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日本召還  作者: ピンガ
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終末

今回が最終話になります。

聖暦 6000年1月 西方州 西部 カレ湾西 海上



「所属不明の木造船に警告す。ここは、大日本帝国の領海だ。これ以上近づけば射撃する」


先ほどから、似非魔法を使った声が聞こえてくる。遠目でも見たこともないほどの巨船だ。1000人は優に乗れるに違いない。帆も櫂もないくせに、魔法動力を持つ我々の船より足が速く、引き波を越えるだけで船が転覆しそうな揺れだ。


東方の連中は、これに勝利したというのか。信じられん。見れば、判る。奴らは強い。


「うっ 撃って来ました!」


轟音と供に、併走していた300人船が吹き飛んだ! 驚いている暇もない。次々に我々の船が微塵にされている。 何なのだ。船の一部が光り音がしたと思うと僚船が吹き飛ぶ。


「本当に魔法ではないのか?」

「魔法の反応はありません!!」


こちらの射程距離には、まだ、遠い。魔法弾も長距離魔法も届かない。このままでは上陸部隊3万が魚のエサと化してしまう。


・・・・私は、決断した。


「皆、死んでくれ。突撃し白兵戦しかける! エルフの意地を見せるのだ!」 



聖暦 6000年1月半ば 西方州 とある牧場



牧場の朝は早い。


ここ十年は乳搾りどころか、種付けすらもない。25歳を超える雌人は既に潰して食肉にしているので、若い雌人ばかりだ。


号泣しているか寝ているか。私が近づくと抵抗することも多い。昔のほのぼのとした雰囲気は既にない。


人舎の方から嬌声が聞こえる。どういうことだ? 人舎に入るとどこから入り込んだのかカーキ色の服を着た数人の雄人が牧場の雌人にさかんに種付けをしている。何が起きている?


パーンと音がした。腹が熱い。と思ったら血が出てきた。


「この人食いの鬼ども、くたばりやがれ!」


下半身を雌人に埋めている雄人が、短い槍を持ちながら叫んだ。私は思った。こいつらは何を言っているんだろうと。

 


聖暦 6000年1月半ば 西方州 州都 王城



300隻の船と3万の精鋭を乗せた上陸艦隊は全滅した。それどころか、大日本帝国を名乗る連中は西方。我等の神聖なる土地に侵入し犯している。


召還は成功した。人間の原種が存在すること。エルフがいないこと。エルフ語が通じること。全ての条件は満たしている。また、東方にあった召還島 日本は消え去った。これも成功だ。誤算は召還した島が予定していたイギリスではなく、大日本帝国を名乗る輩であったことだ。


この連中は、非常に野蛮で凶暴であった。平和の使者として赴いた我々の上陸艦隊は、その意志が報われることなく、海に消えた。そして無言で我々に対し侵略を開始し始めた。


大日本帝国の輩は似非魔法というべき面妖な技を使う。エルフが神より与えられし魔法よりも、遠方より攻撃してくる。伝え聞く日本人は武器も持たず争い自体なかったらしいが、こいつらは違う。 


「陛下、大日本帝国との接触に成功いたしました。」


「うむ。で、連中は何と言っている。」


「ハッ、人間を食べるのはやめろと。それが了承できるなら交渉の用意はあると」


我等に食を絶てとは、嘗て、これほどまで傲慢なことを言い放った存在があっただろうか。


「やむなし。躾だ。エルフの力を大日本帝国に見せつけよ。!」


ん。外から虫の羽音のような音がする。窓から外を覗くと、不恰好な羽をもつ何かが飛んでいる。見ているとフンでもしたのか、何かを落とした。


「何だ、こちらに飛んでくるようだぞ」


そう思っていると、その落下物は、目の前に直撃した。



聖暦 6000年2月 南方州への街道 


「こんなに割のいい仕事なんて珍しいんじゃない」

「ああ、本当に裏がないのか怪しいもんだ」


ウイリーとラウルが暢気に話している。私はエルブレイ・マターハ・ナーウ。高名な冒険者だ。今回の仕事は西方の調査。ちょっと行って帰ってくる簡単なお使いだ。報酬は竜3頭。普通に考えればこんなことはありえないが、これはご褒美みたいな物だ。我々の貢献度を考えれば無償で竜を提供すべきだが、他の冒険者との兼ね合いでこういった仕儀になったのであろう。役所の事情も勘案するのも名高きもの勤めだ。  


この街道は、食欲そそるいい匂いが充満している。少し歩けば腹を裂いた人間が放置してある。食料には、まったく困らない。ご機嫌街道とも命名したいところだ。


しかし、ゆるりと仕事をするつもりはない。急ぎでこの仕事を終え竜を手に入れねば!!


「皆!急ぐぞ!」

「「おう」」



おしまい

このような拙い文章にお付き合いしていただき、大変感謝しております。

また、機会があれば。 以下は設定です。


設定

エルフ:とある世界の頂点に立つ種族。完成種を自称する。基本的には女だけの種族で、無性生殖で子を産む為、遺伝子的に母親のコピーしか生まれない。同じ母親から生まれた娘一族を氏族という。1000年周期で男が少数生まれ、王と呼ばれる。王との生殖により生まれた娘は必ず新規氏族となる。エルフの氏族数は3万。エルフ全体の人口は300万ほど。寿命は人間の約倍。体力的には人間より脆弱。しかし、魔法が使えるため優位にある。

文化レベルは紀元前レベルから23世紀まで。魔法があるため人類とはかなり異なる。

食性は肉食 主に人間を主食とし、魔因子法学(遺伝子工学)的に改良された人造乳製品も好んで食す。


人間:とある世界のエルフの家畜。原産種は既に絶滅しホルスタイン種、ウール種、モンゴ種、コーカ種、雑種が存在する。多くは雌が乳で乳製品、頭髪で繊維製品の生産に貢献。雄は牧草地の麦やもろこし等の生産に労働力として寄与。雄の場合、半数は幼児期にチーズの生産の原料や食肉目的とされることが多い。既に家畜化されて6000年近く、過去反乱があったという記録は一度も無い。宗教的にも家畜と定められた種。


日本:アレです。

大日本帝国:アレです。

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