プロローグ
鮮血が舞うーーー。
純白のドレスを染め上げて、
美しくしく舞うーーー。
これは罰なのだろうか。
何も解れないまま、
ゆっくりと落ちて行くーーー。
冷えたコンクリートに伏せる、美しい彼女を見つめることしか出来ずに、ただ茫然と立ち尽くしているーーーー。
これは罰なのだろうか。
何も解らないまま、
まっすぐに見つめているーーー。
「こんな…こんなはずじゃ…ない。」
突然、降りかかった恐怖に包まれ、
男は震える唇で、懸命に否定する。
「俺は…どこかで間違えたのか?
嫌だ。お…れの、俺の完璧な人生に、こんなことがあってはならない…
ーーそうだ‼︎ …絶対に‼︎‼︎許されることではないッ‼︎‼︎」
怒りと決意に震える背中は、どこか狂気を孕んでいる。
男は血の海に揺れる彼女に背を向けて歩き出した。
「俺と君は、共に生きるべきだ。先に逝く事は許さない。
誰にも君を奪わせない。」
男の双眸から恐怖と哀しみは消え失せていた。
そこにあるのは怒りと決意だった。
残された彼女の頬を伝う涙が一粒。
血の海に零れ落ちて、
深い紅を少しだけ滲ませて、溶け合った。
涙の意味を、男は知れないーーー。