第30話 何も無い街だけどたくさんの思い出はあった
自分の家族や友人、知人がこの街の何処かに隠れているかもしれない
「私は行きます!」
ハルが武器の装備を始めた。
「お前が一人で行ったからってどうにかなるもんじゃない」
「あれだけの軍が来るんですよ、ここにいても死ぬだけです!街に行けば少しは誰かを助ける事ができるかもしれない!」
学生達は助けたい気持ちはあるが行ってかなう訳が無いし大した事はできない. 全く意味が無いことはわかっている。
「この街は何もない街だけどたくさんの思い出はあるのよ、もう失いたくない」
ハルが言ったその言葉に学生たちも武器の準備を始めた。
こちらの状況は敵の軍には知られている。
何処に隠れても攻撃され殺しに来ることはわかっていた。
どうせ死ぬなら街(思い出)を守ってみてもいいかなと思えてきた。
「お前達・・・」
所長が決断した。
「アンドロイドを使う!」
「サクラの事ですか?」
「そうだ!あのアンドロイドなら敵兵士を殲滅できるかもしれない」
敵が探していたアンドロイドは目立たないようにしたかった。
いずれこの格納庫も敵に見つかると思い決断した。
だが、アンドロイドはまだ完全な状態では無かった。
歩行と空を飛ぶ事と銃を撃つことまではできるが、搭載されている高度な武器と攻撃パターンはまだ組み込まれていない状態であった。
所長は二葉に協力させてアンドロイドに攻撃ができるようにOSを書き換えさせなければいけなかった。
今のままでは強力な攻撃で戦う事ができないということで国防軍の本部に連絡した。
二葉は、以前国防軍からスカウトされた天才少女であり、コンピュータの技術士としても知られている。
状況が状況だけに話は早かった。
国防軍本部のコンピュータ技術士と連絡を取り、応急処置的だが、アンドロイドはある程度高度な攻撃もできるよう短時間で仕上げた。
ハル、聖奈、二葉、香澄にサクラがついて行動する事になった。
「サクラ、危なくなったら逃げるのよ」
「はい、了解しました」
ハルがサクラに抱きついた。
「死なないでね」
サクラの目が微かに点滅した。
・・・解析不能・・・解析不能・・・・死なない・で
この状況で、予期せぬ言葉を投げられAI知能でも返答の言葉がみつからなかった。
所長が二葉に采配を任せる事にした。
格納庫にはコンピュータと武器の技術士およそ20人兵士およそ100人がいた。
会議室に、兵士の代表として立花一尉と佐々木三尉も同席した。
学生30人は全員参加だった。
二葉が議長になり、状況と戦術を説明した。
モニターに大きな地図が映し出された。
「敵は、およそ1.000名の兵士でこちらを攻撃してきます」
生徒たちは知ってはいたが改めて聞くと気力がなくなりそうになった。
「このまま戦えば全滅します」
「全滅・・・」
生徒たちはわかっていたがどうする事もできない、この街から逃げる事もできないもう覚悟はできている。
説明が続いた。
生き残っている学生は山の中で隠れる事ができ、兵士は山の中での戦いということで動き回るスピードが遅かった。
ここにいるメンバーは隠れる事が得意である。
街での戦いは、山の戦いに比べれば隠れる所が少なく不利になる。
「この街では私達に有利なものはないの?」
「ないわ、だけどこの戦場を味方にした戦い方をすれば勝機はあるわ」
その言葉に会議室の士気が上がった。
この状況でこの人数で勝てるの!?




