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洞窟内戦闘

 しばらくモンスターとの戦闘を続けて奥へ奥へと進んでいくと、2つに枝分かれする場所に出くわした。


 洞窟の入り口はメンバー全員が横並びで入っても余裕で通れるようなほど幅広く、メンバーの中で一番背の高いランベルを3人積んでもまだ少し足りないほど高い天井だった。


 しかし今では3列に並んで陣形を組まないと通れないほど狭くなってきていて、天井もまだかがまないといけないほどではないけれど、ランベルの頭がもうあと20cmほどでついてしまうほどには低くなっている。


 そこにきての枝分かれである。


 枝分かれすることでさらに道が狭くなっており、この先がどういう繋がり方をしているかによって、引き返すがどうかを検討しなくてはいけない。


 狭い場所だとどうしても作戦が絞られるし、戦いづらくもなる。


 特にメンバーが多いと味方の攻撃に当たってしまって負傷する場合も出てくるため、余裕を持って戦える陣形を常に維持できなければいけない。


 ここに至るまでに2回ほど分かれ道を進んできているので一旦戻るとしたらそこまで引き返さないといけない。


 「まだ右の方が道幅も広いが・・・どうする?」


 ディランが全員の方を向いて意見を聞く。


 「俺は右でいいと思うぜ。左は狭くなりすぎて行動しづらくなりそうだからな。」


 ポートはディランの考えに賛成らしい。


 「私も・・・右の方がいいわ。左だと鞭が扱えなくなるかもしれないし。」


 メイリーンさんはポートをちらっと見てから同じく賛成した。


 「私も賛成です。今危険を追う必要はないでしょう。」


 「私も右でいいよ。左のほうがお宝あるかもしれないけど。」


 エラルダさんとレナも賛成。ただレナは左も少し気になっているようだ。


 「お宝か~。まあでもまだ浅いし右でいいかな。」


 リーノもレナの言葉に揺れたが、今回は右でいいらしい。


 「俺はまあどっちでもいいけどよ。これ以上狭くなると俺が戦えなくなっちまうしな~。」


 ランベルはどちらかというと戻りたいみたいだ。


 今でも斧を振り上げることが難しいのにこれ以上狭くなると戦いづらくなってしまうという意見は確かだ。


 「私も一度引き返して別の道を行ったほうがいいのではと思います。ですが、右に行ってみて道幅が狭くなるか広くなるかを確認してからでも遅くはないと思いますよ。」


 ルーナは賛成とも反対とも取れる発言。


 しかし、ディランもその意見に賛成なのかしばらく顎に手を当てて考えるポーズをとる。


 「・・・そうだな。一度進んでみよう。それからランベルが戦えないような狭さになりそうならすぐ引き返すことにしよう。


 結局ルーナの折衷案を採用して、全員は右の方へと足を伸ばした。


 ちなみにニーナから意見が出なかったのは、眠くなっているらしくウトウトしているからだったりする。


 このメンバーで一番危機意識がないのはニーナだったようだ。


 ただ、逆に言えばニーナがウトウトし出すほどまだ強力な相手と出会っていないということでもあり、リーノも言った通りまだ入り口から歩いて30分くらいしか経っていないこともあって、まだまだ浅い。


 なので今余裕のあるうちに存分にうとうととしてもらおうというわけだ。


 (すごく呑気な絵面だけどね。)


 (けどこの子の魔法もモンスターを圧倒してたし、まだ13歳だし仕方ないのかな。)


 13歳って言ったら中学生くらいだけど、あの時期は昼下がりになると眠くなった覚えがあるな~。


 授業とか聞いてらんなくて、よく教科書立てて寝てたもんだ。


 でも教科書が小学校で使ってたものより小さくなってたり、小学生の頃と比べて体も大きくなってたから普通にバレるんだよね。


 (先生いつも困った顔しながら持ってる教科書でのーちゃんの頭叩いてたよね。)


 (今思うとあれ体罰だよね?)


 (あれを体罰と捉えるか居眠りした人への先生なりの励ましと捉えるかはのーちゃん自身が決めることだと思うけどね。)


 まあ少々痛かったけど別に嫌ではなかったな。


 (それよりのーちゃん。)


 (?なに?)


 (なんかこの奥ちょっと光ってない?)


 美景に言われて私も先頭にいるディランよりもさらに奥の仄暗い闇に目を凝らす。


 普通にみていては何も見えないただの黒だけど、注意を向けて見てみればそれが薄っすらと浮かび上がった。


 (あれは・・・魔力?)


 (しかも一箇所に集まっているように見える。)


 私たちは眼を使った視覚ではなく、魔法を使った視覚でものを見ている。その恩恵か、注意深く見ると魔力の流れを見ることができる。


 魔の力の元となる魔素とでも言うべきものが薄っすらと輝くように見えるのだ。


 しかし、それはある程度集まった状態。あるいは何かに作用して自然な動きから離れた場合に限る。


 つまり今私たちに魔素の流れが見えると言うことは、同時に何かの魔法が行使されていることとほぼ同じことなのである。


 それも一箇所に集まっているとなれば・・・。


 (まずい!)


 私たちは紙に簡潔に状況を伝え、ルーナの目の前まで素早く触手を伸ばして紙に書いた情報を伝える。


 「っ!?全員防御姿勢!」


 ルーナが普段使わない短杖を腰からすぐさま取り出して前方に突き出し、開いた手で別の魔法を展開する。


 ルーナの言葉と行動に疑問を示すよりも早く防御姿勢をとり、前方を油断なく注視する。


 息を殺して身構えるパーティー。


 すると変化は突如ディランの目の前で起こった。


 ルーナの最大防御手段の1つである風を用いた障壁に人の頭ほどの大きさの火の玉が高速で接近し、障壁にぶつかって爆発したのである。


 その威力は凄まじく、ルーナの制御が一瞬揺らいだほどである。


 ディランの目の前の障壁がほんの少しだけ歪み、防御の意味をなさなくなった瞬間に、今度は漆黒の毛皮に身を包んだ双頭の狼がディランに飛びついた。


 障壁が回復する前に飛びかかられたおかげで障壁内に入り込まれてしまい、ディランの持つ盾に狼の頭がぶつかる。


 「くそ!退がれ!ディノア・レイだ!」


 ディランが盾を前に突き出し、ディノア・レイから少しでも距離を取るべく後ろに飛び退く。


 ディノア・レイは突き出された盾に前足を繰り出し、その反動で後ろに宙返りして綺麗に降り立つと、狼のような犬のような底冷えのするうなり声を発して威嚇してくる。


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