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日本召還  作者: ピンガ
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侵略

聖暦 5999年10月 東方州 ブザン半島東端 海上



「所属不明の木造船につげる。ここは、日本の領海です。これ以上近づけば射撃します」


先ほどから、似非魔法を使った声が聞こえてくる。上陸船最大の300人船に匹敵する巨船だ。帆も櫂もないくせに、魔法動力を持つ我々の船より足が速い。


しかし、巨艦は二隻だけ。他の100人船が数隻あるが100隻の上陸船を止め様はあるまい。


「ボゥー」 という海牛の鳴き声が聞こえてきた。敵の巨船が光と音を発している。あれも似非魔法か?


「筆頭艦長、敵艦が何か礫のようなものを投げているようです。しかし、全て外れています。攻撃しますか?」


「いや。まだいい。」


積極的な攻撃の意志が感じられない。人間達は何がしたいんだ? 




もう、6時間になる。対馬は間近だ。人間の船は機動力を生かして、周りを水澄ましのように回りながら、礫を放つが、相変わらず当たらない。こちらは一度も舵を切っていない。まっすぐ対馬を目指している。


また、巨船がこちらの進路をさえぎるように移動してきた。ぶつける気か?


「先頭の船に伝えろ! 接触と同時に白兵戦の用意だ」


意図がわからない。最初は威嚇かとも思ったが、ここまで当てないのにどんな意味がある。体当たりも速度を生かすつもりがないらしい。


「少なくとも、野性の怖さはないな。既に家畜化されているとの噂は本当かもしれん」


「第17番船 アカツキ 敵巨船にぶつかります。い、今、当たりました。」


金属と木が合わさるイヤな巨音が響く。船乗りが一番聞きたくない音だ。


「仮に鉄製の巨船だろうと、横っ腹に全速の船に当たられては堪るまいに。」


戦を知らんのか?我々エルフとて戦を知らない。書物で知るのみだが。理も知らないか。やはり我々が導く為の種か。


「筆頭艦長、もう一隻の巨船及び、100人船が近づいてきます。」

「もう、かまわん。攻撃を開始しろ!」

「ハッ、各船攻撃を開始!」


見ると、巨船からの海牛の鳴き声のような音を発する礫は、魔法で強化した船を容易く破壊している。相当な射程を持っているようだ。


「生き残っている巨船に魔法弾を打ち込め、魔法も集中させろ!」


巨船に魔法弾が炸裂した。射程は短いが外れないし、威力も大きい。巨船の船上が燃え上がっている。


「接触した巨船も制圧しました。敵の巨船2隻大破、100人船2隻大破 100人船1隻、小破。他の船はまだ近くにおりますが艦隊と距離を置いています。我が艦隊は200人船が一隻が中破、50人船6隻が航行不能となっております。」


「ふん。動けない船の人員を他の船に移動させろ。海に落ちた乗員や人間の救出もいそげ!」


「ハッ」


意外に損害が多きい。本気で戦えば、あの巨船はどのほどの戦力があるのか。統治したらあの船を作らせるのも面白いかもしれん。



聖暦 5999年10月 日本領 対馬 山中 



状況は悪い。 最初に連れ込まれた建物を燃やし、脱出は成功した。街中に出ても他の人間に特別警戒されることもなく、エルフやコスプレと声をかける人間もいた。 もしかすると、神話や伝説にエルフが現れるのかもしれない。珍しさの驚きは感じても忌避感や危険に思っている様子はなかった。


 お腹も空いてきたと思い。その辺を歩いていた母人と子人をウイリーの魔法で寝むらせた。流石に母人は重く持っていけないので放置。子人だけを持ち帰りお弁当とした。この母子。エルフ語がほとんど話せなかった。そこで、ひらめいた。もしかしたらこいつらは奴隷か。


 人間は同族を強制的に使役する野蛮な奴隷制度を持つと古い本にあった。奴隷であればまともな教育が受けられず、言葉が話せなくても不思議は無い。温和な種族に思えたのは勘違いか。少なくとも無礼、傲慢さは骨身にしみた。


と、そろそろ竜たちと合流しようと海を目指したが、竜の意識が切れた。間違いない。これは竜が意識を失ったか、死んだかのどちらかだ。


今まで、剣、弓と武器らしい武器を見ていない。最初に乗った船の船乗りが持っていた鉄製の槍くらいだ。あんな精神の入っていない槍では魚は突けても竜は倒れない。根性が違う。


すると、どうやって倒した? エルフの魔法を除けば竜は最強の生き物だ。得体の知れない何かを感じる。


「ピン、ポン、パンポーン  ただいま、エルフの格好をした殺人犯が島内に潜伏しています。見かけた方は・・・・・」


広域音声拡声魔法に似た感じの放送では、我々三人の特徴が上げられていく。


「ナーウ拙くない?隠れないと。なんだか知らない間に人間の間で凶悪犯人にされてるよ」


「我々は何一つ、恥じる行いはしていない! が、容易に誤解が解けるとも思えない。とりあえず


隠れて様子を見よう!」


私の言葉にラウルもウイリーも頷く。 やはり仲間である竜を失ったのは大きい。そうやって隠れて、三日になる。幸い、食料を確保していたので潜伏には問題なかった。人間は子人の肉が一番旨い。


しかし、動きが取れない。山中に入ってくる人間は多くないが。裾に見える人間達の数が増大している。既に万を越えているように思う。我々の動きに呼応しているのか。何かが起ころうとしているように見える。

 


聖暦 5999年10月 日本領 対馬 港 


我々が上陸すると、万を超える軍勢が囲んでいた。 上陸軍は一万。数の上では不利だが、通常エルフ一人は人間10人以上の戦力がある。十分戦える。


相手の出方を見るために、攻撃を控えたが、相手から攻撃も攻撃を準備している様子もない。様々な軍旗やのぼり、いかにもな軍勢ながら肝心の武器も見つからない。魔力のかけらもないことから魔術師にもみえない。


敵の軍勢からは、ヘイワケンポーやキュウジョウといったよく判らない鬨の声が、聞こえてくる。

そのうち大きな白い旗をもった小集団がこちらに近づいてきた。


「我々は、対馬無防備宣言同盟の者です。我々は平和の為に無防備を宣言します」


「こちらは、東方州先遣部隊だが、降伏するということかね?この島の人間全員が?」


「ハイ、降伏し武力的な抵抗は行いません。一部了承していないものもいますがほとんどの市民は賛成しています。ここは民主主義国家で私達は市民団体です」


・・・・・・・・・


「将軍、というようなことですが。どう判断されます」


「降伏は認める。見た限りでは誰も、武装していないように見えるが。オイ、アレを用意して全員につけさせろ」


報告で、既に家畜されているとの話もあったがこういうことか。

港に集まったいた人間共に戒めの首輪を装着していっている。若干、騒ぎが起きたがエルフからの信頼の贈り物と説明すると特別、危険なものでもないのですぐ騒ぎは収まった。


彼らの話によると、必ずしも対馬全体の意志ではないらしい。本土から来た市民団体と名乗り、時折キュウジョウと変な声を発する特異な人間の集団と韓国人という元々地理的に東方州に住んでいた集団のようだ。


彼らは日本政府という組織と敵対する関係にあることは、なんとなく判った。対馬の元の人口より市民団体や韓国人のほうが多いらしく、多数決で彼らの主張は正しいそうだ。


私にとってどうでもいいことだが、これで、人間を送れる。今すぐは無理でも食料事情はこれで改善されるだろう。


筆頭艦長の進言していた、人間の船も摂取しなければなるまい。ここに橋頭堡築くのもこれからだ。

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