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溶岩大蛇ボルカヌア戦 2

 話し合いの間、ボルカヌアはこちらの出方を伺っているようにじっとこちらを見つめていた。


 何もしてこない今が好機と私たちから一番細いロープを取り出してロープに水と風の魔法を込める。


 「ライム。あなたからもお願いします。」


 ルーナは付与を見守っていた私たちにも魔法を付与するように頼んできた。


 通常魔法を習い始めてほんの少ししかたっていない魔法使いが魔法の重ね掛けなどをする元の魔法を壊してしまうか、元の魔法にはねのけられて魔法を付与できないかのどちらかになってしまう。


 しかし美景さんの努力の甲斐あって、私たちはすでに立派な魔法使いと言って遜色ないほどのレベルで技術を収めているので、魔法の重ね掛けも一応できる。


 一応できるがかなり集中してやらないと失敗する恐れがあるので、ここは全神経をとがらせて魔法を付与していく。


 まずは風。これはルーナほどではないにしろ得意な魔法であるためにすんなり通る。


 次に水。これも得意ではあるものの風よりはまだ扱いなれていないので少し時間がかかる。


 「動き出したぞ!」


 ディランの声がかすかに聞こえて少々焦りが生じるが、ここで失敗すればそれこそ時間の無駄になりかねない。


 丁寧に、矢と縄に魔法が浸透していくイメージの元、必死で魔法を付与していく。


 (できた!)


 (それじゃあここからが私たちからのプレゼントってこと。)


 水の魔法の付与を終えたと同時に私たちは最後に最も得意な光魔法を付与していく。


 光魔法の特性は癒しだけでも明かりだけでもない。その逆の効果も併せ持つ特殊な魔法である。


 その特性はずばり。


 「透過ですか・・・これは考えましたね。」


 そう。光と闇の魔法はどちらも持つ特性があり、その特性こそ視覚障害。


 光魔法は光を屈折させることによって付与したものを透過させ、闇魔法は逆に吸収することによって認識を阻害する。


 これを付与したことで矢と縄は透明になり、普通では見えない状態になった。


 よくよく見れば少し空間がゆがんでいるように見えるので、純度の高いガラスのような状態だが、これを極めれば本当に見えないくすることもできるだろう。


 「これなら相手にも気づかれにくいから当てやすいかも!」


 レナはすぐに矢を弓につがえてボルカヌアのいる方向に狙いを定める。


 ルーナは縄の先端をディランとポートに持たせ、ビルドを私たちから受け取り、それを二人に飲ませる。


 「お二人とも頑張ってください。」


 「この薬はあんまり飲みたくなかったんだけどな~。」


 ディランは黙って縄を受け取って薬も飲むが、ディランは悪態をつきながら少々ためらいつつ薬を一気に飲みこむ。


 「特に錠剤タイプは飲みにくくていけねえ。」


 飲んだ後も悪態をつき、さらに少し苦そうな表情をした。


 「これしかないのですから黙って頑張ってください。」


 ルーナがジト目になってポートをにらむが、そのリアクションをとる暇を与えないかのようにボルカヌアがまたこちらに向かって全速力で泳ぎだし、飛び跳ねる直前の構えをとる。


 「レナ!あれがこちらに飛んでき隙に下から胴体を狙ってください!」


 「了解!」


 レナは片膝をついて斜め上に照準を合わせると、ボルカヌアが先ほどと同じように頭上を飛び越えていく。


 ルーナが魔法で溶岩の雨を振り払ってレナの射線から異物を取り除き、レナはちょうどボルカヌアの下半身部分が頭上に差し掛かったところで矢を放った。


 矢は一直線に飛んでいき、ボルカヌアに命中する直前でまるで生きているかのように一気に加速し、腹の奥深くに突き刺さった。


 「ゴギャアアア!」


 突然の痛みに叫び声をあげるボルカヌア。


 空中で思わぬ攻撃を受けたことで体勢を大きく崩し、体を横にしてその巨体が溶岩に叩き付けられるようにして落ちた。


 派手に着水したことによって溶岩は大きなしぶきをあげて周囲に飛散し、波が大きく揺れてあたりの陸地を飲み込んでいく。


 せり上げる溶岩を食い止めるルーナはそれと同時にディランとポートに合図を送る。


 「「せーの!」」


 ディランとポートは互いに力を込めてボルカヌアの引き上げに尽力し、レナはボルカヌアに続けて矢を射続け、注意をそらすことに尽力する。


 やがて陸地まであともう少しのところでレナがボルカヌアの目に矢を突き立てることに成功し、ついに怒りをあらわにしたボルカヌアは大きく身をよじってどうにか陸地にあげられないように激しい抵抗を見せ始めた。


 「あと少しです!」


 「「おおおらああああ!!」」


 薬によって若干テンションも上がっているようで、普段上げないような声を轟かせて最後の踏ん張りを見せ、ようやくボルカヌアの体が陸地にあがった。


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