を従魔にすることができない。


 そういうわけでテイマーの魔力と従魔の性能は密接な関係にあるのだけど、マナスライムは他の魔物とは一線を画す特殊な性能を持っていた。

 マナスライムは餌を与えなくても、俺が魔力を与えなくても、どこからともなく魔力を集めて吸収することができるのだ。詳しくはわからないが、どうやら空気中や地面の中にある微量な魔力を吸収して自分のものにできるらしい。

 そのうえ、自分が吸収した魔力をパスを通じて他者に分けることもできる――今回の場合、俺とウォータースライムにも魔力を分けることができるのだ。特にウォータースライムには何も言わなくても勝手に魔力を分けている。体が二つに分かれてもウォータースライムも自分自身だと言っていたので、ごく自然に魔力を分け合っているのだろう。


 というわけで、スライムたちは餌や魔力を与えなくても自分たちで勝手に魔力を吸収して生きていけるようになったわけだ。手間がかからなくなったし、いざとなれば予備魔力扱いとしてスライムたちの魔力を使うこともできる。

 けれど、スライムたちの魔力を使うのは最終手段にしたいところだ。


 ――お腹空いたー。魔力ほしいー。魔力ー。

 ――水ー。水飲むー。魔力ほしいー。


 さっき、試しにスライムたちから少しだけ魔力を分けてもらった時からずっと『お腹空いた』コールが止まらない。魔力はスライムたちの生命維持に必要なエネルギー。それを俺に分けたことで空腹を覚えているらしい。

 騒がしいのですぐにマナスライムに魔力を返し、ウォータースライムを井戸に連れて行って水を飲ませてやったけれど、魔力を借りるたびに毎回騒がれたらたまったものじゃない。

 本当に必要な時以外はスライムたちの魔力を当てにしないように気をつけよう……。


 ◆


 俺のスライムがウォータースライムに進化した翌日、スコット先生に一冊の本を渡された。


「これを貸すのでよく読んでおくように」

「これは何の本なんですか?」

「これは【スライム進化一覧】という本だ。今まで進化が確認されたスライムが全て載っている。二匹目のスライムを何に進化させるのか、今のうちによく考えておくように」


 どうやら二匹目のスライムの進化は自分で選ばせてもらえるらしい。

 ……自由に選ばせてもらえるのは嬉しいけれど、マナスライムを二匹目ですって見せたらダメかな?

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