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あらぶれ

作者: 水野 聡

何とも言えない気弱なやつだ。初めてそいつを見た時から、三年たった今の今までこの第一印象は何も変わることのなく、もはやそいつの本質として理解するようになった。大学3年生の時の秋、私はそいつと心理学のグループ学習で一緒になり、どちらからともなく酒の席にさそい、それからどちらからともなく呼んでいた。悲しくも意気投合した私たちは、かなりの頻度で浴びるような酒を飲み、生産性のない会話をしては、適当に笑い合って、テレビを見ては文句をいい、大学の講義を受けては文句をいい、という生活をしていた。そんなしょうもない奴と、まさか就職先まで一緒になるとは思わなんだ。悲しきさがよ、腐れ縁よ、どうしてこんな奴とそんなところまで、人生の門出の時でさえ共に歩まねばならぬのですか。しかしもうどうしようもない。もうあきらめた。いまは職場の近くの安アパートで一人暮らしをしている。今日も慣れてきた職務を普通にこなしてひとりぶらぶらスーパーによりしょうがなく帰る。

 

 えいもんどえいもんど彼の名はえいもんど。桜の木の下で眠っている。桜が咲く頃には目が覚めるえいもんど。


 今日もストレスが溜まる。うちの嫁の家族たちは気が狂っている。あいつらはおかしい。卑しい。ただ高級なものにあやかり、世間体と繋がりを意識しすぎ、出る杭をうち、何かにつけてありがたがる。自分勝手・・・そうだあいつらは自分勝手で気持ち悪い。

 今日もストレスが溜まる。私の姉の旦那は、気が狂っている。あいつはおかしい。なにもない。唖然とするほど生活力がなく、ただ出されるものをたべ、ただ質問をされたら答え、言われるがままに子作りをする。腑抜け・・・そうだあいつは腑抜けで気持ち悪い。

 えいもんどえいもんど彼の名はえいもんど。桜の木の下で眠っている。桜が咲く頃に目が覚めるえいもんど。

 

 また明日もしょうもないあいつと顔を合わせなければならない。酒でもやめてみようかな

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