第13話 残業はしないで
ハルは安全な所を探し聖奈と二葉を誘導した。
「向こうから敵を狙うわよ」
「狙うと言われても何処に敵がいるかわかんないよ」
「聖奈、声を出さないで!」
ハルは小声で言った。
聖奈と二葉には何処に敵がいるかわからなかった。
だが、ハルには、わかった。
隠れながら敵を少しずつ殺していった。
時間は17時をまわっていた。
体育会系のグループと戦っていた敵の小隊が引き返して行くのが見えた。
聖奈は呆れた顔をした。
「17時に帰るなんてあいつら公務員なの?」
「でも良かったじゃない残業されたら困るわよ、夜なんてどう戦っていいかわからないし、もし蛇でもてできたら暗いから気づかないよ」
「蛇!?ちょっとここ蛇がいるの?」
「そりゃいるでしょ、熊が出ないだけまだましじゃない」
「山の中だと朝は寒いし何が出るかわからないから向こうも無理してこなかってことね」
体育会系の生徒たちが倒れている所を通り格納庫に戻る事にした。
ハルと聖奈は、震えながら倒れている生徒を見た。
この中に生き残った人がいないか確認しようとしたが、まともに見られなかった。
二葉は、その死体の損傷を見ながら触って確認していた。
「生存者はいなそうね」
「そうね、いたら逃げたでしょうね」
「まだ油断できないわね、帰ったと見せかけて隠れている敵の兵士がいるかもしれないわ」
「怖いよ〜!」
辺りは薄暗くなり寒くなってきた。
「この中に生存者はいないわ、戻りましょ暗くなるとライトを使う事になるから敵にわかってしまう」
二葉は、しっかりしていて頼りになる。
三人は格納庫に恐る恐る警戒しながら向かった。
「今日のハルは、隊長みたいだったね」
「何言ってるの私が隊長のわけないじゃない、私は日直よ」
格好良く敵を攻撃し殺すなんて私にはできない、そんな奴は早死にするだけ。
かっこ悪くてもいい
逃げてもいい
隠れてもいい
最後に生き残った者が勝ち
無事に格納庫に辿りついた。
休憩室に向かう途中、一人の生徒が騒いでいた。
「戦場には、選抜グループの生存者がいるかも知れないのよ!」
あそこには誰も生きてなかったとは言えなかった。
でも、もしかしたら逃げて何処かに隠れているかもしれない、重症なら早く行けば助かるかもしれない、だけど・・・
「今は行けないよ敵が近くにいるかもしれないんだから」
聖奈がその生徒に言った。
敵は目立たないようにどこかに潜んでいる暗殺部隊がいる可能性があった。
「里奈は、まだ生きてるかもしれないじゃない」
その生徒は泣き出した。
「捜索にいってあげたいけど、私達だって殺される可能性があるかもしれないでしょ」
「そんな事はわかってる」
「またいつ敵が来るかもしれないから休んだほうがいいよ」
「聖奈、あんたハルが同じような状況でも今みたいな事いうの?」
その言葉の返答に戸惑った。
「私には、戦う力なんてないから行けないよ」
聖奈はハルの顔を申し訳たさそうに見た。
「ごめん・・・」
「わたしが里奈の立場だったら聖奈には来てほしくないよ、聖奈には生きていてほしいから」
「ハル・・・」
所長が来た。
「みんな休んでくれ、君達の友人達の中に生存者がいないか兵士数名で確認しに行ってもらう」
格納庫に戻り三人は、大広間の椅子に座った。
今日の戦いが頭から離れない.一生忘れられず生きていく気がした。
「じっとしてると悪い事しか考えないわね」
「食事に行く?」
「私は、いいわ飲み物だけ頂く」
「だめだよハル、少しくらいは食べておいたほうがいいよ」
「あの死んだ人たちが顔が頭から離れなくて食欲がないよ」
「外科医が手術した後にステーキって食べられるのかな?」
頭の中で手術後、ステーキを食べてる所を想像しかけたが、顔を左右に何度も振って振り払った。
「考えたくないし、想像もしたくない」
三人は、食堂のテーブルに座り食事を目の前にした。
聖奈はハルに食べるように言ったが、あまり喉を通らなかった。
戦場で何人も殺した兵士たちは、その後普通に食事をしているのだろうか、聖奈は気になった。
しかし、二葉は普通に食べていた。
それを見た聖奈は驚いた。
「今年の連邦は化物揃いなのか!?」
「何言ってるの普通に食事をしてるだけじゃない」
「見せて貰おうかその性能を」
「聖奈、うるさいよ」
周りの生徒達はみんなになゲッソリとしていた。
あれが普通だよ、聖奈は果物だけはしっかりと食べた。
お通夜のような雰囲気だった。
いやお通夜でもある。




