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プロローグ

 白波が立つ蒼海。香る潮風はみずみずしい。

 月海の砂浜で、少年と少女は老婆に尋ねた。


「なあなあ、ババア。ツキミのミコってなんだ」

「ほほ。空から降る汚泥魔と、地から湧く奇怪機を滅ぼす、勇者のことさ」

「おでいま?」「きかいき?」


 幼き二人が不思議そうな顔をする。

 老婆はシワシワの手で、彼らの頭を優しく撫でた。


「この大陸に巣くった、古き昔なじみよ」


 白い砂浜に腰かけた老婆が、隣で静かに香箱を組む、緑色の巨体に触れる。

 鷲の顔。獅子の体。一対の大翼。

 撫でられたウッドグリフォンは気持ちよさそうに鳴いた。


「月海の巫女は、夜がこぼした海面の月から、いつでも我らを見守ってくださる」

「なーんだ。ならババアと同じじゃん」

「ほほ」


 少年と少女、月海の村の守護獣に囲まれた、幸せそうな老後の光景。

 老婆は穏やかに揺れる海を、ただ見ている。


「じゃあさあ。ホシマモリってなんだよ」


 耳にしたばかりなのだろう。

 純真な少年の疑問に、老婆は不意の笑みをこぼした。

 それから誇らしげな顔をして、彼に答えた。


「星護りとは、生涯をかけて月海の巫女を護ると誓った、勇士のことさ」


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