戦車の命、主砲について
主砲と言うのは一番最初に作られたイギリス戦車、マーク1からついているとても重要な兵器です
しかし
この主砲、昔は2~3門はあった物の、第二次大戦中盤から大体が1門だけで十分な物となりました
その理由は…
ステップ1.『火器が沢山あっても命令を出す側が「もうたくさん」』
戦車が出来たころ、まだ戦車は運用方法がまだ未発達であり
当然、電撃戦や機動防御(※1)などなく純粋に『膠着化した戦線の突破』でありました
そのため、『塹壕には敵が一杯いるから武装も死角が無い様に』と言う事で箱型で車体横に大量の火器を付けて一安心…
…だがしかし、この判断は誤っていた
少なくとも大量の火器を付けることによって、それを動かすために大量の兵員が必要となって逆に指揮系統が混乱し、
あれこれしている内に撃破されたりと逆効果であった
これを踏まえて、陸軍国家フランスはルノー軽戦車を作った
このルノー軽戦車は正に革新的であった…なぜなら、2~3人で乗って限定旋回砲塔を旋回砲塔にし
全方向に打てるようになって尚且つ、指揮系統の混乱が無くなったのだから
更に特筆したいが主砲とは関係が無い為、ほおっておこう
しかし、時代を逆行する物が必ずいる
失敗を踏まえずに作った車両が『多砲塔戦車』、それは主にソ連が作った重戦車で
余りにも火器を載せすぎて重量が重くなりすぎて装甲が薄くなり、更に速度も遅くなった(エンジンにもよるが)
そのため、戦車によるがもし、現実的な物を作りたいと言うならば多砲塔はもちろんの事、多武装も止めて置いた方が良いだろう
だが、かの有名な6号戦車一型…ティーゲルも実は機銃と主砲の他に武装をしていた…それは擲弾(※2)を砲塔上部に装備しており、
肉薄する敵兵に対する戦車長が使う自衛兵器で、機銃や主砲とはまた別の自衛兵器である
ステップ2、「髪型(主砲)によって顔付(車体)も変わる」
戦車や自走砲、又は軽車両でよく使用するのを見る砲はこれら四つである
1.カノン砲
2.ロケット砲
3.無反動砲
4.臼砲
1の場合は主砲のオールラウンダー、自走砲でも戦車でも駆逐戦車でも装甲車でも使える万能砲。
しかし大型化するにつれて重くなる
2の場合は口径長(※3)と線条(※4)を問わないためいくらでも大型化できる
しかし大型化しすぎたら異様に重くなる。しかも発砲炎が凄い為、単独運用はお勧めできない
さらに、砲弾が小型ならまだ旋回砲塔も可能だが、大型化すると固定砲塔(※5)となる
3の場合は
無反動砲の特徴で、作用反作用の法則を使っているため、砲弾を打ち出す代わりに後方からガスや金属片などを飛ばすため
密閉式戦闘室(※6)など論外、開放式戦闘室(※7)でなければ車内で何百度のガスが蔓延するか、車内で金属片が飛び散るか…
無論、固定砲塔か限定旋回砲塔(※8)に限られる
4の場合は大口径でありながらも口径長が異様に短いため、狙いなど付けられるはずが無い
そのため戦車には不向きで、良くても歩兵支援用の装甲車に載せるか、ドイツのカール自走臼砲のよう…とまでは行かないまでも
重車両専用にするしかない
等々、主砲を決める時点でも難しい…というか、普通の戦車ならカノン砲で十分であろう
ステップ3、「太くて長いのが良いッ!!!けど重いッ!!」
題名の通り
太ければ太い程、砲弾の威力が増して攻撃力が増える。そして長ければ長い程、砲弾が安定して飛んで飛距離も伸びて更に速度が増して貫通力も上がる
…しかし、太ければ太いほど長ければ長い程、重量が増えていき
実際に我ら戦車野郎の戦車、ティーゲル一型は88mm56口径長砲は元々高射砲(対空砲)で、重量は6~7t程あり
それによって足回りや変速機が非常に心許無く、複雑な設計となって量産・整備性を低めたとか
ボクサーで例えるなら『持久力が無く怪我しやすいけどハードパンチャー』である…
だが、実際にはその獰猛なる牙と堅牢なる鱗で連合軍に大出血を強いたのは史実である(※9)
…話が多いにそれたが、口径と口径長が大きくなると同時に重量も上がって遅くなる
最近の戦車は話が別だが、昔はエンジンの出力が低かった為、『攻撃と防御』か『素早さ』のどちらかに頼るしかなかったのだ
END
※1
陣地に兵士と戦車を万遍無く配置するだけでは兵力の分散になるため、戦車や輸送車両を使って、攻めてきた敵を撃退する戦術
※2
グレネードランチャーみたいな物
※3
砲の長さ、例えば75mm45口径長だったら、75×45=3375mm
※4
ライフル砲の事、現在の戦車は大体滑空砲(線条が無い、羽付きの砲弾を飛ばす)
※5
砲塔が回らず車体と一体になっている事、しかしちょっとだけなら左右に回せるのもあるが回せないのもある
※6
正面はもちろん、左右、後方も上方も鉄板で囲まれている事、イメージだけで言ったら90式戦車
※7
上方か左右或いは後方が鉄板に囲まれておらず、砲弾や歩兵の脅威に日々さらされる戦車…と言うより自走砲
※8
車体の都合上、砲塔を360度回せないのでそれを分類するときに使う
※9
ティーガー総生産数、1,355輌
M4シリーズ総生産数、大凡50,000輌
T-34シリーズ総生産数、大凡57,000輌
後書き
うん、なんだろう、下ネタが多い気がする
まぁいいか
次回、「戦車の鋼の心臓、エンジンについて」…か気分によって「戦車の堅牢な鱗、装甲について」お楽しみに