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1-6 異世界の謎空間でボクは神様に会った

「ウチ、参上!」

気がつくとボクは真っ白い空間にいた。

目の前には見覚えのないおかっぱの女の子がいる。

服装は貫頭衣。真っ白だ。

っと、次の瞬間、女の子の頭に麦藁帽子が。

背景の真っ白な空間が一瞬にして青空とひまわりの生い茂る夏の風景に変わる。

いや、確かに白っぽいワンピースにそれは似合うけど。

「はじめまして、ウチが神様です!」

バッ!と音がしそうな勢いで手を振り上げると、

世界は元の白くて静かな空間に戻った。

いつの間にか麦藁帽子も消えている。

「ドリームランドへようこそ!あなたが”コタロウお兄ちゃん”ね!」

この神様、妙にテンションが高い。

子供は体温が高い的なアレだろうか。

神様的にありがたみは皆無だ。

「・・・あれ?ボク、エルザと天幕にいたはずじゃ・・・」

「そのとおりっ!というか、今もそこにいるよっ!」

ビシィッ!と効果音がしそうな勢いでこっちを指差してきた。

右手でこちらを指差し、左手は腰に、心もち前傾姿勢だ。

「この世界に落ちてきた人には、”祝福”を授けるって決めてるのよ、ウチ!」

というと神様が右と左に分身していき、ボクを取り囲む。

「おめでとう」「おめでとう!」「おめっとさん!」

一斉に拍手してくる。

ボクはいつの間にか学校のイスみたいなものに座らされている。

色々台詞を変えているが、みんな同じ声だ。

このネタ、明らかにこの神様、ボクと同じ時代の日本に関係ありますわ。

そして全体的に手抜きっぽいクオリティですわ。

「はっは!ジョーク、イッツジョーク!ここはジョークアヴェニューね?オーライ?」

神様はいつの間にか一人に戻り、片頬を上げながらこちらにサムズアップ。

ウザい。

この神様、ウザいっすわ・・・

「まぁ信仰も深まったかな?といったところで奇跡タイムだよっ☆」

引き気味のボクに神様がぐいぐいほっぺたを押し付けてくる。

サムズアップの親指もぐりぐり押し込んでくる。

「ここに取り出だしたりますわ、パパパパーン!六面ダイスゥー!」

ボクから離れるとすばやい動きでどこからか取り出したサイコロを二個、

高々と掲げる。

そしてそれをボクに握らせてきた。

「さて君には6D2、成功値8で判定を行ってもらうよっ!

 成功ごとに一個、君の望みを叶えてあげようっ!

 ただファンブったら、君の命はない。ウチの命もないっ!

 クリティカったら、すごいことになっちゃうよっ!」

え、なんかさらっと死んじゃうって言わなかった?

しかも神様も死んじゃうって言わなかった?

「まぁウチ、99回この”祝福”を授けているけど、

 両方出たことないんだけどね!

 お、君、100人目ジャン!サイコロ金色の特別製に変えちゃう?」

手の中のサイコロが金色になった。

重さはほとんど変わらないのでたぶんメッキだろう。

「さぁ振って!ほら振って!」

神様のテンションがガンガン上がっていく。

逆にボクのテンションは駄々下がりですよ。

「・・・えーっと、まぁサイコロは転がしますけど、その前に質問があるんですが」

「ほぅ!この神様先生に任せたまえ!何でも教えて進ぜようっ!!」

三角のめがねをかけて、それをクイックイッとあげている。

「・・・じゃあここはどこで、ボクは何でここにいるんですか?」

「いい質問だね!」

小さな鼻を膨らませてピスーピスーと鼻息荒く神様が応える。

「ここはドリームランド。

 愛と勇気と希望の世界・・・では残念ながらないけど、

 まぁ地球があった世界とは別の世界になるかな。

 君とエルザちゃんは同じタイミングでこの世界に落ちてきたね。

 この世界、色々あって境界がちょっち緩いから、

 色々な世界から人が落ちてくるんだよね。

 エルザちゃんはこっちに来たのと同時に呼んだんだけど、

 君はちょっとタイムラグがあったかな?

 おっと!もしかして今いるこの”素敵神様空間”のほうが気になったのかな?

 ここはウチのパゥワーで作った精神世界的なやつだよ。

 君は魂だけ、ここに招待している。

 身体は天幕のほうにいるけど、時間は経過していないから、

 怪我や死亡の心配はしなくて良いよっ!」

「ボクは、元の世界に帰れないって聞いたんですが・・・」

「んーまぁ絶対に無理ってわけじゃないんだけどね!

 他の世界からこの世界に来るのは事故でポコポコこれちゃうけど、

 こっちから他の世界に行くには、壁を突破できるくらいの力が必要だからね。

 正直、ウチでも無理かなぁ」

「神様って、何でもできるわけじゃないんですか?」

目をそらしながらこちらに向けて手を突き出し、ワタワタする神様。

「え、あ、いや、まぁ大体のことは出来るけど。

 神様だし!神様だし、大概のことは出来るんだけどねー。

 ・・・まぁできないことも、ないといえなくも、ないかなぁ・・・なんて」

テンションが下がっていく神様。

心なしか、周囲も暗くなってきた。

「あー・・・もしかして、聞いちゃいけない感じでした?」

「え?いやいやいや、何でも聞いてってウチ言ったし!

 まぁアレだよ、七つの星入り珠を集めて出てきたドラゴンも、

 出来ないことあったっしょ。アレと同じよ。

 まぁでも、この世界の中でならけっこうすごいんだから!」

周囲がまた明るくなる。

「そんなことより!ダイスを転がしてよ!6D2判定早く!さぁ!」

「さっきから気になっていたんですが、6D2ってなんですか?」

「六面ダイス2個を使った判定に決まってるでしょ!常識だよチミ!!」

聞いたこともないけど、まぁ意味はわからなくもないのでボクはサイコロを振った。

・・・6と、6。

「お、おぉ!?」

神様が目を剥く。

「く、クリティカル!!

 すばらしい!ついにこんな器が現れたんだね!」

「クリティカル?

 ・・・なんかすごい特典があるとか言ってましたっけ」

「そう!君にはえっとぉ・・・」

神様が上目遣いでモジモジしながらこっちを見てくる。

「ウチの全てをあ・げ・る・♪」

空間がピンク色に染まる。

「・・・ボク、ロリはちょっと・・・

 というか願いをかなえるって話なのに、希望すら聞いてくれないんですか?」

「えー・・・ウチの青い肉体を上げるなんていったらみんな飛びつくと思ったのに。

 まぁ冗談は置いておいて、クリティカルの特典はウチの能力の譲渡だよ。

 君はウチの能力を全てあげられるほどの器があることがわかったからね」

「サイコロを振っただけで?」

「んーこのサイコロはさ、人の存在力、運命・・・なんかそういう胡散臭いものを測る道具なんよ」

「胡散臭いって・・・」

「まあウチに仕組みがはっきりわかってない部分の話なんでね。

 とにかく奇跡ってのは起こすために器というか、才能があるのよ。

 このサイコロを振って高い目の出る人ほど器が大きく、

 低い目の出る人ほど器が小さい感じかな。

 ちなみに成功値8ってのは常人より少し上くらいを設定してるんだ。

 まぁ偶然でも界渡りしちゃうくらいだから8以上は出るはずなんだけどね」

ちなみにエルザちゃんは10,9,11,7で三回成功させてたよ、とのこと。

「まぁここじゃ全能力をすぐに渡すことはできないんだけど、

 気が向いたらウチを探しにきてくれないかな。

 直接会えたらすぐにでも神様としての力は君にあげるよ」

正直大きすぎる力はいらないような気がする。

なんだか怖い。

「んー・・・じゃあ気が変わったらで良いよ。

 ウチ、待ってるから。

 とりあえず君には”眼力”とボクへの直接回線をあげるよ。

 とはいえ直接回線は月に一回くらいしか使えないと思うけど・・・

 そのときに必要な力とか、願いがあったら教えて。

 叶えられる範囲で叶えてあげるから」

と神様が言うと空間が光に満ち始めた。

視界が真っ白に染まっていき、何も見えなくなる。

「そういえば、君とエルザちゃんのいるテント?ね、

 すぐ火がつくと思うから逃げたほうがいいと思うよ。

 他の人たちは出払ってるみたいだか、君らが逃げれば誰にも被害は出ないはずだよ」

そんな忠告を残して神様の姿は見えなくなった。

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