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キミの言葉がココロを縛る  作者: メイリ
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第3話

帰りたくないけど、帰らないわけにはいかないので家に帰ってみた。

案の定、玄関には翔太の靴がある。


「あ、希美子お帰りなさい。翔太君部屋にいるわよ〜。」


部屋にいるわよ〜じゃないよ。

もう高校生なのに幼馴染とはいえ男の子を主のいない部屋にいれるなんて…。

はあ、逃れられないか。

意を決して部屋のドアを開けた。


なんか部屋の隅っこに体育座りしている高校生男子がいるのですが…。

なんかこっちをチラッと見てまたうつむいている。

そんな図体でやられても可愛くない!

何時までも人の部屋でイジイジされるのも嫌なのでとりあえず話しかけてみる。


「ねえ、翔太。」


私の声にピクッと体を揺らす。

チラチラこちらを伺っている。


「とりあえずいじけるの止めなよ。」


私の言葉を受けて翔太がこちらへ視線を向ける。

ちょっと涙目だ。


「キミちゃん…、いつの間に彼氏なんて出来たの?そんな気配なかったよね?」


まあ、疑問はもっともです。

なんたって偽装ですし。

誤魔化すか。


「うーん、一週間ぐらい前にね。他の学校の人だから気付かなかったんでしょ。」


うーーーー、と何やら唸っている。

なんか、他校にも目を光らせればとか、ガードが甘かったとかブツブツ言い始めた。


「私にも彼氏が出来たことだし、翔太も今度からは彼女を優先に考えなさいよ。」


「! えっ、何で!? 今までと同じでいいじゃん。」


「いやいや、普通に考えておかしいでしょ。付き合っていない男女が一緒にいるの。幼馴染とはいえもう高校生だよ。周りの目が痛いよ。」


私の言葉に衝撃を受けている。

おかしいと思っていなかったんだろうか。


「キミちゃんは本当にそいつのこと好きなの?俺よりも?」


比べてどうするんだ。

なんか浮気がばれたような感じなんですけど。


「好きじゃなきゃ付き合わないよ。翔太は幼馴染として大事だけど、比べる基準が間違っている。」


私の言葉にガーンと言っている。

ガーンなんていう人本当にいるんだ。


「で、でもキミちゃんはずっと一緒にいてくれるって言ったよね!俺たち仲良しだよね!?」


やっぱり昔の約束覚えているんだ。

むしろそのせいでこんな状態になっているんだよね。

私にも責任はあるね。


「ごめん、翔太。今すぐってわけじゃないけどいつかは私だって結婚するんだよ。その時もそんなこと言って今のような状態の付き合いはできないよ。昔みたいにみんなと仲良くなんて無理なんだよ…。翔太だってもう気づいているんじゃない?」


私の言葉に翔太は下を向いている。

手をキツく握り締め、震えている。

傷つけたいわけじゃないけど、話が平行線では今後困る。


「お、俺は…、キミちゃんがいてくれたらいいんだ。キミちゃんより大切な人なんていないのに。」


「えっ………。」


何やらおかしい言葉が聞こえた。

今の言い方だと私のことが好きみたいなんだけど。


翔太は私のことを真っ直ぐ見て言った。


「キミちゃんが1番好きなんだ…。いや、キミちゃんだけが好きなんだ。キミちゃんが俺のこと幼馴染にしか見てないから一緒にいれるならそれでもいいと思っていたけど、それじゃやっぱりダメだ。一緒にもいたいけど、それ以上のことだってキミちゃんにしたい。抱き締めたい、キスもしたい、それから他のことだって全部キミちゃんとしたいんだ!」


な、なんですとーーーー!

私のことを好きって。

それって幼馴染が誰かに取られるのが嫌なだけでは。

よし、一旦落ち着こう。

私が気持ちを落ち着けている間にも翔太がたたみかけてくる。


「ねえ、キミちゃん。俺、もう我慢なんてしないから。そんなぽっと出の奴なんかにキミちゃんを取られるわけにはいかないよ。俺がいつから想っていると思っているの?もう10年以上だよ。キミちゃんがずっと友達で一緒にいてくれるって言ってたからその約束を守っていたけど、約束破ったのはキミちゃんだもんね。じゃあ、俺がキミちゃんを彼女にしてもいいよね。キミちゃんは誰にも渡さない!」


そう言うと翔太は私をギュッと抱きしめた。

そして、そっとキスをした。

慣れているはずの翔太のキスは震えていた。


「キミちゃん。キミちゃん俺から離れないで。」


私は今まで翔太の何を見てきたんだろう。

いや、きっと見ないようにしていたんだ。

翔太が女の子達に囲まれるのが嫌だった。

そしていつの間にか諦めていたんだ。

きっと、翔太を好きでいることを…。


「翔太、ゴメンね。」


私は翔太をギュッと抱きしめた。

翔太がビクッと反応した。

恐る恐る私の顔を覗き込んでくる。


「私ね、怖かったの…。翔太がいつか大事な人が出来て私の事を忘れてしまうのが。ならいっそ、友達なら何時までも一緒にいられるって考えた。」


「それって、キミちゃん俺のこと好き?一緒にいたいって思ってくれてる?」


「うん、私翔太が好きみたい。ううん、みたいじゃなくて好きなの。ゴメンね、傷つけて。」


翔太がプルプル震えている。

どうしたのかな?

もしかして怒っちゃったのかな。


「き、キミちゃんが俺のこと好きって言った!もう、撤回は出来ないよ!返品不可だからね!俺とずっと一緒にいてね。もちろん彼女としてだよ。これからは幼馴染兼恋人だよ!」


翔太が興奮して抱きしめてくる。

尻尾があったらたぶんはち切れんばかりの勢いでブンブン振っていることだろう。


「あ、そういえば彼氏っていう奴に早く連絡して!本当に好きな人と付き合うって」


そういえば、そんな話でしたね。

説明せねば。


「あ、あのね。実は彼氏って言うのは嘘だったの。友達の従兄弟に頼んで…」


話の途中で話せなくなった。

あまりにも目の前の翔太が怖くて。

笑顔なのに目が笑ってないよ…。


「キミちゃん…、そんなに俺から離れようとしてたんだ。ふーん、これは俺がどんなにキミちゃんを必要としているか伝えなきゃダメだね。うん、今日これから俺の家に来て。今日家に誰もいないから…。」


う、うわーん、嫌な予感しかしないよ。

行っちゃダメだ。


「大丈夫、優しくするから。ね。」


満面の笑みを浮かべた翔太に半ば攫われて、翔太の家に連れて行かれた。

もう、なんていうかお腹イッパイです。

翔太の愛情がハンパないです。



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