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日本召還  作者: ピンガ
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死を賭した情報

聖暦 5999年9月末 日本領 対馬 海上保安庁事務所 



私達は、竜の到着を待つ間もなく、港にいた彼らに囲まれた。私とラウルの剣は取り上げられ、ウイリーの杖も取り上げられ部屋に連行された。私達は個別に取調べを受けている。


何とかと名乗る雄人が私の担当だ。牧場主なら何頭だろうと家畜の顔と名を覚えるそうだが、冒険者の私にそんな技能はない。人は人だ。


彼らが、比較的温厚な種族であることは私にもわかる。しかし。この無礼さはどうだ。聖書に記されたモンゴ種の原種は、エルフを見るとその崇高さに跪き家畜化を願い出たと記されている。抵抗した後に家畜化された他の原種とは確かに対応が異なるが、私の我慢も限界が近い。


「すると、あなたは、エルブレイ氏族のマターハ・ナーウさんで・・」


「東方王生37氏族 巧みの王を産んだが抜けている! 貴方は礼儀がまるでわかっていない!」


迷惑な隣国人の対応を日常業務としているここの事務員にとって、この程度のことはどうということはない。


「失礼しました。東方王生37氏族 巧みの王を産んだエルブレイ氏族のマターハ・ナーウさんですね。調査の為にここ対島にやってきた。それで間違いありませんね」


私は鷹揚に頷く。 


「マターハ・ナーウさんはエルフ東方州の依頼でやってきた冒険者さんでよろしいですね」


私が頷いていると、念話でウイリーが伝えてきた。


(ラウルが限界みたい。私も目の前の人間を魔法で眠らせちゃった!)


私も呪文を唱えかけなので、声を出さず意識のみで答える。別に杖が無くても意志を通じた装飾アイテムがあれば魔法は使用できる。


(あぁ、私も、もう限界。竜達ももう島についている頃だろう。とりあえずこの雄人は焼いちゃうから!)


正直なところ、少し安易かなとも思っている。港にあった100隻以上の漁船の群れ。遠くに見えた更に巨大な船。もしかした似非魔法は馬鹿にできないとの思いが少なからずある。あるが、面白くないものは仕方ない。


「燃えちゃえ!」


私が力ある言葉を発すると、前にいた雄人が燃え上がった。



聖暦 5999年10月 東方州都  評議会 評議会議長室


「すると何、最も近い島に先発した冒険者のうち島にたどり着いた8組は全て連絡が途絶え、生体魔力反応も確認できない状態にあると。」


「ハイ。島にたどり着けなかった2組を除いて、8組全てがそうです。生体魔力は海上ならともかく上陸してしまうと障害物が多いので確認は難しいものですが・・・」


私の問いに魔法局の担当官が答える。


8組の冒険者からの情報で、わかっていることは、まだ多くない。


・モンゴ種の原種に近い人間が存在する。

・多数の大型船を要し、未知の魔法?を使用し動力としている可能性がある。

・数万頭の人間が生息している。

・陸上で馬や人、竜以外の交通手段を持っている。冒険者らの意見では鉄の竜という表現が近いらしい

・近海や島で大型の飛行竜の目撃例あり。ただし詳細は不明

・彼らの多くは日本人と自称する。少数ながら韓国人と自称するものもいた。

・島の名前は対馬。更に南部に日本の本島がある。

・モンゴ種と思われる人間は好戦的ではない。ただし、無礼で傲慢であり。エルフに対し対等に接しようとする問題行動が見うけられた。

・対馬に生息する人間の味は良好。幼人も食したが体内にチーズ等の乳製品は確認できず。

・エルフ語は通じる。通じない種族も島内で確認した。

・髪毛の色は茶と黒が多い。雌人の多くは茶。商品価値の高い黒髪は小数。

・雌人は顔に塗料を塗っている。宗教的な意味を持つものと思われる。聖書にある刺青の民との共通性に類似。

・エルフの存在は確認していない。


上記は複数の冒険者が確認し信頼性の高い情報だ。下記の情報は今のところ、個々に情報が発信されたもので信頼性が薄い。


・日本本島には一億頭以上の人間が生息している。

・科学という魔法と異なる技術体系を持っており魔法に対するものだ。

・飛行竜は人間が操って飛ばしている。

・鉄の竜はジドウシャといい、やはり人が乗って操っている。

・鉄竜は人間とほぼ同数生息している。

・魚を常食とする肉食性の高い種である。

・米といわれる種子を常食する草食性の高い種族である。

・肉食である。野蛮な同族食いの可能性もある。

・日本人は武器を持たない。

・くの字形の護符を必ず所持しており、暇があれば眼前にかかげ念じている。効果は不明。

・ケイタイと言われるマジックアイテムを携帯し、耳にあて呪文を唱える。やはり効果は不明。

・戦闘力は皆無。魔法に対しての警戒心もない家畜種らしい特徴を持つ。

・非常に臆病。こちらから声を掛けないと声をかけることは無い。

・既に家畜化されている可能性あり。命令せずとも勝手に食料を調達してきた事例あり。


多くの詳細は不明だ。それでも、我々は進めなけらばならない。人間がいる。これがわかっただけでも大きな前進であり、明日への大きな希望につながる。


多少の障害は、折込済みだ。


「かまいません。予定通りに軍を上陸させなさい。そして、最低でも100頭の人間の雌雄を確保するように!」


「はっ、了解しました。将軍に伝えます。」

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