加計メガネ掛けなくなった
「加計、眼鏡掛けるんだ?」
朝のHR、俺は隣の席の加計に話しかける。
加計久美。
高2で初めて同じクラスになり初めて喋った女子だけど同じゲームが好きだという事が発覚し仲良くなった。
そして、席替えで隣同士になり知った。
「やー、それがさあ、夏休みもゲームしてたじゃん? 大分目が悪くなったみたいでねー、がはは」
加計のこの感じが心地いい。
言ったことはないけど、俺はもう親友だと思っている。
だけど、加計の眼鏡姿は新鮮でついついじっと見てしまい、加計が嫌がり始める。
「見んな。ほら、アタシの眼鏡、オシャレ眼鏡じゃないからさ。ただでさえアタシ可愛くないのにより可愛くなくなるじゃん。だから、あんまじっと見るなよ。はずいはずい」
「そう? かわいいと思うけど?」
俺は加計の眼鏡かけてる顔もかわいいと思った。
「…………」
だけど、加計は気に入らなかったのか、その日は俺の方を見ず一度も話しかけてくれなかった。
そして、その日以来加計は俺と話す時は眼鏡を外すようになった。
「思ったより、ショックだな」
それが俺の偽らざる本心。
自分でもびっくりだった。
こんなに、加計が俺の前で眼鏡を掛けないのがショックだったなんて。
あからさまに俺を避け始め、女子と話すことが増えた。
ゲームも一緒にしないわけではないが、通話は減り、チャットがメイン。
しんどい。
何故しんどいのか。
その答えは分かっていた。
だから、俺は決心し、加計に話しかける。
慌てて眼鏡を外す加計を見て、胸が痛い。
それでも俺は話しかける。
「なあ、なんで俺と話す時に眼鏡外すようになったの?」
加計は目をそらし、どこかに行こうとする。
だけど、俺は逃げたくない。正面から向かい合いたい。
だって、俺は……。
加計の腕をとると、観念したのか絞り出すように叫ぶ。
「ちゃんと顔見えちゃうと恥ずかしくなってくるからだけど!? 悪い!?」
それから半年後、彼女は眼鏡を掛けてくれるようになった。
学校でも、デートでも。
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