1 起動、ブルーセイバー
目の前に美しい女神が現れた
「あ、あなたは!」
「私は女神アルテミス」
「あなたは前世で善行を重ねました。その徳を今世で返しましょう」
「あなたはこれから異世界に転生します」
「あなたには前世の記憶と転生者としての力を授けましょう」
ブオオオオ!
すごい力が俺の身に宿る
「わ!」
体が光に包まれた
アルテミス様が手を振るう
「ではよい人生を」
気が付くと3歳になっていた。
8時間、時給1000円のバイトをしようと思い応募して、面接当日
「バイトで来た。高橋一生です」
「待っていたよ。俺は西島秀俊、さあ、こっちだ」
西島さんのあとを追いかけてビルの中に進んでいく
「ここではね。戦士として戦ってもらうことになるんだけど、」
「警備ですよね!任せてください!」
「いや、違うかな。本当に戦う仕事なんだ。」
「は?」
意味がわからなかった。
「いや、だからね。特撮ヒーローとかああいうスーツを着て、超人的な敵と超人的な戦いをするそういう仕事なんだ。やつらは単身ずつ攻めて来る。集団では攻めてこない。やつらは体内に原子炉を積んでるし、放射能をまき散らすからね。原子炉という限定的で不安定で高価なエネルギー体がやつらを動かすのには必要なのさ。強固な性能の代償、戦術的にコントロールするには複数であると困るからね」
ここまで聞いて思わず笑ってしまいそうになる。
それを見て西島さんが言った
「まあ、最初はそういう反応しちゃうよね。わかるよ。さあ、こっちだ」
西島さんに導かれ部屋へと通されると
機械仕掛けの甲冑防具が壁に飾られていた。
「これが君が着てもらう。T-16ブルーセイバーだ。その隣にあるのが俺のスーツ」
もう一体ブルーセイバーの隣に赤いスーツが置かれている
見れば見るほど作り物だが、指先で触れてみると本物っぽさがある。手触りからしてプラスチックではなく全部金属でできている。
「信じられないと思うから実際に見せてあげよう」
西島さんが手の平に乗るほど小さな機械を見せた
「スカーレット専用のソフトウェア、ソフトカードだ。」
さらに小さな小型携帯機を取り出す。
「この携帯機がゲーム機に見えるのには偽装の意味合いもある。あらゆる機種のゲームソフトに対応している万能マシンであり、同時にゲーム機ではない。その本当の目的はこの特殊なソフトカードを使うことで戦うためのスーツを転送してくれることにある。」
「戦うスーツを?」
信じられるわけがないので半信半疑で聞く
「まあ、見ててよ」
カチャ
西島さんがソフトカードを携帯機にセットする
西島さんが叫んだ
「神来!」
音声認証かなにか知らないが、雷が落ちる。と同時、綺麗な光の粒子が西島さんを包み込みスーツが体に装着されていった。
「スカーレット!起動!」
両目が緑に光る
「これがT-15スカーレットだ。信じてもらえたかな?これが機械戦士ロストバスターだ!」
否定のしようがない。本当にフィクションみたいなことが目の前で起きたのだ。
「え・・・えええええええええええええええええええええええええええええ!」
思わず声をあげてしまった
「お、おい!大丈夫か?」
西島さんが心配そうに声をかけるがそれどころではない
「いや、ていうか、す、すごい!すごすぎるだろ・・・」
転送して装着なんて、ありえない。ほ、本当なのか・・・。
戦慄し、喚起した。感動してしまう。
うっ、ちょっと涙が・・・。
目元をぬぐう。
「俺たちが戦うのはギーロ国のキメラ兵器として生み出された怪物たちだ。我々の国は日夜外国からの脅威にさらされている。その先兵が怪物だ。怪物は様々な形をしている元にした生物の性能を色濃く受け継いでその種類は多種多様、これを参考にしてくれ。」
部外秘のシールが貼られたファイルを受け取る
「我々秘密結社BPCOUが遭遇した怪物たちをファイルにまとめたものだ。」
ファイルを開くとおぞましい怪物の写真が貼り付けられている。
蜘蛛怪物
猿怪物
その他・・・。
なるほどいろいろと多彩な怪物たちが存在しているようだ
す、推定握力500kg!ゴリラ並みじゃないか!本当に怪物なんだ!
「怪物には下級、中級、上級のランクが存在する。そして蜘蛛怪物、蛇怪物、コウモリ怪物、牛怪物これらは上級怪物を超える特殊個体、4大怪物たちだ。この4大怪物たちの頂点に始祖の怪物が存在する。始祖は怪物の元となるウイルスを空気中に放出する。おかげで我が国は野良怪物だらけだ。やつを倒すのが俺たちBPCOUの目的でもある。」
メインホールに戻って来る
「それじゃあ、明日から頼むよ」
「はい!」
よーし!やるぞー!と思ったときだった
パリーン!
ガラスが爆散すると、見たこともない怪物が現れる
ダンゴムシの怪物だ
「怪物!どうしてこんなところに!」
「キューーーーー!」
怪物が咆哮をあげる
「高橋くん!いくぞ!」
「は、はい!」
西島の動きに合わせ
ブルーセイバー専用のソフトカードを携帯機にセット
高橋が叫ぶ
「神来!」
雷が落ちると同時、綺麗な光の粒子が高橋を包み込みスーツが体に装着された。
「ブルーセイバー!起動!」
両目が緑に光る
「スカーレット!起動!」
両目が緑に光る
「キューーーー!」
ダンゴムシ怪物が咆哮をあげる
戦いのときだ。
ビルから飛び出すと道路のど真ん中で戦闘を繰り広げる
通行する車がすぐ横を移動し通り過ぎていく中、二人は初めての共闘に臨む。
ダンゴムシ怪物が咆哮をあげた
「キューーーーーー!」
スカーレットは言った
「高橋くん、冷静になれ、俺と一緒なら大丈夫だ。まずは身を守りながら、様子を見よう。」
「腰の銃を手に持つんだ」
「は、はい!」
腰のホルスターから銃を取る
「ボタンを押せば近接戦用のソードに変形する」
銃がソードへと変形した
「こ、これは!」
「行けるか?」
ブルーセイバーは緊張しながらも、スカーレットの言葉に従い、ソードを構える。
「はい!」
戦意を高め、二人は団結し敵に向かって進む。
スカーレットもソードを手に、ダンゴムシ怪物との距離を見極める。
ダンゴムシ怪物が近づいてくると、スカーレットは瞬時に反応しソードを横に振り抜く。
「はああああ!」
火花が剣の刃から散り、ダンゴムシ怪物の攻撃を防ぎながらも距離を保つ。
「はあ!」「てやあ!」「はあ!」
ブルーセイバーはスカーレットの後ろに位置し、その身を守る。
「すごい。戦いがすごすぎて割って入っていいのか?」
まだ未熟な高橋には、攻撃に踏み込むタイミングがつかめなかった
「はあ!はあ!」
何度となくスカーレットがソードを振るう
西島の存在が高橋に勇気を与えた
ダンゴムシ怪物が再び襲いかかると、スカーレットは巧みな身のこなしで攻撃をかわし、敵の隙を突く。
「高橋くん、今だ!一緒に攻撃を仕掛けるチャンスだ!」
スカーレットの声に応え、ブルーセイバーは一瞬の迷いもなく剣を振り上げる。
しかし、彼の攻撃は未熟さゆえに敵に届かず、ダンゴムシ怪物の体に跳ね返った
スカーレットは即座に反応し、敵の攻撃を受け止めて言った
「大丈夫!少しずつ成長していけばいいんだ。今は身を守ることが重要だ。」
「高橋くん、もう一度!攻撃のタイミングを見極めて、こう、工場のライン作業で弁当が流れて来るだろう?そこにガリを入れていく作業と同じ用量だ。タイミングと思い切りがカギだ。はあ!」
ソードを振るいながらレクチャーを受ける器用でバカげた光景だった
「や、やってみよう。あれは弁当、このソードはガリ、ガリ、ガリ」
高橋は西島の言葉に力を貰い、再び剣を構える。
正直初日だし。できなくて当然だけど、自分の未熟さにイラつく。でも西島さんが言ってくれてるんだ。頑張らないと!
ダンゴムシ怪物が再び襲いかかる。
スカーレットは機敏な動きで敵の攻撃を受け流し、ダンゴムシ怪物の隙を見つける。
「今だ、高橋くん!思い切って攻撃を放って!」
高橋は心の底から力を込め、ソードを振り下ろす。
火花が散り、ソードがダンゴムシ怪物の体に突き刺さった。
ダンゴムシ怪物は苦痛に身をよじり、「キューーーーーー!」と凄まじい声を上げる。
西島は「はははははっ!やるじゃないか!」微笑みながらほめてくれた
ダンゴムシ怪物が吹っ飛ばされ距離ができた。
西島が言った。
「高橋くん!デモリッション・ストライクだ!」
「はい!」
二人で同時に腰の銃を引き抜く。
銃とコードが一体化している。
まるでコントローラーか!扱い方はスーツを通して手に取るようにわかるぞ!
怪物めがけて銃口を向けた
「「デモリッション・ストライク!」」
銃が音声を認証。
銃口にエネルギーが収束し、超小型荷電粒子砲が凄まじい勢いで発射され怪物を貫通する。
ドカーン!
道路がえぐり飛び、大爆発が巻き起こる。あまりの威力で怪物の背後にあったビルが爆散した。