愛する人たちのために・・・。
どれほどの時が立ったのだろうか。
ディランが剣で数十にも及ぶ上級モンスターを両断し、ポートが巧みな技術でモンスターを串刺しにし、ルーナが大規模魔法を使ってまとまっているモンスターを蹴散らし、レナが一人で矢の豪雨ともいうべき速連射をしてモンスターの頭に矢を生やした。
私たちもそんなみんなの手伝いとして牽制を入れたり傷をいやしたりしていた。
もう体感では何時間も戦っているような気さえしている。
それなのに。
それなのにモンスターの数は一向に減らなかった。
次々と溢れ来るモンスターの軍勢。
数千はいるのではないかと思われるその軍勢は火口全域を埋め尽くすほどにその数を膨らませていた。
いったいどこからかき集めればこれほどの数のモンスターがここに来れるのだろうか。
むしろよくここまで集めたなと称賛したいほどに、私たちの周りにはモンスターがうごめいていた。
「はぁ・・・はぁ・・・くそ!まるで減る気配がない!」
「どこにいたのよこのモンスターたち!」
「いくらなんでもありえねえ・・・。」
「これ以上は流石に持ちませんよ。」
だんだんと弱音を吐くようになってきたものの、まだその手に武器を持ったままの彼らの目は諦めておらず、向かってくるモンスターを必死で捌いていた。
しかし体力も尽きてきたディランたちの動きは次第に緩慢になっていっており、ルーナに至っては肩で息をしながら魔法を行使し続けている。
このパーティーにおいて間違いなく一番疲れているのはルーナだ。
パーティーの最大火力でありながら障壁を張ってみんなを守っている。障壁が崩されてもすぐに張り直し、また攻撃に向かう。
一人で2,3人分もの役割を一身に背負っている彼女の魔力はすでに限界に近付いている。
そしてそれは一番の火力と防御を失うことでもあり、ディランの無茶な突貫も、ポートの安定した処理も、レナの自由に動き回る遊撃もできなくなるということだ。
そうなれば後は早い。
すぐに今にも崩れかかっている陣形は一気に瓦解し、その瞬間に私たちの敗北は決定することだろう。
そしてそれはもうすぐそこまで迫っている。
何とかしないといけない。けどどうすれば。
こんな未熟な私たちでもできる起死回生の一手は・・・。
(やっぱり。これしかないよね。)
(そうだね。でも・・・。)
私たちはディランたちを見る。
今も必死で応戦しているみんな。
かけがえのないこの世界での、家族。
そんな彼らを見捨てることなんてできない。
失ってたまるものか。
でも、今の関係は壊れてしまうかもしれない。
そんな考えが沸き起こるものの、不思議と葛藤はなかった。
これしかないことが分かっていたからか、諦めがいいほうなのか。
そのどちらなのかはわからない。
けど私たちは迷いなくカバンから出てみんなをかばうように自然と前に飛び出していた。
「ライム!早く戻って!」
ルーナの叫びにも似た声に、私たちが振り返ることはなかった。




