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1-8 異世界の草原でボクは変態貴族に会った

「おぉ、あんちゃんたち無事だったか」

シュンテイに教えられた倉庫扱いの天幕に行くと、

コントンがいた。

「だいぶまずい状況みたいでな。

 俺も前線に出て指揮とかしなきゃならねぇ。

 わりいんだがあんちゃんたち、この天幕で待っててくれや」

そういうと天幕の口を捲くってくれた。

「この天幕、俺が結界を張ってるから陰陽術関連の攻撃じゃビクともしないはずだ。

 先客もいるが、くれぐれも仲良くしてくれよ」

ボクらを中に入れると、そのまま走り去ってしまった。


天幕の中は少し薄暗く、ごみごみしていた。

抱えられないようなサイズのカメ、変な文字の書かれた大きな石、

巨大な樽、案山子みたいなもの、妙に精巧な等身大フィギュア(和風)、

カタナや西洋刀、槍が無造作に何本も突っ込まれた傘立てっぽいもの。

あの着物着たフィギュアなんか、今にも動き出しそうだ。

「XX XXXXX XX?」

よくわからない言葉で話しかけられた。

後ろにいたエルザがビクッとおびえた様子でボクの服のすそを掴む。

今のどこから話しかけられたんだろう、と当たりを見回すと、

変な文字の書かれた大きな石の上に、よく見るとイケメンが座っていた。

金髪碧眼、少しカールのかかった髪で映画俳優みたいな王子顔。

服装はフリルのいっぱいついた開襟シャツ。

下はぴっちりした感じの長ズボン。

『・・・諸君らはどこのどなたかね?

 サイカチ村の自警団には見なかった顔だと思うが』

「ボクたちは最近合流しまして・・・」

『ふむ・・・まぁその顔立ち、サイカチ村の人間と同族であるな。

 私は宮女審美官ピジョン・ブラッド。

 この度はカサイ村より候補者を探しにきたのだが・・・ふむ』

ボクとエルザの顔をじっと見つめるピジョン。

『・・・君たち、後宮に興味あるかね?』

「いやいやボク男ですから!」

「・・・私、よくわからないけど、興味ない、です」

『ふむ・・・たまには変わった趣向も良いかと思ったが・・・

 そして少年?は男とは思えぬ顔立ちだな。

 ちょっとズボンを下ろしてくれないか?』

「い、いやですよ!何いってるんですか!?」

『なに、私は両刀なので、君がどちらでも興奮してあげるので

 遠慮しなくていい』

「いやですよ!むしろ、よりイヤになりましたよ!」

重度の変態だった。

変態のイケメンは軽々と石の上から飛び降りると、

ボクたちの前に着地した。

身長・・・高いなぁ、190はあるんじゃないかなぁ。

思わず見上げてしまう。

『まぁ諸君らが興味がないというならしょうがないねぇ。

 しかし私は自分の興味のあることは確認しなくてはすまない性質なので』

という変態の言葉に気を取られたと思ったら、

ムンズ!

見た目より逞しい掌がボクのアレを鷲掴みにした。

『・・・ふむ、思ったより立派なものを持っている。

 そして宮女候補には、少しふさわしくないかな?』

「っきゃぁーーーっ!」

耳元で大声が聞こえたと思ったら、ボクの横を強風が吹きぬけた。

変態がボクからだいぶ遠くまで飛びずさっている。

フリルシャツの胸元が裂けて、先程よりも胸元があらわになっている。

『・・・おや、怒らせてしまったか。

 そこのコボルトの子はよほど少年が大切と見える』

いつのまにかボクの前にエルザが立ちはだかっている。

振りぬいた腕には鋭い爪が生えている。

犬歯をむき、殺意を感じさせる目で変態を睨んでいる。

「・・・」

『まぁ・・・諸君らと敵対したいわけではない。

 今は道中で撃退した山賊共が総攻撃を仕掛けてきているようだしな。

 なんとなくだが我がライバル、アレクが彼らを援護しているような気もする。

 機会があれば私の命を狙ってくるからねぇ・・・』

エルザが変態に飛び掛ろうとしたので、慌てて肩を押さえて止める。

「だめだよエルザ。

 噛み付いて変態が伝染ったらどうするんだ?」

『君の言い様もだいぶひどいねぇ。

 ・・・まぁいいか。

 私も君らの態度は気にしないことにするので、

 先程の無礼は許してくれたまえ』

肩を押さえていたら、徐々にエルザがおとなしくなった。

振り返って上目遣いにボクの瞳を覗き込んだあと、

またボクの後ろに戻って、張り付いた。

興奮が収まったら変態が怖くなったのかもしれない。

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