story1-1 鍵言葉
私は「夢」と名乗る彼に出会…
いや彼と話したが正しい。
そして何もわからないまま、何も思い出せなくなっていて、気づいたらこの暗闇にいた。
とにかく私が誰なのかもわからない。
彼は、たぶん進んで何者かに会ってと言ったのだろう。
だけど1メートル先もわからない、
この暗闇の中で進もうとは思えない。
「?」
ポケットの中に何か入ってる。
ポケットの中から取り出したものは、緑の指輪。
エメラルドらしき宝石が埋め込まれている。
少しだけ光を発している。
何もためらわずに左手の人差し指にはめた。
すると光が強くなり、緑の光が指輪から出た。
その光は、少し先に行きその場で止まっている。
あの場まで行けば何かあるのかな?
1部だけ明るくなったその場所まで歩き始めた。
そもそもなぜ私は、指輪を左手の人差し指にはめたのだろうか?まるでその指にはめなければいけないことを知っていたかのように…
緑の光の目の前に辿り着いた。
私には今、何もない。
知らない指輪と彼のことしかわからない。
だから私は光に触れた。
光は扉になった。
緑の四角い扉、ここに入れば何かわかるのだろうか。
ドアノブを握り中に入ろうとしたが、開かない。
鍵穴のようなものは、一切扉にはついていない。
「どうすればいいの?」
独り言も虚空に消えるだけだ。
(鍵言葉を言うだけさ)
この声は…彼の声!
「「いるの?どこにいるの?」」
声を振り絞り叫んだが、それもまた虚空に消えるだけ。
これは彼からのヒント、鍵言葉というのは何かわからないけど。
この扉を開くには、何かの言葉が鍵となるという意味になる。
「クローバー?」
緑色だからと安易に考え、答えたが反応はない。
言葉が鍵だとわかっても、その言葉がわからなければ意味がない。
緑、緑色…クラブ?そんなものじゃないのかな。
溜め息をつきながら、指輪を見た。
よく見ると宝石の中に文字がある。
なんでこんなところに文字があるのかは置いとこう。
「アラミス・クロノスタ?」
その言葉に反応したかのように
扉からガチャンと音がした。
嘘だと思いたいけど、今はありがたい。
私は扉を開けて中に入った。
そして気を失った…