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貧乏テイマーだけど成り上がりたい ~魔法学園の貧乏学生は世紀の大発見をするようです~  作者: 液体猫
第一章 愚か者のスライムと自信過剰のマンドラゴラ
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一週間後のスライムたち

「おはよう」


 朝起きて、飼育ケージから取り出したスライムを右手に抱え、左手に水桶を持って井戸へと向かうと数人のクラスメイトたちがすでに集まっていた。


「おはよう、ソラくん」

「よう、ソラ。これ使えよ」

「おっと、ありがとう」


 ミーファとシドも既に井戸の前に来ていてそれぞれのスライムに水を与えていた。俺も持ってきた水桶の中になみなみと水を注いで、その中にスライムを沈める。魔物厩舎の掃除に行く前にこうして朝の餌やりをするのがここ一週間の日課になっていた。


 従魔契約をしてスライムを従魔としてから一週間が経った。

 うちのスライムは毎日毎日大量の水を飲み、魔力も大量に貪っていた結果、クラスで一番巨大なスライムになっていた。当初の三倍くらいの大きさになっている。他のクラスメイトのスライムはほとんどは1.5倍くらいなので少し目立っている。

 他の生徒たちからどうやったらそんなに大きくなるのかと聞かれたけど、スライムとのコミュニケーションが大事とだけ言っている。スコット先生は与える魔力を少なくした方がいいと言っていたのに俺は真逆の方法で大量の水を飲ませているので、あまり言いふらしたくなかった。


 それに、他のスライムの様子を見ると、テイマーによく懐いていて機嫌が良さそうなスライムはよく水を飲んでいて体も大きく、逆にテイマーにあまり懐いていなさそうな荒んだ雰囲気のスライムはあまり水を飲まず、体も小さかった。

 契約初日にあまり相性が良くなさそうだったシドやミーファたちのスライムだが、シドのスライムはクラスで一番小さく、水もほとんど飲んでいないようだった。なんとなくいつもぐったりしている気がする。

 ミーファのスライムは逆で当初の二倍くらいに膨れ上がり、クラスでも大きい方なのだが、こっちもこっちで問題児だ。ミーファの命令を無視して机や制服、寮や学校の備品を勝手に食べようとするのだ。つい三日前は飼育ケージの蓋がきちんと閉まっていなくて、寝ている間にかなりの被害が出たと言っていた。ミーファに怒られても柳に風と知らん顔だ。

 二人ともスライムたちから怖がられたり舐められたりしているので、しっかりスキンシップを取ったり厳しく躾けした方がいいとアドバイスをしてみたが、どうも上手くいっていないらしい。


「……シドくんのスライム、もう飲んだんだね」

「……本当に元気だよな、こいつ」

「はは……ま、まあね……」


 じとーっとした目で水桶の中身を空にしたうちにスライムを見つめる二人に乾いた笑みを返し、『ご褒美』!と騒ぐスライムに魔力を与えてやってから二杯目の水をくみ上げる。


 ――魔力美味! ご褒美歓喜! 水! ご褒美!


 一週間一緒に過ごしている間にスライムも少し流暢に思念を飛ばせるようになっていた。最初はただの感情の波や塊をぶつけてきていたけど、最近は『言葉』に近づいてきている気がする。


(もしかしたら、そのうち普通にしゃべり出したりするのか?)


 スライムの知性はあまり高くないと聞いたことがあるけど、もしも人間と会話できるスライムになったらそれはそれで面白い。

 水桶の中でプルプル震えるスライムの上からドバーっと水をかけながら、楽しい想像に思わず笑ってしまった。


 ◆


 ――その夜、自室のベッドの上でスライムと戯れていたところ、突然スライムがどろりと溶けた。


 そして、溶けたスライムの中から小さな虹色のスライムが現れたのだった。


 ……え? なんだこれ?

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