それはロマンというものだよ!
レナの言葉にみんなは一層驚き、もう一度周囲を観察し始めた。
「火口って・・・今ドルン山脈は活動期なんだよな?」
「それにしては何とも穏やかな光景だが・・・。レナ。間違いないのか?」
「うん。この土は溶岩が固まって長い時間が経過することで土になったものの特徴が出てるから、ほぼ間違いないと思う。」
「ということは私たちは今、この場所でいちばん危険な場所に立っているということになるのでしょうか?」
ルーナの問いに全員が冷や汗をかく。
この場所がもし火口であるとするならば、いつ溶岩が噴き出てもおかしくないような場所に立っているということであり、さらに言えば、この地面の下は溶岩だまりになっており、亀裂などが入ろうものならそれこそ一巻の終わりとなるからだ。
しかしその質問に答えるために再度周囲を見渡して確認したレナは、首を振ってそれはないと返答した。
「これは聞いた話だから何とも言えないけど、活動期に入った山が噴火する前は強烈な異臭を放つ煙がそこら中から噴き出るみたいなんだ。だからこんなに穏やかな今のうちはまだしばらく噴火しないと思う。聞いた話って言っても弓術の師匠から教えてもらったことだから信じていいと思うよ。」
「そうですか。あの方から。それなら間違いなさそうですね。」
「ああ~あのエルフのお姉さんのことね。なら安心だな。」
エルフ!?エルフがいるんですかこの世界には!?
というかちょいちょいこっちの世界の知識と符合するものがちらほらあるけど、これは何か理由があるのだろうか。
気になる話題だけど今はそれよりもこの場所が危険かどうかを優先すべきだ。
いくら噴火の危険がないと分かったところでモンスターと遭遇する可能性もある。
ここに来た時のリアクションからしても、こういう場所にエレアナは訪れたことがないはず。ならどんなモンスターがここに来るのかどうかということも当然わからないのではないだろうか。
こんなだだっ広い場所だと隠れられるところはほとんどない。せいぜいが時折みられる苔の生えた岩の裏くらいだろう。
ディランも未知の場所に来たことと、外は外でも出たかった所ではなかったことで表情に若干の疲れが見えていた。
「・・・よし。とりあえず通路がないか探してみよう。あとはあのピンク色の湖だが・・・。」
ディランは言葉を区切ってからちらっときれいなピンク色をして太陽の光をキラキラと反射している巨大な湖を見る。
「あまり不用意に近づかないほうがいいが、調べないわけにもいかん。最悪、湖からモンスターが出てくることも考えられるからな。」
「ドルン山脈の火口の話なんざ聞いたこともねえからな。慎重に動いて損はないよな。」
ポートも同意しつつ頷き、遠目で周囲の壁を見渡す。
「しっかし広いな~。手分けするにしてもだいぶ時間がかかりそうだぞ。」
「それにこれからどんどん暗くなってくると思うし、いつどんなモンスターに襲われるかもわかんないから離れられないしね。」
「やはり全員で壁伝いに調べていくほうがいいでしょうね。今の状態でバラバラに行動するのは危険です。」
「ということはまずあの湖を簡単に調べて問題なければ壁伝いに通路を探し、通路を見つけ次第そこに進む。暗くなれば隅で野営するということでいいか?」
ディランが行動方針を立てると、みんなそれしかないかと頷く。
そうして湖を調べること1時間弱。
モンスターに襲われることはなかったものの、この湖がどうしてピンク色をしているのか、予想より深かったために本当にモンスターが潜んでいるのか依然としてわからないままであった。
あたりは暗くなり、これ以上調査をするのは危険だと判断し、一度壁際まで戻って野営し、明日調査を再開するということで話がついた。
クーラードリンクの効き目がなくなるということで、明日からは通路の入る際は常に魔法の障壁で温度をコントロールしなくてはいけなくなるが、焦って行動した結果、もっと悪い状況に陥ることは避けたかったからだ。
ちなみになぜ1時間も湖の調査にかかってしまったのかというと・・・。
「まっさか湖の近くにお宝が隠されてるとはな~。」
「しかもライムちゃんにかかれば根こそぎ持って行けるなんてね。すごいよライムちゃん!」
そう。湖の近くに不自然な通路が存在したのだ。
通路はまるで湖の下のほうに続いているかのように斜め下に続いており、その奥には6畳くらいの大きさの部屋があった。その中には宝物が所狭しと置かれていて、見るものが見ればディランたちにおきた出来事をなぞってでもほしいと思えるほどの価値がある素晴らしいものばかりであった。
宝を見つけ出したみんなは報われたように笑顔になり、ポートなんかは相当に疲れていたはずなのに雄たけびを上げたほどだった。これが元貴族様なんだから世の中ほんとわからないもんだ。




