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1-2 異世界の草原でボクは巨大武者に踏まれそうになりました

それは大きな人型に見えた。

ロボット・・・とは違うように見える。

巨人・・・といわれれば納得できなくもないんだけど、

肌の露出している部分が一切ない。

大きさを無視すると、戦国時代の鎧武者に見えなくもない。

大体ボクの2倍か3倍くらい、これがボクらの真上に振ってきたんだ。

踏まれたら、死んでいたと思う。

『X? XXX XXX・・・』

なんだろうか、聴いたこともない言葉だ。

ここは外国なんだろうかと首をひねっていると、

『・・・っと、わりぃわりぃ・・・』

と、目の前の巨大鎧武者が日本語で話しかけてきた。

プシッっと空気が漏れるような音とともに、目の前で鎧武者が剥けた。

まるでえびの殻をむくように、上半身の一部が前にスライドし、

半分に折ったような状態になった。

そしてその折れた部分に、少年か少女かわからないような年齢の、

肌にぴったりと張り付くぬれた薄絹を着た子がいた。

鎧武者の中身は妙に生々しい生き物みたいな感じになっていて、

この子は丸呑みにされて出てきたばかり見たいな感じだった。

「いやー誰もいないと思ってジャンプしてみたら、

 降りる直前になって警告が出てさ。

 あんたらは・・・」

と、彼(彼女)の目がボクの顔を見、

そしてその上に乗っかる裸のお尻を見る。

「・・・あー・・・お楽しみのところジャマしちゃったかな?

 ごめんな。でももうすぐここは戦場になると思うから、

 逃げたほうがいいぜ?」

「戦・・・場?」

「あー・・・なんつーかなぁ、

 俺たちのお客さんがこの先に進むのが気にくわねぇってやつが、

 何をとち狂ったか俺たちにけんかを売ってきてな・・・っと、

 そうかあんたらもアレか?

 山賊同盟とかゆうやつの仲間かなんかか?

 そうだってんなら見逃せないんだけどよ」

「いや、ボクたちは・・・」

「なぁんてな!どっちかというとあんたらはあいつらから逃げてきた、

 みたいな感じだろ?

 貴族のお坊ちゃんみたいな上等の服着た兄ちゃんと、

 コボルトの姉ちゃん。

 山賊同盟のやつら、あんたらみたいな小奇麗なやつらじゃないしなぁ」

「えっと、あの・・・」

「大丈夫大丈夫、俺たちがついでに守ってやんよ。

 とりあえずそこの姉ちゃんの服ないんか?」

「ボクの上着を貸してあげるくらいしか・・・」

「そうかそうか。んじゃとりあえず兄ちゃんの服、貸してやって。

 俺らの天幕まで移動すれば、まぁ着れる服くらいあると思うからさ。

 恋人の兄ちゃんや可憐な乙女の俺に見られるだけならともかく、

 俺らの仲間にもいやらしいやついっぱいいるからさ。

 肌色の露出は少ないほうがいいんよ」

どうやらこの子は彼女だったようだ。

ほとんど半裸みたいな上半身を見ても、まったくわからないけど。

ボクは取り合えず着ていた上着を脱ぎ、エルザに着せてやろうとした。

「なぁエルザ・・・とりあえずボクの服を」

体の上から動かないエルザに話しかけると、エルザは完全に気絶していた。

しょうがなく、ボクが上着を羽織らせることにした。

「ん?姉ちゃん寝てるのか?

 まぁとりあえず肌が隠れるようにしてくれたらいいよ。

 天幕までは俺と無双丸で運んでやるから、ちっとまってな」

そういうと半裸の少女の体が少しだけ、鎧に沈んだ。

すると鎧の上半身がつられるように後ろに動き、また鎧武者の形になった。

『おっけー。んじゃ兄ちゃん、掌に乗ってくれよ、

 さくっと送ったらすぐに前線行かなきゃなんでな』

といいながら鎧武者がこちらに掌を向けてくる。

ボクはエルザを掌の上に押し上げ、続いてよじ登った。

『おっけーおっけー、んじゃいくぜ、無双丸!』

体に風を感じたと思ったら、ボクらはすでに雲の近くまで飛んでいた。

そして急降下。

エルザの体が飛んでいかないように、

とりあえず押さえ込みながら巨大な指につかまる。

『まぁすぐ着くからさ。ちょっとの間だけ頑張ってくれよ。

 俺の名はトウコツ。サイカチ村自警団のトウコツだ』

「・・・ボクはコタロウ。この子はエルザ」

『二人とも変わった名前だな』

「ボクには君の名前のほうが変わっているように感じるけどね」

『そっかなぁ・・・まぁいいや。そろそろ天幕が見えるぞ』

「まだ5回もジャンプしてないと思うけど・・・」

『まぁ実際、俺たちの天幕とだいぶ近かったからな。

 お、テツ姉とトン兄がいる。あんたらのことは取り合えずテツ姉に預けるよ』

『おぉい、テツ姉、トン兄。なんか人拾っちゃってさぁ!』


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